ウェルネスコラム「なぜがんは早期発見が望ましいのか」

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なぜがんは早期発見が望ましいのか

がんには早めに手を打つべき理由がある

早期発見、そして早期治療――。

がん対策といえば、必ず出てくる言葉です。

そうすべきなことは常識としてご存じかと思いますが、その理由までおわかりでしょうか。 ごく簡単に言えば、がんは進行する病気なので、始末しやすいうちにやっつける必要があるわけです。

先日のブログにも書きましたが、胃がんは、萎縮性胃炎を土壌にして、胃粘膜の細胞に「腸上皮化生」という変異(性質を変えること)が起こると発症します。

「がんは放置したほうがいい」などと極論を述べる医師もいますが、私が断じてそれに同意できないのは、そういうがんの発症過程を実際に見ているからです。

正常な細胞ががん化するまでには段階があるので、早い時期に芽を摘んでしまうことが望しいのです。できれば、がんになる前の炎症のうちに治療してしまうのがベストです。

がん細胞はどんどん性質を変えて転移能力を獲得する

「がんの進行」というのは、ただ大きくなるだけではありません。

初めは生まれた場所にとどまっているがんが、進行がんになると、別の臓器にまで飛び火する転移能力を持つようになるのです。

正常な細胞なら、そんなことは起こりません。しかし、いったんがん化した細胞には、どんどん性質を変えていくという驚くべき特徴があります。もっと正確に言うと、そういう特徴を持つがん細胞が多いのです。

こうしたがん細胞の特徴は、がんの多段階発生理論を1988年に提唱したジョンズ・ホプキンス大学のボーゲルスタイン博士が、後に明らかにしています。

「早期発見、早期治療」とは、がん細胞が転移能力を持つ手ごわい敵になる前に治療しようという意味でもあります。のんびり様子を見ている場合ではないのです。

大腸がんの多段階発生モデル

ボーゲルスタイン博士が提唱した多段階発生理論は今日、定説になっています。これは、大腸がんの研究で明らかにされました。

大腸がんは、現在では日本人にも非常に多くなりましたが、かつては欧米人に多いとされるがんでした。

ボーゲルスタインは、複数のアメリカ人の大腸がんをサンプルに、遺伝子の異常を調べました。そして、正常な細胞ががん化していくまでには、いくつかの段階があることを明らかにしたのです。

大腸がんの多くは、良性のポリープが進展して生じますが、正常な腸の上皮組織ががん化するまでには、おおよそ次のようなプロセスをたどります。

  1. ① まず、増殖の速い細胞が生じ、腸壁の一部が腫れたような状態になります。「過形成」と呼ばれる状態ですが、まだがんではありません。
  2. ② 次に、形の崩れた細胞が出現し、ポリープのような隆起を形成し始めます。低度の「異形成」と呼ばれますが、ここまではまだ良性です。
  3. ③ 次の段階では、さらに細胞の変形が進んで(高度の異形成)、がん細胞と診断されるようになります。

このような細胞の変質は、毎回、遺伝子の異常が積み重なって起こります。

転移するがん細胞になって命を脅かすようになるまでには、少なくとも6つ以上の遺伝子変異が重なっているとボーゲルスタインは述べています。

がんは、体内を勝手に移動するモンスターになる前に治療することが望ましいのです。

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