コラム「なぜ自由診療は高額になるのか」

コラム

2017年12月29日院長ブログ

なぜ自由診療は高額になるのか

数百万円かかる自由診療のがん治療

ANK免疫細胞療法は、医療施設によっても少し差がありますが、12回の点滴を行なう1クールに400万円強の費用がかかります。そして、その全額を患者様に負担していただくことになります。

自由診療で実施されているほかのがん治療でも、だいたい同じような費用を要する場合が多いはずで、患者様としては、「自由診療は高いなあ」と感じる場合が多いと思います。

保険診療の自己負担を抑えるしくみ

「自由診療は高い!」「保険診療なら安く受けられるのに......」

それは実は、患者様から見た印象なのですが、そういう印象を持たれるのももっともではあります。

なぜ、多くの人が「自由診療は高額だ」と感じるのでしょうか?

それは、保険診療の自己負担額が、非常に低く抑えられているからです(もちろん国民のためです)。

保険診療にかかる患者様の自己負担額は通常、3割が原則です。さらに、1カ月にかかる医療費が高額になる場合は、高額療養費の制度で、収入に応じた自己負担額の上限が適用されます。その額は、多くの場合、1カ月10万円前後になるはずです。

標準治療で実際にかかっているコスト

自由診療を患者様が高額と感じるのは、相対的な印象です。

医療従事者にとっては、自由診療のコストが異常に高いということはないのです。

私は以前、進行大腸がんの患者様(残念ながら亡くなってしまった方々です)の末期医療にいくらかかっているのかを、大学の後輩に教えてもらったことがあります。

その結果は、1人当たり平均、2~3年間で2000万~3000万かかるというものでした。つまり、年間1000万円くらいのコストが実際にはかかっているのです。

ただし、これを保険診療で受けると、自己負担額が月10万円として年間120万円ということになります。

治療内容によって異なりますが、保険診療でのこの場合の自己負担額は、総コストのおよそ10分の1ということです。

ANK免疫細胞療法が高額になってしまう理由

ANK免疫細胞療法はたしかに高額です。「ほかの免疫細胞療法に比べても高い」と思う方がいるでしょう。

それはなぜかと言うと、それだけコストがかかる免疫細胞療法だからです。

NK細胞は、非常にデリケートな細胞で、無造作に活性を高めても自爆してしまいます。莫大な設備投資で培養センターを作り、無菌のクリームルーム内で、その時々のNK細胞の状態に合わせて培養条件を変えていかなければなりません。

培養過程にしても、専任の技術者が観察を続け、マニュアル操作で最適の培養条件を整えます。その人件費もさることながら、高価な培養液や免疫刺激物質を頻繁に交換する必要もあります。

ほかの免疫細胞療法には、それほどのコストはかからないはずです。

ANK免疫細胞療法は安くならないのか?

「ANK療法はもっと安くならないのでしょうか?」

これは患者様の切実な声です。

今述べたように、原価としてのコストはこれ以上安くできません。ただ、保険適応になれば、ほかの治療と同じ程度に自己負担は低くなります。

私も、すべての人が保険でANK療法を受けられるまでの道のりは遠いとわかっています。しかし、患者様と同様、保険適応を夢見て、日々の診療に当たっています。そのためにも、この治療を知り、受療し、認めてくれる人を増やしたいと思っているのです。

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