コラム「新薬の値段をめぐって思うこと」

コラム

2017年11月28日院長ブログ

新薬の値段をめぐって思うこと

高価ながん治療薬が続々登場するが...

ノバルティスが米国で承認を受けたCAR-T療法(商品名キムリア)は、患者さん1人当たりの薬価(治療費)が年間47万5000ドル(日本円で5200万円超)になるようです。

今後、日本に入ってくるときはもっと安くなるはずですが、また高額な治療が登場したわけです。

薬価の問題は以前も書いたことがありますが、先行して登場した免疫チェックポイント阻害薬もやはり高額です。

3年前にオプジーボが発売されたとき、1人当たり年間3000万円以上という、日本では信じられないような薬価も耳目を集めたものです。

さすがにこの値段は、厚労省が中医協(薬価を決める諮問機関)に提案して、今年の2月から「半額」にしました。

小野薬品工業にとっては痛手だと思いますが、やむをえないでしょう。

続々と高価ながん治療薬が登場し、それらのほとんどが「延命」を目的としています。

こうした薬を保険で際限なく使い続けたら、国の財政が破綻してしまいます。

アメリカで億単位の薬が使われるわけ

オプジーボの値下げは、やはり免疫チェックポイント阻害薬であるキイトルーダの発売と併せて行われました。

キイトルーダはオプジーボと使い方(用法や用量)が違いますが、1日当たりの薬価に換算すると、半額になったオプジーボと同じ値段だということです。

このキイトルーダが、米国では「ミリオンダラー薬」と呼ばれ、年間の費用が100万ドル単位(日本円で億単位)にもなることをご存じの方は多いでしょう。

米国では、医療費を民間の医療保険がまかなっているので、そんな値段がつけられるのです。

ほかの病気の治療を見ても、米国の医療費はおおむね日本の10倍ぐらいになっています。

私の知人が先日、ハワイで婦人科の一般的な手術を受けましたが、数日の入院で2000万円かかったと言っていました。

CAR-T療法、アメリカでは「成功報酬型」に

CAR-T療法キムリアに関しては、治療費が「成功報酬型」になることも話題です。

1ヵ月以内に効果が見られた場合にだけ治療費を払えばいいのだそうです。

ほかの治療が奏功しなかった患者さんたちに、臨床試験で83%の奏効率を上げていることから、よほど自信があるのでしょう。

普及を図るためなのかどうかはわかりませんが、こういうやり方を見ていると、いかにもアメリカらしいと思います。

薬を普及させて人命を救いたいなら、当然、薬価は安いほうがいいわけで、初めから高い値段を設定していることがおかしいのです。

日本では伝統的に「医は仁術」であり、私もそう考えています。

しかし、米国ではあくまでビジネスなのだなと感じます。

一方で、日本の薬価や診療報酬にも問題がないわけではありません。

日本は世界と比べて異常に多く薬を消費する国であり、「薬漬け」の問題があります。

一因として、診療報酬が安いので、多くの保険診療施設が経営を薬の点数に頼らざるを得ないのです。

医療費の問題は、国民全体で考えていく必要があります。

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