コラム「国は免疫療法に否定的なのか」

コラム

2017年11月10日院長ブログ

国は免疫療法に否定的なのか

免疫療法はバッシングされている?

「免疫細胞療法に、世間の風当たりは強いですね。」

免疫細胞療法(ANK免疫細胞療法)を実施している私に、よくそう言う人がいます。

決して皮肉を言っているわけではありません。

彼らはたいていANK免疫細胞療法に好意的で、「もっと理解者が増えるといいですね」という意味で話題を振ってくるのです。

先日も、こんなことがありました。

【厚労省が、全国の拠点病院(がん診療連携拠点病院)で未承認の免疫療法の実施状況を調査すると発表。】

このニュースを見たある人が、私にこう言いました。

「厚労省って、相変わらず免疫療法に否定的なんですね」

さて、どうなのでしょうか。

今回、厚労省は、「拠点病院で未承認の免疫療法が実施されている」と専門家検討会から指摘されたようです。

しかし、その専門家たちも、まさか免疫療法そのものを否定などしていないと思います。

オプジーボの登場で騒がしくなったこの業界

たしかに数年前までは、「免疫療法にはエビデンスがない」と主張する専門家が少なくありませんでした。

しかし、免疫チェックポイント阻害薬オプジーボの登場以来、専門家の多くは免疫療法を認めるようになり、これからのがん治療の柱だと考える人が増えています。

問題はむしろ、免疫がクローズアップされたのをきっかけに、自分たちのシェアを拡大しようとうごめく勢力ではないでしょうか。

免疫療法には、免疫チェックポイント阻害薬のほかにも、薬剤として分子標的薬があり、さらに、さまざまな免疫細胞療法があります。

免疫細胞療法のほうは、本来、がん免疫の主役であるNK細胞を駆使しなければならないのですが、世の中を見渡すと、漠然とリンパ球を増やす治療法から、樹状細胞を使う方法までさまざまなものが実施されています。

要するに、免疫療法とひとくちにいっても、さまざまな治療法が含まれていて、中には理論的根拠が乏しいものも多々含まれているわけです。

まがいものに振り回されている免疫療法

しかもそれらは、むしろANK療法よりも多く目にとまるほどです。

ANK免疫細胞療法と非常に紛らわしい「NK細胞療法」なる名称の治療法もあります。

しかしNK細胞は、ありきたりの方法でクリニック内で培養しても、簡単に活性化したり増えたりしてくれる細胞ではありません。

「免疫細胞療法なら、みんな同じようなもの」と考えるのは、大きな誤解です。

報道では一般に、保険適応のことを「承認」と言っている場合が多いのですが、そのいわゆる「承認」以前に、あまりにも理論的根拠が乏しい免疫療法がはびこっています。

クリニックでオプジーボの保険適応外処方という、はなはだ危険な治療を実施しようとする医師たちさえ、現にいるのです。

今後、正しい免疫療法の普及を図りたい厚労省や、ワーキンググループの専門家にも、そういう現状を憂えている人が、おそらく多いのではないでしょうか。

【次のページ】将来の免疫療法の主役は免疫細胞療法へ

【前のページ】戦いに疲れた免疫細胞、再び力を取り戻す方...

一覧へもどる

がんの相談センター

ご相談・資料請求はこちら