ウェルネスコラム「大腸がん幹細胞を標的とした治療モデルの開発に成功」

ウェルネスコラム

理事長ブログ

大腸がん幹細胞を標的とした治療モデルの開発に成功

慶應義塾大学が、がん幹細胞の機能の解析および、がん幹細胞を標的とした治療モデルの開発に成功したというニュースが3月31日に発表されました。慶應義塾大学医学部の佐藤俊朗准教授らの研究によるもので、3月29日に「Nature」にも掲載されました。


がん幹細胞とは、幹細胞の性質をもつがん細胞のこと。がんの発生だけでなく、転移や再発に大きく影響するといわれています。ですから、がん幹細胞の機能を解析し、がん幹細胞を標的として治療モデルを開発したということは、がんの根治に一歩近づいたということになります。


佐藤俊朗准教授らの研究によって、ヒト大腸がん組織の中に、がん幹細胞が存在していることが明らかになりました。


さらには、がん幹細胞だけを殺す標的治療だけでは、根源的な治療が困難であることも確認されました。治療を中止すると、殺したはずのがん幹細胞が再びあらわれることもあったようです。


加えて、がん幹細胞の標的治療と既存のがん治療薬を組み合わせた治療の効果検証も行われました。がん治療薬である「セツキシマブ」を投与し、その後にがん幹細胞標的治療を施すと、腫瘍の縮小が認められました。しかし、いずれか一方のみでは根治には至りませんでした。双方を組み合わせることで治療が可能になることが明らかになったのです。


がん幹細胞の存在は知られていて、進行がんを既存の殺細胞剤(標準治療で使用される抗がん剤のこと)で治療しても完治しないのは、殺細胞剤ががん幹細胞を殺せないからだという事実が明らかになっています。


今回のニュースで、慶應義塾大学ががん幹細胞を標的とした治療モデルの開発に成功したものの単独では完治に結び付かないというのは、2通りの理由が考えられます。


①治療モデルががん幹細胞のみを殺してがん細胞を殺さない

②治療モデルががん幹細胞をすべて殺せない

のいずれかによると思われます。


活性の高いNK細胞は、がん幹細胞を殺すことができる唯一の免疫細胞です。

【次のページ】高齢患者への抗がん剤の効果の大規模調査つ...

【前のページ】郵送がん検診のデメリット

一覧へもどる

がんの相談センター

ご相談・資料請求はこちら