ウェルネスコラム「新しい免疫療法「CAR-T(カーティー)細胞療法」、実用化に向けた動き本格化」

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新しい免疫療法「CAR-T(カーティー)細胞療法」、実用化に向けた動き本格化

2018年1月24日、名古屋大学病院が、急性リンパ性白血病の患者を対象に臨床研究として「CAR-T細胞療法」を実施することを厚生労働省に申請し、了承されました。

同療法は、2017年にアメリカで承認された「キムリア(ノバルティス社)」と同じメカニズムのがん治療法で、患者の体内から免疫細胞(T細胞)を取り出し、遺伝子操作して攻撃力を高めて戻す新たな免疫療法です。非常に効果が高く、臨床研究ではB細胞性急性リンパ芽球性白血病の患者に投与して、83%が完全寛解したと発表されています。日本でも自治医大がタカラバイオと共同で臨床研究を進めていました。

しかし、従来の技術では細胞の遺伝子操作にウイルスを用いる「ウイルスベクター方式」がとられており、これだとウイルス管理のために多大なコストがかかることが問題でした。現にキムリアは1回の治療でおよそ5千万円の費用がかかるとされています。

今回臨床研究されるのは、信州大の中沢洋三教授によって開発された、ウイルスを使わずに酵素を使う「酵素ベクター方式」を使った技術による治療法。大幅なコストダウンに成功したものです。

共同研究している高橋義行・名大教授によると、材料費はウイルスの10分の1以下、またウイルスを扱うことで生じる安全対策や施設整備のコストを10~15分の1以下に減らせる可能性があるとのこと。「高額だと、最後の手段としてしか使えない。低コストで早い段階から複数回使うことが可能になれば、治療成績がさらに上がる。日本発の技術でより安く供給できる道を模索し、少しでも早く病気の子どもたちに届けたい」と話しています。

名大はまず成人12人を対象に治療を実施。安全性を確かめてから、小児にも使う予定です。並行して製薬会社と契約し、この手法で作ったCAR-T細胞を含む液体を新薬として開発し、早期の薬事申請を目指すとしています。

参考URL: がん患者自身の細胞、遺伝子操作で味方に 実用化へ前進

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