コラム「がんの粒子線治療に保険適用拡大の見込み 前立腺がんや骨軟部腫瘍など」

コラム

2018年01月22日医療ニュース

がんの粒子線治療に保険適用拡大の見込み 前立腺がんや骨軟部腫瘍など

従来の放射線治療よりも副作用が少なく、がん細胞へ効果的にダメージを与えるとされるがんの粒子線(陽子線、重粒子線)治療について、新たに前立腺がんなどでも公的医療保険に適用される見込みになりました。

厚生労働省の診療報酬調査専門組織医療技術評価分科会(医技評)が2018年1月15日に「診療報酬改定で(保険適用に)対応する優先度が高い」と評価したもので、新たに異論がなければ4月にも保険適用されることになります。

粒子線治療は、放射線治療の一種。体を通り抜ける性質を持つ電磁波(X線、ガンマ線)を使った標準治療となっている放射線治療とは異なり、水素や炭素などの原子核といったミクロの粒子を使った放射線治療です。

水素を使う場合は陽子線治療、炭素イオンの場合は重粒子線治療と呼び、重粒子線治療のほうが短時間で効果をあげられる治療となっています。

電磁波を使った放射線治療は、がん細胞に届くまでの正常な細胞に与えるダメージが大きく、またがん細胞を通過しても正常な細胞にダメージを与えてしまいました。しかし粒子線は限られた範囲に照射し、がん細胞にあたるとダメージが最大になり、それ以降はほとんど人体に影響しなくなります。

このため、がん細胞をピンポイントで攻撃する体にやさしい治療法として注目されていました。

しかし、各地の治療施設がそれぞれの方針で治療を行って、統計学的に有意なデータがとれていないという理由で、2007年に先進医療に適用されたものの保険適用には至っていませんでした。そのため、陽子線治療で250万~300万円、重粒子線治療で300万円以上という高額な技術費が治療のネックになっていました。

2016年の診療報酬改訂で、ようやく小児がんへの陽子線治療が公的医療保険の対象となりましたが、さらに臨床試験やデータを重ねて、新たに前立腺がんと、切除が難しい骨軟部腫瘍(骨のがん)の陽子線治療、一部を除く頭頸部悪性腫瘍(鼻などのがん)の粒子線治療が保険適用の優先的適用対象になりました。

【参考】http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/282487

【前のページ】光免疫療法 日本でも治験が始まる

一覧へもどる

がんの相談センター

ご相談・資料請求はこちら