ウェルネスコラム「光免疫療法 日本でも治験が始まる」

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光免疫療法 日本でも治験が始まる

米製薬ベンチャー「アスピリアン・セラピューティクス社」が2017年12月、厚生労働省に治験(臨床試験)計画を届け出ていた、近赤外線を使ってがんを治療する「がん光免疫療法(PIT)」の国内初の治験が、国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)で2018年3月から始まることが決まりました。

同療法は、がん細胞に特異に付着する抗体に、近赤外線に反応して発熱する色素を付着させて人体に注入することで、がん細胞のみを狙って破壊するものです。近赤外線はテレビのリモコンに使用されている波長の光で、人体に害はありません。副作用もほとんどなく、あらゆるがんに効果があると期待されています。

同療法が発表されたのは2011年、米国国立がん研究所(NCI)と米国国立衛生研究所(NIH)の主任研究員である小林久隆氏らの研究グループによってでした。2015年から米国で治験が始まり、第一相の結果では、15人の患者のうち14人にがんの縮小が認められ、そのうち7人はがんが消失したとのこと。残る1人もがんは進行しませんでした。第二相の治験も進んでおり、米国では早ければ2019年にも認可される見通しです。

「がん光免疫療法」は、動物実験では、がん細胞を攻撃するキラーT細胞が活性化し、転移がんもほとんど消失するという効果も認められました。これは、がん細胞が破壊されることで細胞内の物質が放出され、この物質をキラーT細胞が異物として感知することで活性化する、という仕組みになっています。この効果を活用できれば、転移したがん細胞への攻撃や、手術で切除したがん細胞の残部を消滅させる、といった治療への応用が考えられます。

この治療法が確立すれば、手術や抗がん剤、放射線治療では治療できなかった、末期がんや転移がんを含めたがんの8~9割は治療が可能になる見込みとなっています。3大療法とは異なる新たながんの治療法として、期待されています。

【参考】光免疫療法 近赤外線で治療 がんセンター3月から治験へ

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