ウェルネスコラム「がん免疫治療薬「オプジーボ」による副作用・重症筋無力症を調査」

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がん免疫治療薬「オプジーボ」による副作用・重症筋無力症を調査

慶應義塾大学医学部内科学(神経)教室の鈴木重明専任講師を中心とした全国14病院・研究機関等による研究グループは、がんに有効とされるがん免疫治療薬「オプジーボ」によって引き起こされる副作用・重症筋無力症の特徴を明らかにしました。


がん免疫治療薬「オプジーボ」は、免疫機能を調節することで多くのがん患者に有効な薬で、悪性黒色腫や肺がんなどに適応拡大されてきました。2017年9月には胃がんへの適応拡大がなされる見込みであり、話題を呼んでいる薬です。

一方、これまでの抗がん剤にはない副作用も報告されています。重症筋無力症も「オプジーボ」の副作用の一つとして知られていますが、その内容は明らかにされてきませんでした。


重症筋無力症は、通常は薬と無関係に発症し、日本には約25,000人の患者がいます。

発症すると神経と筋肉のつなぎ目の部分に免疫の異常が起こり、体全体の筋肉もしくは部分的な筋肉が動かなくなり、最悪呼吸ができなくなる重篤な状態に陥る可能性があります。


今回研究グループは、「オプジーボ」によって重症筋無力症が発生する頻度が低いこと、しかし発症した場合は重篤になる可能性も高く適切な診断と早期の治療が必要になることを突き止めました。


研究グループは、2014年9月から2016年8月までの2年間で、国内における「オプジーボ」の副作用発生を調査したところ、「オプジーボ」を投与された9,869人のがん患者のうち12人(約0.12%)が重症筋無力症を発症し、そのうちの9人は1回もしくは2回目の点滴投与を行った直後に発症しました。症状は、薬と関係なく発症した場合に比較して重く、9人のうち6人が重篤な状態に陥り、うち2名は死亡していたことが判明しました。


安全ながん治療のためには副作用に対する正しい理解が必要であり、「オプジーボ」による重症筋無力症を早いうちに診断し、医療チームが連携して治療を行うことで症状の重篤化を防ぐことができるようになります。加えて「オプジーボ」を開始する際に、重症筋無力症の発症を予測できる検査方法の開発が待たれます。

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