ウェルネスコラム「大腸がんの代謝が変化するメカニズムを解明――慶應義塾大学」

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大腸がんの代謝が変化するメカニズムを解明――慶應義塾大学

慶應義塾大学は、大腸がんの代謝が変化する仕組みを解明したと発表しました。


がんの代謝といえば、抗がん剤ががんの代謝を阻害してがん細胞を死滅させようとする仕組みを持っていることで知られています。


がん細胞は、正常細胞と異なる代謝を使って生存に必要なエネルギーを生産していることが知られています。今からおよそ100年前にドイツの生理学者オットー・ワールブルグがこのことを突き止めて、ノーベル生理学・医学賞を受賞しています。ワールブルグの発見が基点になり、がんの代謝研究が盛んに行われてきましたが、がん細胞がどのようなメカニズムで代謝を変化させるかは解明されてきませんでした。


今回の研究は、100年来の謎であったがんの代謝を制御する因子を初めて明らかにするものでした。

同大学先端生命科学研究所の曽我朋義教授らの研究グループは、大腸がん患者275名から採取された正常組織とがん組織に存在する生体分子を最先端の分析技術で測定しました。


その結果、大腸がんの代謝はがん遺伝子の産物である「MYCタンパク質」によって制御されており、「MYCタンパク質」は良性腫瘍の段階で発現し、それにより代謝が劇的に変動していることを明らかにしました。この代謝の変動が、細胞ががん化して増殖するためには必要不可欠であると突き止めました。


曽我教授は、「この成果によって、大腸がんの予防法や治療法の開発が進展すればうれしいです」と話をしています。


国立国際医療研究センターの清水孝雄AMED-CREST研究開発総括は、「がん組織で代謝が変わるという研究は多いですが、多数の大腸がん患者検体を用いてがん部と非がん部における数百の代謝物を系統的に調べた研究はこれまでないものでした。腫瘍形成の初めから代謝変化が起きており、診断および治療へは応用されやすいでしょう」と期待を寄せています。

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