ウェルネスコラム「がんの治療にはいくらかかる? 部位別の治療費のあらまし」

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がんの治療にはいくらかかる? 部位別の治療費のあらまし

治療費を心配する男性の図

がん治療には多額の費用がかかります。そのため、どの程度お金が必要になるのか、気になる人も多いでしょう。実際にかかる費用は、がんの部位や治療方法によって異なり、一概には言えません。ここでは部位ごとに例を挙げて、がん治療費がどのくらいかかるかを大まかに見ておきましょう。

がんの治療にはどれぐらいかかる?

がんの治療費には、保険診療で標準治療を受ける費用と、自由診療で先端治療を受ける費用などがあります。まず、よく知られているがん治療法について大まかな治療費を見てみましょう。

以下は、基本的な治療コストの例で、あくまで目安と考えてください。込み入った手術など、治療が複雑になればその分、追加の費用がかかります。また、医療サービスには初診・再診料、管理料、処置料、検査料、麻酔料、投薬料、注射料、入院料など、ほかにもさまざまな費用がかかります。

標準治療

▼手術

食道がんの単純切除術は50万円前後。食道再建を伴う場合は70万~125万円。

胃がんの切除術は55万円強、腹腔鏡下切除術は約65万円。

大腸がんの腹腔鏡下切除術は約60万円。

▼抗がん剤

大腸がんでFOLFOX療法1コース(14日間)を12回実施した場合、30~40万円前後。

胃がんでTS-1を1クール(1回量50mg、28日)服用すると7万6000円強。1年間続けた場合、約60万円。

▼放射線

一般的なリニアックによるX線療法1クール(30回)で30~60万円。

トモセラピーによる強度変調放射線治療(IMRT)で1クール(30回)100万円前後。

自由診療

▼ロボット手術

「ダヴィンチ」によるロボット支援手術が保険適応外の場合、200万~300万円。

▼分子標的薬

用途の広いトラスツズマブ(商品名ハーセプチン)で年間300万円弱。

免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブ(商品名オプジーボ)は、薬価が大幅に引き下げられた結果、体重60kg前後の人で年間700万~800万円。

▼免疫細胞療法

ANK免疫細胞療法1クールで400万円強。

▼粒子線療法

保険適応外の放射線療法である陽子線療法や重粒子線療法は、300万円前後。

保険診療と自由診療の費用の違いは?

以上のように、がん治療には、標準治療でも自由診療でも大きなコストがかかります。一般的な「手術+抗がん剤」中心の治療でも、検査料や入院料などを合わせた治療費はたいてい100万円単位になります。

では、なぜ私たちは自由診療だけを「高額だ」と感じるのでしょうか。それは、公的医療保険に助けられているからにほかなりません。

保険診療の費用は原則3割負担(現役世代の場合)。そこで、例えば50万円の手術料に対する一般的な自己負担額は15万円となります。

さらに、国民(患者様)の経済的負担を軽減する「高額療養費制度」があり、高額な医療費がかかった場合には、一定の自己負担限度額を超えた分、助成が受けられます。
がん治療費用の負担を軽くする公的補助制度について

その結果、平均的な所得の人が保険診療で自己負担する治療費は、通常、1カ月あたり10万円以内に収まるようになっています。

一方、自由診療の治療費は全額自己負担。治療法や医療施設ごとに患者様の負担額は異なりますが、1つの治療につき100万円単位の支払いとなるのが普通です。

部位ごとの治療方法とその費用について

自由診療にかかる費用は千差万別なので、ここでは保険診療にかかる費用だけを挙げることにします。例えば、標準治療に自由診療のANK免疫細胞療法を組み合わせる場合は、ほかに1クール400万円強の費用が必要になります。

※がんの治療内容は患者様ごとにケースバイケースであり、ここに挙げている治療費はあくまで一例です。

胃がんの治療例とその費用

《自己負担10万~50万円/年》

胃がんの定型手術は55万円強、腹腔鏡手術は約65万円ですが、腹腔鏡術の方が入院期間が短いので、いずれも手術と入院費で120万~130万円前後になることが多いでしょう。

その後が定期検査のみなら、自己負担は1年目で10万円強、2年目以降3万円ほどとなるのが一般的です。

一方、再発予防などの治療を行なう場合は、抗がん剤治療等に年間100万円弱、検査などに年間15万円ほどかかるケースが多く、自己負担額は1年目で50万円前後、2年目以降5万円ほどになると見積もられます。

大腸がんの治療例とその費用

《自己負担10万~50万円/年》

大腸がんの手術コストは胃がんより少し安く、2週間前後の入院期間で手術・入院費は100万円強になる場合が多いと思われます。

その後が定期検査のみなら、自己負担は1年目で10万円強、2年目以降4万円ほどです。一方、再発予防などの治療を行なう場合は、抗がん剤治療などに年間100万~200万円(薬の種類による)、検査等に年間15万円ほどかかるケースが多く、自己負担額は1年目で40万~50万円、2年目以降5万円ほどと見込まれます。

肺がんの治療例とその費用

《自己負担10万~30万円超/年》

肺がん(非小細胞性がん)の手術料は、術式により60万~125万円超。肺葉切除術などで2週間前後入院すると、手術・入院費は150万~160万円を超える場合があります。

ただし、手術前後の治療には高額療養費が助成されるので、それで自己負担がはね上がるというわけではありません。その後が定期検査のみなら、1年目で10万円強、2年目以降5万円ほどの自己負担になることが多いと思われます。

一方、再発予防などの治療を行なう場合、抗がん剤治療などに年間100万円前後かそれ以上、検査などに年間15万円以上かかります。自己負担額は1年目で30万円前後、2年目以降数万円が普通ですが、高額の薬を使えば年間100万円を超えるケースもあります。

乳がんの治療例とその費用

《自己負担50万~60万円超/年》

乳がん治療は、切除範囲を小さくする温存手術に、術前・術後の抗がん剤治療、放射線療法と、長期のホルモン療法を実施するパターンが一般的です。治療費は、ホルモン療法剤や分子標的薬の適否によってかなり幅があります。

温存手術で1週間程度入院すると手術・入院費は70万円前後。それに加え、抗がん剤・放射線・ホルモン療法などで120万~150万円ほどかかります。術後再発予防の抗がん剤治療に分子標的薬トラスツズマブ(商品名ハーセプチン)が併用できる場合、抗がん剤治療の費用が数倍になることが多く、治療費が最も高額となります。

それでも、高額療養費制度があるため、自己負担額が大きく増えることはありません。乳がん治療の自己負担額は1年目で50万~60万円超、2年目以降はホルモン療法などで10万円前後となるケースが多いようです。

前立腺がんの治療例とその費用

《自己負担20万円前後/年》

前立腺がんの主な治療法には、根治を目的とする手術、放射線療法と、がんの増殖や転移を抑制するホルモン療法があります。治療法によって費用に差がありますが、ここでは、関心の高い治療法について例示しましょう。

前立腺がんでは、ダヴィンチによるロボット手術が2012年から保険適応になっており、この手術費は95万円強。この術式を取ると手術・入院費は通常150万円程度になります。一般的な自己負担額は、高額療養費制度により20万円前後に軽減されます。

また、放射線療法の中からトモセラピー(IMRT)を選択した場合、7~8週間通院し、40回弱の照射を受ける費用が通常150万円程度かかります。やはり高額療養費制度により自己負担額は20万円前後になるケースが多いと思われます。

ホルモン療法は、これらの根治術より患者様の経済的負担が大きくなります。使う薬にもよりますが、薬代を含む毎月数万円の治療費を原則3割負担。高額療養費が適用されないので、年間10万円超~20万円超を長期にわたって自己負担することになります。


がん治療を保険診療(標準治療)の範囲で考えると、一般的な治療費の自己負担額は、多い月で10万円前後、年間で数十万円となるのが普通です。

ただし、実際の治療にかかるコストは、私たちが窓口で支払う金額の数倍から十数倍以上になっているのが現実です。また、入院時の食費や差額ベッド代をはじめ、休業中の生活費など、療養には治療費以外のお金もかかります。

進行がんの治療まで考えるなら、自由診療も視野に入れて、数百万円の出費を想定しておくのが賢明です。

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