ウェルネスコラム「がんの緩和ケアについて知っておきたいこと」

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がんの緩和ケアについて知っておきたいこと

がんの緩和ケアというと、末期のがん患者が治療をあきらめて最期に行き着く終末期医療、というイメージがあります。

しかし、似た言葉のホスピスとは異なり、緩和ケアには「終末期の」という意味は含まれておらず、患者の精神的・身体的苦痛を取り除くための医療行為という意味になっています。

むしろ、がんになったとわかったら、真っ先に考慮してほしいのが緩和ケアの受診です。

ここでは、その理由についてや、緩和ケアの現状についてご紹介いたします。

緩和ケアは終末期医療とは限らない

がんという病気は、治療の過程でさまざまな苦痛を伴います。

がんが大きくなって神経などに浸潤してくると激しい痛みや苦しみをもたらしますし、手術で内臓を摘出すれば苦痛だけでなくその後の生活にも支障をきたします。

抗がん剤の副作用で吐き気や、発疹やかゆみなどの身体的異常をもたらすこともあります。

こうした多くの苦痛や生活上の不都合を、治療の見込みがなくなって余命宣告された末期患者にまで強いるのは望ましいことではないとして、ホスピスケアという考え方が生まれました。

治療を目的とせず、患者が安らかに過ごせるように援助するケアプログラムを提供しようとしたのです。

ホスピスケアは世界に広まりましたが、一方で末期のがん患者に提供されるケアサービスであり、そのサービスが提供される施設を指すようになったことから、ホスピスは死に場所という意味合いが強まってしまいました。

そこで、カナダで緩和ケアという言葉が生まれました。

単に精神的・身体的苦痛を緩和するケアという意味の言葉にして、終末期医療のイメージを払しょくしようとしたのです。

世界保健機構(WHO)は、2002年に緩和ケアを次のように定義しています。

「緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、疾患の早期より痛み、身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題に関してきちんとした評価をおこない、それが障害とならないように予防したり対処したりすることで、クオリティー・オブ・ライフを改善するためのアプローチである」

緩和ケアは単に「命を脅かす疾患」に対して行われるべきであるとされ、がんにも終末期にも限定されず、同じ苦悩を抱える患者に広く提供されるべきとされました。

ただし、医療関係者でさえいまだに終末期医療というイメージが強く、治療の施しようがなくなってから緩和ケアを紹介するということが多いようです。

しかし、がんは治療中に多くの苦痛をもたらしますので、むしろ治療中にこそ緩和ケアが必要なのです。

そのため、厚生労働省は正しい知識を広めようと、医師や看護師を含めた医療従事者に向けて緩和ケアの普及啓発事業を行っています。

緩和ケアを受けるには

がんになったとわかったら、緩和ケアを受けることを検討しましょう。

理由のひとつは、まだ治療が始まったばかりで身体的な苦痛が少なくとも、心理的なショックは告知後が大きいので、精神的ケアは早くから行ったほうがストレスをやわらげることができるからです。

全国のがん診療連携拠点病院には、必ず緩和ケアチームが存在します。

医師や看護師、薬剤師だけでなく、ソーシャルワーカー(療養に関わる助成制度や経済的問題などを担当)、心理士(カウンセリングを行ったり、家族のケアも担当)、栄養士(嚥下に関わる問題に対応して食事の内容や食材、調理法についてのアドバイスを行います)、リハビリテーション(患者さんの自立を助けます)などがチームとして治療に参加し、全人的なケアを行います。

緩和ケアには費用がかかりますが、1日あたり4000円で、健康保険が適用されます。なので、3割負担とすれば1日1200円となり、またひと月の治療費が高額になれば高額医療費制度が適用されるので、限度額を超えた分は払い戻しを受けることができます。

終末期の緩和ケア

がんの進行が進み、これ以上の完治を目標とした治療が困難となった場合、もしくは患者本人がそれらの治療を希望しなかった場合、緩和ケア病棟への入院が望まれます。

緩和ケア病棟では、患者の苦痛を取り除くためのプログラムや、家族と一緒に過ごしやすくする設備が整えられています。

基本的には完全に個室ですし、面会時間の制限も少なく、寝泊りができるように家族用のベッドやソファーなどが備え付けられています。

入院費は、厚生労働省から認可された緩和ケア病棟であれば定額制となっており、30日以内の入院の場合1位日49260円、31日以上60日以内の場合は1日44120円、61日以上の場合は1日33840円となっています。

これらは健康保険が適用されるので、自己負担分の費用だけ払えばよく、また高額医療費制度も適用されます。

家族にとって、決して少なくない負担かもしれませんが、ある程度長い期間の入院となっても、続けられるような負担額となっています。

ただ、緩和ケア病棟では治療にかんする問題が起きないこともなく、例えばがんは体内で出血を起こすのですが、体内出血にともなう貧血などの症状は輸血によりやわらげられます。

しかし大量の輸血は緩和ケアの範疇となるかどうかはグレーであり、多量の輸血療法は推奨されていません。

そのため、一般病棟での治療をしなければならなくなったりするなど、自由な治療がときに選択できなくなる場合もあります。

ただ、そういったいくつかの問題を除けば、一般病棟での入院よりは安らかに過ごすことができるのが、緩和ケア病棟となっています。

がん以外の患者も緩和ケアを利用できる?

緩和ケアは、がん以外にも適用されるようになっており、治療による苦痛や悩みなどがあれば、緩和ケア外来のある病院を受診することをおすすめします。

しかし緩和ケア病棟については、がん患者かエイズ患者のみの適用となっておりますので、残念ながらそれ以外の患者が利用するのは難しい状況です。

今後は厚生労働省の主導で緩和ケアを広めて、がん患者の早期の利用、がん以外の患者の利用、在宅での緩和ケアの利用などが進められています。

緩和ケアがもっと広まり、可能な限り苦痛を取り除いた闘病ができる社会になることが期待されています。

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