ウェルネスコラム「標準治療の限界を打破する鍵となる完治をめざす「がん治療設計」とは(1)」

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がん治療コラム

標準治療の限界を打破する鍵となる完治をめざす「がん治療設計」とは(1)

ANK東京がんセンター院長石井光、リンパ球バンク株式会社代表取締役藤井真則の対談企画 標準治療の限界を打破する鍵となる完治を目指す「がん治療設計」とは

2015年3月13日の読売新聞に掲載された意見広告を転載しています。

がんによる死亡者数が増加傾向にある日本

藤井真則
日本のがん死亡者数の現状を、どのように捉えていらっしゃいますか。
石井  光
厚生労働省が発表した「死因別死亡数推移 平成25年人口動態統計」によると、約20年にわたり、右肩上がりでがん患者が増え続けていることが明らかになっています(図表1)。
【図表1】 がんによる死亡者数の推移
がんによる死亡者数が増え続けている一方でがんを克服している人も少なくありません。助かる人とそうでない人の違い――その大きな要因の一つが「がんの種類」にあります。がんはまとまりのよい「局所のがん」(限局)と周辺に散らばりやすい性質の「飛び散るがん」(遠隔)の二つに分けられます。

局所のがんとは具体的には「発症した位だけに固まっているがん」のことを指し、早期がんのほとんどがこのタイプです。局所のがんであれば、保険診療の手術や放射線治療でがん細胞を根こそぎ取り去ることが可能です。特に食道、胃、大腸などの消化器系の臓器にできる早期がんは内視鏡や手術で周辺粘膜ごととるだけでほぼ治ります。
その後に転移が見つかる割合も5%以下と非常に低い確率です。局所のがんであれば、助かる確率はかなり高いといえるでしょう。
藤井真則
それにもかかわらず、がんによる死亡者数が増加しているのが現状です。その原因はどこにあるとお考えでしょうか。
石井  光
厄介なのは「飛び散るがん」ということになります。
 「飛び散るがん」は進行がんに見られるもので、「発症した部位以外のところにもがん細胞が侵食した状態のがん」を指します。がん細胞がリンパ液や血液に乗って全身に散らばってしまうと、腫瘍を取るだけで治すのは困難です。全身に散ったがん細胞を根絶しなければ、残ったがん細胞が体のどこかにいつまた腫瘍をつくるかわかりません。

 「局所のがん」と「飛び散るがん」では5年生存率が大きく異なることを示すデータがあります(図表2)。
【図表2】 がん患者の5年相対生存率
このデータは、全身に散らばったがんを根絶することがいかに難しいかを如実に物語っているといえるでしょう。

「飛び散るがん」に対する標準治療の実態

藤井真則
健康診断やなんらかの異変をきっかけにがんと診断されると、たいていの人は保険診療の範囲で行われる標準治療と呼ばれる治療法の中でがんとの闘いをスタートすることになりますが。
石井  光
主に手術、放射線治療、抗がん剤による化学療法を使った治療方針が検討されます。
このうち、手術と放射線治療は「局所のがん」に有効です。「飛び散るがん」に対する治療の場合は、抗がん剤(殺細胞剤)が使われることになります。殺細胞剤の仕組みは、分裂中の細胞のDNAに取り付いて、細胞の複製を妨げるというものです。これにより、異常な分裂を繰り返すがん細胞を叩くことができるというわけです。しかし、狙っているのが分裂中の細胞のため、正常細胞にもダメージを与えてしまうという欠点があります。それとは逆に、分裂しないがん幹細胞には反応せず、がん細胞は体の中にとどまり、転移・再発を繰り返すことになるのです。

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