コラム「がんの骨転移とは何か?生活の質を維持するために知るべきこと」

コラム

2017年12月07日がん治療コラム

がんの骨転移とは何か?生活の質を維持するために知るべきこと

癌 骨転移の図

がんの骨転移は、痛みだすと生活の質(QOL)を低下させますが、直接命を脅かすものではないので、過度に恐れる必要はありません。ただし進行すると骨折やまひなどを起こすため、早めの対処が鍵になります。骨転移を正しく知って、上手に付き合う方法を考えましょう。

自由診療と標準治療は組み合わせることができる

骨転移とは、文字どおり、がんが骨に転移することです。ほかの臓器への転移と同様、どんながんでも骨転移を起こす可能性はあります。そして、骨転移が見つかれば、やはり進行がんと診断されます。

ただし、骨転移の場合、ほかの転移と少し異なる特徴があります。それは、骨転移そのもので直接命を脅かされることは少ないという点です。骨転移と聞くと多くの患者様は不安を感じると思いますが、むしろ、早めに対処して生活の質の維持を考えるのが得策です。

がんの骨転移の症状の現れ方

骨転移の主な症状には、痛み、骨折、まひがあります。これらは患者様のQOLを低下させますが、いずれも命の危険には直結しません。そして、3つの症状は一度に出現するのではなく、骨転移の進行に伴って順番に現れてきます。

① 痛み

骨転移が起こると、初めに違和感が生じ、次いで痛みが現れます。そうした早い段階で治療を始めるのが理想的です。

② 骨折

痛みが出ても我慢して放置していると、ちょっとしたきっかけで骨折するようになります。がんの骨転移で骨折した場合、けがのようには回復せず、進行していきます。そこで、がんを叩く治療が必要です。

③ まひ

治療が遅れると、骨が破壊された部位の先にまひが生じます。最悪のケースは、骨髄損傷による下半身不随です。そうしたリスクを避けるために、早めの対処が望まれるのです。

がんの骨転移の診断と検査

がんの種類にもよりますが、骨転移のスクリーニング検査は、通常、定期検診にも含まれています。実際に骨転移が疑われる場合は、さらに詳しく検査されます。

① 定期検診によるスクリーニング

原発がんを治療した後の定期検診でも、通常、骨転移の有無が確認されます。例えば、腫瘍マーカーのデータも転移を疑う材料になりますし、CT検査の画像には骨の情報が含まれていますから、骨転移が疑われる場合、主治医は精密検査を検討します。

② 骨転移が疑われる場合の検査

すでに痛みなどが出ていて骨転移が疑われ、部位も見当がつく場合は、まず大まかな状態や重症度を把握するためにX線検査を行ないます。そして多くの場合、MRI検査を行なって、放射線治療の必要性を検討したり、まひのリスクを評価したりします。骨折の状態をより詳しく調べるときには、CT検査も実施されます。

がんの骨転移に有効な治療法は?

骨転移も「がん病巣」ですから、治療の主眼は、がん細胞を叩いたりがん細胞の活動を抑えたりすることです。ほかのがんと同様、薬物療法や放射線治療を行ない、必要に応じて手術を実施します。

① 薬物療法

まず実施されるのが薬物療法で、抗がん剤(殺細胞剤)、抗ホルモン剤、分子標的薬などにより骨転移巣が小さくなることがあります。また、骨組織内の破骨細胞(組織を代謝させるために骨を破壊している細胞)の活動を抑える薬なども使われます。

② 放射線治療

次に検討されるのが、骨転移巣を叩く放射線治療です。始めるタイミングが遅れると骨折やまひのリスクが高まる一方、放射線照射を早く始めすぎてもデメリットがあります。そこで、一般に痛みが現れた段階で検討されます。

③ 手術

骨転移により骨折が起こった場合は、手術が必要となります。手足の骨折なら、プレートや人工関節を使って再建することができます。ただし、背骨の骨折はまひにつながるので、より早い段階での対処が望まれます。


骨転移は、直接的に命を脅かすものではないため、過度に怖がる必要はありません。ただし、骨折やまひのリスクがあるので、より早期に発見して治療を始めることが良好なQOLの維持につながります。違和感に気づいたら、早めに主治医に相談してください。

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