コラム「全額自己負担となる、がん先端治療の費用について」

コラム

2017年11月28日がん治療コラム

全額自己負担となる、がん先端治療の費用について

治療費の図

がん治療には、手術・化学療法・放射線療法を3本柱とする標準治療のほかにも、さまざまな先端治療があります。ただし、その多くは公的医療保険の適応外で、自由診療として実施されています。ここでは、主な先端治療の費用についてご紹介します。

先端治療が高額な自由診療で実施されている理由は?

自由診療にかかる治療費は、原則として全額、患者さんの自己負担となります。

公的医療保険は、国民全体が公平な負担のもとで、平等に医療を受ける制度です。保険でまかなう治療費は、加入者(国民)が出し合った公の資金で、限りがあります。そのため、保険適応の治療があらかじめ決められ、登場したばかりの薬や最先端の治療は保険適応外のものが多いのです。

優れた先端治療を保険で受けたいと望む人は多いのですが、実際には、理想と現実の間にギャップがあるわけです。

自由診療と標準治療は組み合わせることができる

標準治療を実施している病院(保険診療施設)では、原則として自由診療は行なわれていません。「混合診療規制」という病院経営上のルールで、保険診療と自由診療を混合して実施してはいけない決まりになっているからです。

ただし、患者さんが自分の判断で複数の病院に行くことは規制されていません。保険診療施設で治療を受けている患者さんが同時に先端治療も受けたい場合は、標準治療を続けながら他の自由診療のクリニックに行けば、なんら問題はありません。

がんの先端治療にはどんなものがある?

がん治療には、薬などによる全身療法と、手術や放射線による局所療法があります。

先端治療に関して言えば、「保険適応外の分子標的薬」や「免疫細胞療法」などは全身療法、「粒子線療法」や「ロボット手術」などは局所療法です。

なお、患部にピンポイントで放射線を集中させる「サイバーナイフ」や「トモセラピー」のように、自由診療で実施されていた治療が広く保険適応になっていく場合もあります。現在、保険適応範囲が狭い分子標的薬やロボット手術も、少しずつではありますが、保険適応範囲が拡大しています。

分子標的薬

ハーセプチン

【出典】医療総合QLife

分子標的薬は、すでに欧米では主流になっている免疫系のがん治療薬です。主に細胞の増殖に関わる物質を標的とし、がん細胞の増殖にブレーキをかけるなどの目的で開発されています。自由診療で分子標的薬を使う場合の費用は、個々の薬価が異なるので一概には言えません。

一例として、代表的な分子標的薬トラスツズマブ(商品名ハーセプチン )の場合、薬剤費が1コース(3週間)およそ16万円、1年間(18コース)で300万円近くかかります。

もちろん、上を見れば高額な薬もいろいろ出てきています。自由診療での分子標的薬の投与は、その薬の使用実績に基づき、安全性と費用対効果を考えて行なわれるべきです。

免疫細胞療法

NK細胞とがん細胞の図

【出典】リンパ球バンク

健康なときにがんの発症を防いでいるのは、がん細胞を識別して攻撃できるNK細胞です。免疫細胞療法(ANK免疫細胞療法)は、がんとのせめぎあいで活性が低下している体内のNK細胞を体の外に採り出して活性化・増殖させ、体内に戻して再びがん細胞と戦わせる治療法です。活性の高いNK細胞を大量に投与すると、標準療法で全滅できないがん細胞も、最後まで追い詰めることが期待できます。免疫系の治療薬である分子標的薬と相性がよいので、可能なら同時併用が望ましく、標準治療の前や合間に実施することで治療効果を高めます。

ANK免疫細胞療法では高活性NK細胞を原則週2回投与しますが、その1クール(12回投与)の費用はおおむね400万円強となっています。

粒子線療法

陽子線療装置の図

【出典】wikipedia

通常の放射線療法で使われる光子(X線やガンマ線)と比べて、水素イオンや炭素イオンの粒子は、エネルギーを患部に集中できる特徴があります。それを利用して、がんの病巣を狙い撃ちする放射線治療が粒子線療法で、がん細胞が局所にまとまっている場合に壊滅的なダメージを与えられるのがメリットです。水素原子イオン(陽子)を利用するものは「陽子線療法」、炭素原子イオンを利用するものは「重粒子線療法」と呼ばれます。

陽子線療法にはおよそ250万円前後から300万円弱ぐらい、重粒子線療法はそれより少し高く、300万円前後の費用がかかります。実施施設が限られており、また局所療法なので、患者さんの状態により治療を受けられないこともあります。

ロボット手術

手術支援ロボット「ダヴィンチ」の図

【出典】日本ロボット外科学会

近年、手術支援ロボット「ダヴィンチ」を使ったロボット手術(ロボット支援手術)はますます普及しています。従来は困難だった視野から精密にメスを入れられるほか、傷口が小さくダメージが少ない手術を行なえるため、出血や術後の痛みが少ない、体の機能を温存しやすいといったさまざまなメリットがあります。

前立腺がんや腎臓がんへと保険適応が広がってきましたが、多くを占める保険適応外のケースでは、200万円から300万円ほど治療費がかかります。粒子線療法と同様、「先進医療」として保険診療の併用が認められるケースなら、そのぶん自己負担が軽減されます。

先端治療と先進医療は違う意味

「先進医療」という言葉は、保険診療の範囲を超えた高度な最新技術として、厚生労働省が定めている治療のことです。先進医療の治療自体にかかる費用は全額自己負担ですが、同じ医療施設で保険診療も同時に受けられるのがメリットです。そして、この治療を実施できるのは、厚生労働大臣が定める医療施設に限られます。

それ以外は、高度な最新の先端治療であっても「先進医療」とは言いません。また、保険診療や先進医療だけが国の認めている治療だという解釈も間違いです。


がんの性質によっては、最適の先端治療選びががん克服の決め手となる場合があります。先端治療にかかる費用は、以上のように300万円から400万円前後など、百万円単位かそれ以上になります。なお、原則として、標準治療を受けている病院で医師が先端治療を受けるように勧めることはありません。

先端治療を受けるかどうかを決めるのも患者様自身、先端治療を行なっている自由診療施設を探し、選ぶのも患者様自身です。がん治療を受けながら先端治療を探し、検討するのは労力的にも大変です。一般社団法人がん治療設計の窓口のような、情報整理を手伝ってくれる機関を利用するのも一つの方法です。

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