ウェルネスコラム「おわりにーー医者の罪と罰」

ウェルネスコラム

書籍連載

おわりにーー医者の罪と罰

本文で、今の医療の悪い面ばかりをあげつらいましたが、標準治療とANK免疫細胞療法との組み合わせに協力してくれる標準治療の専門医や保険診療機関も少しずつ増えてきました。ありがたいことだと思い、大きな希望を抱いています。

私は、決して日本の医療の将来を悲観しているわけではありません。多くの後輩たちとともに、より素晴らしいものに変えていきたいのです。国民の皆さんの協力が必要です。

普通、世の中で広く認められるのは、医学部の教授などかもしれませんが、私は開業医になってよかったと思っています。

まず、医学部で偉くなるまで辛抱するというのは、私の性に合いませんでした。

私の学位論文は、十二指腸まで届く当時最先端のファイバースコープと、ERCP(内視鏡的膵胆管造影)で培った技術で採取した純膵液中に、インスリンを見いだしたものでした。

ERCPで採取した純粋な膵液は、当時、非常に貴重なものでした。そこで、膵臓が血中に内分泌しているインスリンが、膵液中にも外分泌されているのではないかと仮説を立て、検証してみたのです。すると、インスリンらしい物質が存在することはたしかに認められました。

研究の途中で実家の病院に戻るため大学を辞めましたが、内科の非常勤講師として声をかけられた城西歯科大学で、アイソトープ研究室主任と化学講師の世話になって研究を進めることができました。その助言と協力でアミノ酸分析をした結果、私が膵液中に見いだした物質は、インスリン様物質ではなく、本物のインスリンと同定できました。

今だからいえますが、これは当時の教授の意向を無視して、自分で工夫して進めた研究でした。私には、どうも昔からアウトサイダー的な気質があるようです。

常に、新しいこと、人がやらないことを究めたいという思いにかられてきました。

思えば、コラーゲンによる動脈硬化治療の研究や、ANK免疫細胞療法の導入も、そうした自分なりの道の延長にあったのでしょう。

もちろん、ANK免疫細胞療法は私が開発したわけではありません。導入するのはいろんな意味で冒険でしたが、臨床医としてこの国をよくするために、何かをやり遂げなければという思いが勝ったのです。

私は今後も、命がけで、身を粉にして医療革命にまい進していく所存です。

そして、本書を手に取ってくれた後輩たちのうち、志ある一部の者でかまいません。

世界に誇るべき日本の医療制度を、さらに健全に発展させ、多くの患者さんたちの光となってくれることを、心から願います。

新日本橋石井クリニック
院長 石井光

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