コラム「がん医療の体系を見直して国民医療費の削減を」

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医者の罪と罰7 日本は時代遅れ 理想のがん治療設計
がん医療の体系を見直して国民医療費の削減を

がん医療費にメスを入れなければ日本の将来はない

増え続ける国民医療費が、わが国の先行きに不安を投げかけています。

現在、国民全体で使っている医療費は41兆円を超え、年々増え続けています。そのうち、がん医療費はどれだけの割合を占めているのでしょうか。

医者の罪と罰

医者の罪と罰

老人医療費が増えているとはいえ、問題はがん医療にあると私は考えています。膨大ながん患者が亡くなるまで治療を続けるだけで、莫大な費用がかかるうえ、最近出てきている新薬には、べらぼうに高いものが多いからです。

統計上、毎年がん(新生物)の治療に費やされている金額は、医療費全体の15%弱といった数字です。しかし、抗がん剤治療などを推し進めた結果生じる、合併症の治療費はここに含まれていないのではないかと思われます。

公表はされていませんが、医療費全体の半分ぐらいは、がん関連疾患の治療に費やされているのではないかと私はにらんでいます。

欧米で主流になっている分子標的薬に、化学療法をシフトすべきだと述べました。
しかし、それにも落とし穴があります。

例えば、注目の免疫チェックポイント阻害薬なども、がんを完治させる薬ではなく、延命のためのものです。その代表であるオプジーボを1年間使うと、体重60㎏の患者さん一人につき3500万円、たとえ薬価が下がったとしても1750万円です。これを、多くの人が延々と使い続けることになるのでしょうか。

殺細胞剤を大量に使い続けるのもおかしいけれども、分子標的薬を使い続けるのも医療経済上問題なのです。こうした新薬に「薬価に見合う臨床的有用性があるのか」と、医療界で真剣な議論になっています。

国民全体の共有財産である医療費を、食い物にしてはいけません。

「完治しない薬」を使い続けるより免疫細胞療法という選択肢を

なぜ分子標的薬はそんなに高いのでしょうか。

新薬の開発は成功率が低い事業で、莫大な経費がかかります。一般的な生活習慣病薬でも、数百億円の費用をかけて開発されています。

そして、分子標的薬の場合、それが数千億円規模でひと桁高いのです。

日本の小野薬品とともに免疫チェックポイント阻害薬を開発したブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、PD-1抗体の製造技術を持つベンチャー企業を、およそ24億ドル(約2500億円)で買収したそうです。

それだけの巨額投資をするということは、分子標的薬が製薬業界の「ドル箱」と期待され、途方もない利益をもたらすだろうということです。

日本の製薬会社は、欧米メジャーに比べて非常に売上規模が小さいので、自前で開発する資金力がありません。だから分子標的薬は、ほとんど外資がつくっており、大きな利益を上げているのです。

米国には、1年投与すると1億円もかかる「ミリオンダラー」と呼ばれるような薬まであります。そんなものは、日本の健康保険では高すぎて認可できません。

日本の医療には高額療養費制度もあり、どんなに医療費がかかっても患者自身が負担するのは月10万円単位です。例えば、白血病の治療費はクリーンルームと膨大な抗がん剤を使うので、月に1000万円ぐらいかかります。それでも本人の窓口負担は10万円ぐらいですむというすごいしくみです。

こういう素晴らしい制度を守るためにどうしたらいいのか、そのことが常に頭から離れません。

がんを完治させられない薬を、誰を対象に、いつまで使い続けるべきなのか、そういうことが今後の医療行政に問われています。

そこに欠けているのは、NK細胞であり、免疫細胞療法ではないでしょうか。日本には、米国が完成できなかったANK免疫細胞療法があるのです。

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