コラム「がんの完治を診断する検査方法はないか?」

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医者の罪と罰7 日本は時代遅れ 理想のがん治療設計
がんの完治を診断する検査方法はないか?

血液中を循環しているがん細胞から何がわかる?

がん治療において、目に見えていた腫瘍が消えることと完治は違います。

「がんが消えました、おめでとう」と言っても、体内にがん細胞が生き残っており、かつがん免疫が回復していなければ、やがてがん細胞は、転移巣、再発がんとしてまた姿を現わします。

医者の罪と罰

医者の罪と罰

そこで一般には、治療の結果、目に見える腫瘍がなくなっても、それをもって「完治」とはいわず、寛解状態(症状が見られず落ち着いている状態)と呼んで経過観察を続けます。

乳がんのように10年後に再発するものもありますが、多くのがんは再発するなら5年以内なので、治療後5年無事でいたら、完治とみなすことになります。「5年生存率」の5年にも、そういう意味合いがあります。

しかし、5年待たなければ安心できないというのも、ようやく治療を終えた患者様にとって大きな心理的負担です。

そこで最近、私が新しい診断ツールになりうると注目しているものに、CTCがあります。CTCは「末梢循環腫瘍細胞」と訳される英語の頭文字で、患者様の血液中を流れている微量のがん細胞のことです。

すでに米国では、がんの予後などを予測するものとしてCTC検査が承認されているようです。このCTCを測定し、「消えていれば完治」と診断することができるなら、再発を心配しながら過ごしている患者様にメリットがあるだけでなく、見えないがんに対して治療が必要かどうかを判断する目安にもなりえます。

一方、CTCが測定されたとしても、そこからがんが育つには、体のどこかに定着するというプロセスが必要です。CTCの意味するところを私たちがはっきりと知るには、まだまだ研究が必要なのかもしれません。

このCTCを完治の診断ツールとして実用化できるかどうかは私もある企業と共同で臨床研究中です。

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