ウェルネスコラム「21世紀にふさわしいがん治療設計を考えよう」

ウェルネスコラム

書籍連載

医者の罪と罰7 日本は時代遅れ 理想のがん治療設計
21世紀にふさわしいがん治療設計を考えよう

抗がん剤の中心に分子標的薬を位置づける

従来の抗がん剤(殺細胞剤)は、全否定すべきではありませんが、徐々に分子標的薬に置き換えていくべきです。

いくら殺細胞剤を投与しても進行がんが完治しないのは、がん細胞だけでなく、NK細胞まで殺してしまう薬だからです。

医者の罪と罰

医者の罪と罰

しかも、最近注目されている「がん幹細胞」はがん細胞の女王バチのような細胞で、ほとんど増殖しないため、分裂する細胞だけに襲いかかる殺細胞剤はまったく無力です。そしてあるとき突然増殖して、転移・再発するのです。

このような殺細胞剤の限界は、がん専門医であれば誰でも知っていることです。

60年前から使われている殺細胞剤にいまだに依存しているのは、先進国で日本だけ。 時代遅れとしかいえません。

欧米では、もはや殺細胞剤に代わって、分子標的薬が化学療法の主流になっています。

21世紀にふさわしいがん医療を構築するには、その欧米のトレンドにならうべきでしょう。欧米との保険制度の違いを乗り越えて、分子標的薬を正しく使える医療システムに変えていかなければなりません。殺細胞剤では死滅してしまうNK細胞を温存するためです。

それでは、殺細胞剤から分子標的薬に取って代わればすべてのがんは完治するのでしょうか。実は、残念ながら延命でしかありません。免疫チェックポイント阻害薬を使っても可能なのは延命でしかないのです。それは、分子標的薬は直接がんを殺さないからです。がんを殺すのはNK細胞なのです。

しかし、がんが体内を免疫抑制状態にしているかぎり、NK細胞もがんを殺すことはできないのです。がんを完治させようとするなら、体内のNK活性を最大化することです。

ただし、いくら体内に薬剤を投与しても、がんがあるかぎりNK活性を最大化することはできません。体内のNK細胞を活性化させることに、過去そして現在の医師たちはことごとく失敗してきました。

その負の学びの上に築き上げられたのが、体の外でNK細胞を活性化するANK免疫細胞療法なのです。

硬直したガイドラインではなく一人ずつの「治療設計」を

がんの性質や状態は、人によって千差万別です。

個々の患者様に合わせて、治療法の組み合わせや、その順番を考えることを「がん治療設計」と呼んでいます。これは、標準治療のガイドラインやプロトコルとはかなり異なる概念です。

まず、「がん治療設計」のゴールは延命でなく、どんな紆余曲折(うよきょくせつ)を経てでも、目指すところはがんの完治にあります。

自由診療の臨床医である私は、個々の患者様に対して、さまざまな治療法のメリット、デメリットを考慮しながら、使える武器を総動員するスタンスで相談にあたっています。もちろん患者様が主治医に提案された標準治療を、その中心においています。

免疫療法も選択肢に入れて治療設計を考えると、どうなるか。

例えば、「抗がん剤治療はぜひ受けるべきだが、その前にリンパ球を採取して強いNK細胞を育てておきましょう」とか、「今は手術不能ですが、ANK免疫細胞療法が効いて転移巣が消えたら手術できる病院を紹介しましょう」といった相談になります。

がん治療は、さまざまな性質を持つがんに対して、一律の手順を当てはめてもうまくいくとは限りません。臨床医の使命はデータを取ることではなく、病気を治して命を救うことですから、物事を柔軟に考え、臨機応変に治療設計を変更することも意識しています。

今述べたように、私はこれらの患者様を、エビデンスを得るために治療したわけではありません。二重盲検試験(ダブルブラインド)も何もなく、いわゆるエビデンスとしての形はなしていません。そんなことは、私にはどうでもいいのです。

私のクリニックに来る患者様のほとんどは、まだまだⅢ期やⅣ期の人が中心です。

つまり、標準治療の生存率に照らせば、本来1~2年のうちに亡くなってもおかしくない人が少なくありません。

幸いANK免疫細胞療法を取り入れた治療を組み立てたことで、元気に生きておられる方がいます。その事実が重いのです。

ANK免疫細胞療法も万能ではありません。全身にがんが転移している状態でANK免疫細胞療法を単独で実施しても、成果を上げることは非常に厳しいので、分子標的薬を併用して戦いを有利にしようと努めています。

私が常々訴えているのは、がんと診断されたら早期に免疫細胞療法と標準治療の組み合わせを考え、本気で完治を目指す治療設計をしていくべきだということです。

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