ウェルネスコラム「ジェネリック医薬品が安いのには理由がある」

ウェルネスコラム

書籍連載

医者の罪と罰6 製薬・サプリメント業者の罪と罰 薬の真実
ジェネリック医薬品が安いのには理由がある

ジェネリックメーカーは自前で薬をつくってはいない

医薬品メーカーが多額の費用をかけて開発する薬剤ですが、特許期限を過ぎると、ほかのメーカーも同じ成分の薬をつくって売ることができるようになります。ジェネリック医薬品(後発医薬品)です。

医者の罪と罰

医者の罪と罰

一般に、ジェネリック医薬品は特許が切れた元の新薬(先発医薬品)と同じ効能があり、それが新薬より安い値段で買えるものだと認識されています。医療費削減の意図から、厚労省などもジェネリック医薬品の使用を推奨しています。

しかしジェネリック医薬品は、新薬より安いことは確かですが、効能などについては額面どおりではありません。

前著『医者の嘘』で、「ジェネリック薬の嘘」と題して問題提起したところ、最近、週刊誌がジェネリック医薬品の特集記事を載せるようになりました。

記事を見ると、ジェネリック医薬品の大多数は日本ではなく、インド、中国、韓国などで生産されているから信頼できない、しかも先発薬と同じ中身とはいえないなどと書いてあります。効き目に差が出る可能性があるとも書いています。

それらはすべて事実で、すでに私が前著で書いた事柄です。

私がジェネリック医薬品のまやかしに気づいたきっかけは、今から7~8年前にさかのぼります。

私のクリニックは東京のど真ん中、日本橋にあるので、いろいろな職業の患者様がいらっしゃいますが、その多くは企業に勤めている人たちです。通院している患者様の中に、あるベテランの女性社員がいらっしゃいました。

病気の原因が強いストレスと思われたので、どんな仕事なのかお尋ねしました。すると、薬を海外から輸入している会社で働いているということでした。

私が思わずどんな薬なのか問うと、バルク(原薬)だと言います。それをどこに売るのか聞くと、製薬会社だと言います。製薬会社がそれをどうするのかうかがうと、工場で錠剤やカプセルにして販売するのだと言います。

「ジェネリック医薬品は国内でつくっていないのですね」

そう私が言うと、彼女は「ほとんどがバルクを輸入しているだけです」と答えました。そこでさらに、どこから輸入しているのか聞いてみると「インド、中国、韓国です」と言います。

ジェネリック医薬品メーカーは、盛んに流すテレビのCMでは、あたかも自社で一貫製造しているかのように宣伝しているではありませんか。「あれは嘘だったんだ」と、かなりショックでした。

私は、その話を聞いたとたんに、ジェネリック医薬品は信用できないと確信しました。

海外には、平気で偽物の薬を売っている企業も

それから数年後、健診契約している大手企業の上海に赴任していた社員の方が、緊急帰国して、私の内視鏡検査を受けに来院しました。

事情を聞くと、痛風発作が起こって上海で一番とされている診療所にかけ込んだそうです。そこで薬をもらって飲んでから、1週間もしないうちに猛烈な腹痛が出て怖くなり、帰国して内視鏡検査を受けに来たというのです。

原因と思(おぼ)しき薬の容器を、「これです」と彼は見せてくれました。

プラスチックの小さなボトルを見ると、表面に紙が貼ってあり、「ZYLORIC」と印字してありました。ザイロリックはグラクソ・スミスクラインというメガファーマ(世界的な製薬会社)の商品名です。世界的に有名な尿酸値を下げる薬ですから、ザイロリックといえばひとつしかありません。

ところが、中身を見ると少し剤型が違います。薬局からザイロリックを取り寄せて比べてみると、大きさも明らかに違っていました。要するに、偽のザイロリックだったのです。

残念ながら中国という国には、平気で薬を偽造して、しかも腹痛を引き起こすような粗悪なものをつくる製薬会社があるのです。ジェネリック医薬品のバルクも同じようにつくっているのではないかと思うと、信用できるはずがありません。

最近の出来事ですが、50代の男性が内視鏡検査を受けに来ました。毎年私の検査を受けていたのですが、あるとき、急に腹痛が出現したので、ほかの医療機関で内視鏡検査を受けたそうです。

そこで彼は、逆流性食道炎と診断されて薬を処方されました。そして、その後間もなく薬剤性肝炎にかかり、やはり2カ月休職を余儀なくされたそうです。そのときの薬を見せてもらったら「ランソプラゾール」というジェネリック医薬品でした。

国は、薬全体に占めるジェネリック医薬品の使用比率を80%まで上げようと躍起になっています。しかし、どれだけの医療費削減効果があるかというと、皆さんが窓口で負担する金額は2割くらいしか変わりません。

調剤薬局は、ジェネリック医薬品を売ると調剤技術料が跳ね上がるから、患者様にも積極的に薦めるのです。要するに、薬から得られる利益が、先発薬メーカーからジェネリックメーカーや調剤薬局に移っただけなのです。

私だけでなく、多くの医者は、医療現場でしょっちゅうそういうジェネリック医薬品の弊害を目の当たりにしています。

D社が10年前、インドの世界一のジェネリックメーカーを買収しましたが、数年後に手放しました。以下は元D社の社員で私の患者から直接聞いた話です。その理由は、信じられないような話ですが、工場内にハエが飛んでいる状況がいくら注意してもあらたまらなかったことに加えて米国FDA(食品医薬品局)から強制査察を受けたことです。査察の理由は申請している成分と実際の製品に大きな違いがあったからです。

海を越えてインドに強制査察に行くというのはどれほどひどい内容かということです。

世界一のジェネリックメーカーでさえそのようなありさまですから、中国の工場については、さらに信じられないような話があちこちにあります。例えば、下水を再利用しているとか。

ジェネリックがはびこると日本発の新薬は消える

現在、ジェネリック医薬品のメーカーは数百社あります。中には、日本一の調剤薬局チェーンが自前でジェネリックメーカーを立ち上げ、自社の薬局で、自社の薬を販売するといった例もあります。

こんなことをしていると、世界のメガファーマの後塵(こうじん)を拝している日本メーカの先発薬がますます売れなくなります。

現に、新薬を開発している医薬品メーカーの売上は激減しています。私が懇意にしている先発薬メーカーの部長は、「国は私たちに死ねと言うのか」と苦しんでいます。

このままでは新薬の開発意欲も失われてしまい、ますます世界に後れを取ることになるでしょう。

こんな医療行政でいいのでしょうか。

こんなことになったのも、無知な政治家の責任です。ある政治家が、テレビでジェネリック医薬品をもっと使えば医療費が削減できるという素人発言をしていました。

当局は、そんな軽薄な議員たちの後押しを受けて、ジェネリック医薬品の使用比率をどんどん上げてきたのです。

しかし、その一方でオプジーボという副作用が強く、延命効果しかない高額な抗がん剤は平気で認めています。何もかも矛盾しているのではありませんか。

今こそ、ジェネリック医薬品一辺倒の医療行政をあらためるよう、国民が要求すべきではないかと思います。

【次のページ】有象無象がはびこるサプリメント業界

【前のページ】視聴者を迷わせる報道姿勢は問題だらけ

目次へもどる

がんの相談センター

ご相談・資料請求はこちら