クリニックコラム「出版社はその原点に返るべきではないのか」

クリニックコラム

書籍連載

医者の罪と罰5 マスコミの罪と罰 いきすぎたがん報道
出版社はその原点に返るべきではないのか

放置療法医師の本を売っておいて文化人として顕彰?

がんは、現代人にとって最大の死亡原因です。
だから当然だとはいえますが、テレビや雑誌をはじめとするメディアは、がんについてしばしば報道します。そうした報道に接すると、マスコミは、まじめにがんと向き合っているのか、疑問を感じることが少なくありません。

医者の罪と罰

医者の罪と罰

特に、B社という出版社には呆れ果てます。

B社といえば、歴史もあり、現在も出版社として売上ベストテンに入る、日本を代表する大手出版社です。近頃では、週刊誌のスクープ報道でも耳目を集めているようですが、会社としての姿勢はどうなのでしょう。

政治スクープや芸能報道についてまでとやかくいう立場ではありませんが、最近のB社の表彰のあり方には私は強い疑問を抱いています。

C賞です。C賞は、N会が文芸・映画などの文化に貢献した人を表彰する賞だといいます。

2012年、その第60回表彰には、例の医師の名もあります。彼のがん放置理論は、川島なお美さんの件ですっかり化けの皮がはがれたと思いますが、そういう人物に文化的な業績を認めて賞を与えるという見識はどうなのでしょう。

C氏といえば、B社の創業者です。しかも、N会は公益財団法人ですが、B社のビル内に事務所があります。ということは、放置療法医師の表彰にB社の意向が働いていることは否定できないでしょう。

私も「放置など!」と熱くなってしまいますが、冷静に考えれば、彼は一個人として持論を展開しているだけにすぎません。

われわれの社会は「言論の自由」が認められているのですから、彼が持論を発表し、ほかの医師がそれに反論するのは健全なことです。ところがメディアは、一方を正論のように取り上げ、国民の理解にバイアスをかけているのではないでしょうか。

B社以外のメディアも同罪です。

言論の自由のもと、広く情報や意見を提供し、判断は読者にゆだねるという姿勢のようです。私は、よく考えて出版してほしいといっています。

メディアは今や、「第4の権力」ともいわれるほど、国民に影響力を持つ存在です。言論の自由はメディアの責任によって担保されるものであり、メディアの姿勢がおかしいと、言論の自由もゆがんだものになってしまうのではないでしょうか。

彼の事実上の出世作は、1996年にB社から刊行されています。その後もB社は、彼の本をたくさん世に送り出しています。その人物に賞を与えるとは、営業的な意図のようなものを感じざるをえません。

そのような行為が、川島なお美さんのような人をさらに生み続ける原因にもなるということを、怖いとは思わないのでしょうか。

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