クリニックコラム「免疫細胞療法のエビデンスを黙殺」

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免疫細胞療法のエビデンスを黙殺

放置療法医師も認めている唯一の免疫療法「LAK療法」

少なくとも免疫チェックポイント阻害薬が出てくるまでは、多くの標準治療の医師が、「免疫療法にエビデンスはない」と言っていました。

前述の放置療法医師も、著書の中で、免疫療法は医学的に効果が証明されていないと述べています。
しかし、その一方で、「本当に効く免疫療法もあるが、強烈な免疫刺激があるから危険だ」ともいっています。

医者の罪と罰

医者の罪と罰

がんに関する多くの論文を読み尽くしたと自負するその医師が、「本当に効く免疫療法」といっているのは何のことでしょう。

これは、ANK免疫細胞療法の前身となった「LAK療法」のことです。

LAK療法は、1984年に米国NIH(国立衛生研究所)が大規模臨床試験を行なった免疫細胞療法です。

患者の血液を特殊な装置で体外循環させ、その血液中から採取したリンパ球を免疫刺激物質のIL-2(サイトカインの一種)で3日間培養。

NK細胞を活性化させた後に、大量のIL-2とともに体内に戻しました。

この臨床試験の対象となったのは、もう標準治療が効かなくなった数百名の人でした。 ところがLAK療法は、そのうち15~25%の人の腫瘍の大きさを半減するなど、全員に何らかの効果を上げたのです。 大きな腫瘍を消滅させて、その後も再発しなかった例もありました。

これこそが、NK細胞を使った免疫細胞療法の有効性を初めて証明した歴史的エビデンスです。

標準治療の医者がANK免疫細胞療法にはエビデンスがないと主張することがあります。 しかし、米国NIHが数千億円をかけて行なった臨床試験によって「NK細胞ががんを殺す」と証明されたことをエビデンスとはいわないのでしょうか。 臨床試験を日本でやっていないから認めないとでもいうのでしょうか。

LAK療法の弱点を克服して実用化された「ANK免疫細胞療法」

では、その医師が「強烈な免疫刺激があるから危険だ」といっているのは、どういう点でしょうか。

実は、その当時、NK細胞だけを選んで培養する技術は存在しませんでした。 NK細胞の培養は、今日でも極めて難しいのです。

NK細胞を含むリンパ球を3日以上培養すると、NK細胞の活性が下がってしまうため、LAK療法では、そのタイムリミット内にサイトカイン(IL-2)を併用して一気に体内に戻しました。

しかし、IL-2の大量投与には、免疫刺激効果とともに強い副作用があります。

LAK療法の治験は、リスク管理のために集中治療室で行なわれましたが、それでもIL-2投与の副作用によって、何人かの人が亡くなっています。 これが、「強烈な免疫刺激による危険」といわれるものです。

結局、NIHもNK細胞の培養をあきらめたため、LAK療法がそれ以上研究されることはありませんでした。
しかし、大量のNK細胞を使った免疫細胞療法の効果は、ここで証明されているわけです。

多くの研究者がNK細胞の培養をあきらめる中、地道に研究を続けた日本人グループがありました。 その結果、NK細胞の選択的増殖と活性化を両立できる培養技術が確立され、LAK療法の弱点を克服することができました。

それによって、今日、集中治療室を使わなくてもクリニックで安全に実施できるANK免疫細胞療法が実用化されたのです。

ANK免疫細胞療法は、米国LAK療法のエビデンスを基にした免疫療法です。 つまり、「免疫療法は医学的に効果が証明されていない」というのは嘘なのです。

がん専門医たちは、今後、「免疫チェックポイント阻害薬にはエビデンスがあるが、免疫細胞療法にはない」と言い始めるかもしれません。
しかし、それは免疫細胞療法のエビデンスを知らないか、知ろうとしていないだけなのです。

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