ウェルネスコラム「「未承認治療は危険」という間違い」

ウェルネスコラム

書籍連載

医者の罪と罰4 欺瞞の渦 医者と嘘の隠ぺい
「未承認治療は危険」という間違い

自由診療という医療制度の枠組みが周知されていない

私は、ANK免疫細胞療法と分子標的薬の併用を、自由診療として実施しています。 標準治療+αの「α」として進行がんを完治に導くカギは、免疫力を高める全身療法しかありません。 そういう確信のもとで自由診療をしているのです。 しかるに、これを「国が認めていない未承認治療だ」と断じて、患者様を恫喝している医者が少なくありません。

医者の罪と罰

医者の罪と罰

どういうことか、お話ししましょう。

わが国には、国民皆保険の公的医療保険制度(社会保険と国民健康保険)があり、一定水準の医療を、誰もが平等に受けられる体制が整っています。

こんな素晴らしい国はほかになく、今後もできるかぎりこの制度を守っていくべきです。

とはいえ、あらゆる治療法や薬を、すべて公的医療保険でまかなうことはできません。特に、がんの先端医療や新薬は、ほとんどまだ保険適用外なのです。ANK免疫細胞療法も、今のところ自由診療という枠組みで提供するほかありません。

もっとわかりやすい例を挙げれば、形成外科手術の多くには保険が使えますが、美容整形手術には保険が適用されないので自由診療です。

基本的に、誰もが平等に受けられるのが保険診療、自分自身の判断で受けるのが自由診療です。

わが国の医療サービスは、皆さんおなじみの「保険診療」と、がんの先端治療など、よほどのことがなければ普通は縁がない「自由診療」の2本立てになっているのです。

保険診療がすべてマニュアル化されているのに対して、自由診療は、医師の裁量によってさまざまな治療が組み合わせられます。したがって、標準治療で治らない病気を、医師の工夫で治療できるメリットがあるのです。

ところが、がんの患者様が自由診療にたどり着くのは、並大抵のことではありません。自由診療のことがあまり正しく理解されていないうえ、前述したような、医師による患者の治療選択権を無視した妨害があるからです。

患者様の自由診療受診を阻む代表的なロジックが、「それは未承認治療だから」というものです。その欺瞞(ぎまん)を暴いておかねばなりません。医者がよくいう「未承認」とは何のことでしょうか。

保険診療と自由診療をどう受けるかは患者様の自由

保険診療と自由診療。この違いを簡単にいうと、医療機関が受け取る医療報酬の〝出どころの違い〟にすぎません。

例えばですが、歯医者さんに行って差し歯を入れるとき、プラスチックの歯は保険が利くけれど、セラミック製の歯は保険が利かないといったことがあります。

歯科医師は、患者様と相談して、どちらを処方することもできます。保険が利く差し歯を選んだなら、患者様は通常3割負担。残りの額は、歯科医院が健康保険組合に請求します。一方、保険が利かない差し歯なら、患者様が全額自己負担することになります。

要はそれだけのことなのです。

ただし、公的医療保険の運用上、「混合診療規制」というルールが適用されます。

病院は、一人の患者様の特定の病気(例えばAさんの胃がん)に、保険診療と自由診療を同時に行なうことはできないのです。

これは、国民が拠出し合っている医療費の〝使い方をめぐるルール〟です。

したがって、保険診療を中心にがん標準治療を行なっている大病院では、原則として自由診療を実施することはできません。そして、治療費を健康保険組合に請求します。

一方、私のクリニックのように自由診療を提供している医療機関は、その患者様に保険診療は実施できません。そして、治療費はすべて患者様自身からいただきます。保険が利く検査や治療は、保険診療機関で受けていただきます。そういう役割分担なのです。

ただし、一人の患者様がA病院で保険診療、Bクリニックで自由診療を同時に受けることは、混合診療ではありません。

同一病院で自由診療と保険診療を同時に行なうのが混合診療です。ANK免疫細胞療法と標準治療は混合診療になるからできないと言う医者がいますが、別の医療機関で行なうなら合法なので、それは真っ赤な嘘です。

患者様は、保険診療機関の許可など受けなくても、自分の意思で、自由診療機関に相談、受療してかまいません。特に進行がんの治療では、保険診療を補う自由診療の役割は大きいといえます。

その選択を阻もうとする保険診療機関の医者の料簡(りょうけん)は、いかに狭量なことでしょうか。

免疫細胞療法は保険適用外で、国民健康保険のお金は使いません。しかし、自由診療での実施は国の制度として認められています。保険適用になっていないだけで、自由診療なら医師法で認められている医師の裁量権で治療することが可能なのです。

未承認だから認められないというのは医者の嘘です。「未承認」などと発言する医者は、無知でなければ、患者様をミスリードするまやかしを言っているのです。

混合診療の図

医者が「未承認」と言うのは保険診療で使えない薬だという意味

保険診療というのは、〝国が認めたガイドライン〟に載っている検査や治療、薬などを、決まった方法で患者に提供し、何を提供したか集計して、国に料金を請求するしくみです。

保険診療の診療報酬は、厚労省の諮問機関である中医協(中央社会保険医療協議会)が決定しています。

狭義の「診療報酬」(技術料)は、初診料、検査、手術などの項目ごとに、一律で料金(点数)が定められています。私が「手術料が安い」と先述したのは、こうして決められている診療報酬の点数のことです。

また、経費にあたる「材料費」(特定保険医療材料費)もありますが、この部分は病院の収益に結びつくわけではありません。ほとんど実費なので、儲かるのは医療機器メーカーです。

問題が多いのは、日本の薬漬け医療の原因にもなっている「医薬品費」です。

保険診療機関が使う医薬品は、PMDA(医薬品医療機器総合機構)という独立行政法人の審査を経て、厚労省が製造販売を承認、さらに薬価収載したものに限られます。病院が処方する薬の値段(点数)は、やはり中医協の薬価基準によって一律に決まっており、それが病院の収入になるのです。

製薬業者が医薬品の製造販売承認を受けるには、治験(臨床試験)を重ねてエビデンスを構築し、PMDAに申請することが必要です。その審査を通って、厚労大臣が承認することを「薬機承認」といいます。

保険診療機関の医者が自由診療を指して言う「未承認」とは、実に巧妙なごまかし表現ですが、わが国の医療制度に照らしてみると、「国の保険適用の承認に至っていない薬や医療技術」のことを指すと考えるのが妥当です。

免疫細胞療法にも「保険適用」の枠組みだけはつくられた

これまで、ANK免疫細胞療法などの免疫細胞療法には、医薬品の薬機承認のような保険適用の道筋がありませんでした。当然、自由診療で実施するほかなかったのです。

しかし、最近になって、ようやく少しずつ風向きが変わってきました。

まず、混合診療規制の弊害が論じられるようになり、2016年4月、限定的に混合診療規制を緩和する「患者申出療養制度」というしくみがスタートしました。

保険適用外の治療が患者様に適していると認められ、治験や先進医療に参加できない場合などに、患者様の申し出に基づいて、保険診療機関で自由診療を受けることを可能にしたのです。

まだまだ要件も厳しく、メリットやデメリットも含めて議論すべきことはたくさんありますが、大きな方向性としては肯定的に評価すべき変化だと思います。

また、2014年からは再生医療関連3法が施行されており、免疫細胞療法も、その枠組みの中に組み込まれています。

再生医療関連3法とは、再生医療推進法、再生医療安全確保法、医薬品医療機器法(改正薬事法)のこと。これにより、再生医療等(さまざまな幹細胞や免疫細胞を使った治療)を国の監督下におき、安全かつ迅速に国民に提供する目的があります。

再生医療といえば、厳密にはiPS細胞などを使い、組織の再生を目的として行なわれる医療ですが、法的には免疫細胞療法も同じ枠組みで扱われることになりました。

このことの意味は、決して小さくありません。一部の医者が「未承認治療」と言ってバカにしていた免疫細胞療法ですが、国が将来の保険適用を目指すとしたことから、公に認められたがん治療法となったわけです。

こうしてようやく位置づけが明確になった免疫細胞療法ですが、大学病院やがん拠点病院の現場は、相変わらず無法状態です。

とことん抗がん剤治療を推し進め、患者様が副作用で消耗して何もできなくなると、ようやく「もう手は尽くしたので、ホスピスに行くか、あなたが受けたかった免疫細胞療法を受けてもいいですよ」と言うのです。

そこまで標準治療を受け尽くしたら、免疫はガタガタです。そこからANK免疫細胞療法を始めても、十分な効果を得ることは困難になっています。

がん専門医たちは、人の命を軽んじています。標準治療の限界はもはや明らかなのに、生きるか死ぬかというがん患者の治療選択権を奪うことが、どうして許されるのでしょうか。

これは明らかに法に反しており、医者の倫理以前に違法行為なのです。

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