ウェルネスコラム「すべての人は、最善の治療を選ぶ権利がある」

ウェルネスコラム

書籍連載

医者の罪と罰 3 患者無視 治療選択の妨害
すべての人は、最善の治療を選ぶ権利がある

そもそも「免疫細胞療法」とは何なのか

がん患者の免疫力は低下していると述べました。 それは、NK細胞の、がん細胞を見分ける感度が鈍り、攻撃する力が落ちているということです。

そうなるきっかけはさまざまですが、強いストレスを受けたりしてNK活性が低下すると、がんがそのスキにつけいってきます。 がん細胞が勢いづくと、免疫とのせめぎ合いに勝ってしまうことがあるのです。

医者の罪と罰

医者の罪と罰

そうなると、がん細胞はずるがしこく、体内の細胞どうしが連絡に使っている信号を撹乱(かくらん)し始めます。 その結果、NK活性はさらに低下し、がん細胞の増殖を食い止めることができなくなります。 「免疫抑制」といって、がん特有の厄介な状態です。

この免疫抑制状態をなんとかしないことには、免疫力を回復して、がんを完治させるという明確な道筋が描けません。

そこで、これまでも人類は、免疫抑制をなんとかしようとしてきました。 しかし、免疫を刺激する薬を使うぐらいでは、どうにもならなかったのです。

では、強い薬を使えばいいのではないか。そう思う人もいるでしょう。

しかし、あまりに強い薬物療法(例えばNK細胞を活性化させるサイトカインの大量投与など)は、患者様自身の命を危険にさらすことになるのです。

そこで考えられたのが、免疫細胞療法でした。

NK細胞を体の外で増やし活性化するANK免疫細胞療法

本来、免疫細胞療法というのは、そもそもNK細胞を活性化するがん治療法です。

体の外に血液を循環させて、NK細胞を含むリンパ球をまず取り出します。 そして、その中にいるNK細胞をサイトカイン等で活性化させてから、3週間かけて増やし、点滴で体内に戻します。

すると、そのNK細胞ががんを攻撃するとともに、サイトカインを出して、がんに抑制されていた免疫を回復させるのです。

しかし、NK細胞はデリケートで、培養が非常に難しい細胞でもあります。

現在、「免疫細胞療法」と呼ばれる治療法はいくつもあり、その中には少量のNK細胞を含むリンパ球を使うことから「NK細胞療法」という名称を使っているものもありますが、私が実施しているANK免疫細胞療法は、それらとはまったく別物です。

培養の難しいNK細胞を特異的に増殖活性化しているのが、ANK免疫細胞療法の特徴だといえます。

細かい説明は省きますが、活性の高いNK細胞は免疫を強く刺激し患者様に高熱が出ることがあるので、点滴は、安全のために何度にも分けて繰り返します(原則として週に2回、1クールは12回)。

私の主張を端的にいうと、この治療法を、がん治療の早い段階から、標準治療と組み合わせていくことを提案しているのです。

しかし、がん専門医の中には、なぜかこのANK免疫細胞療法を無視、または敵視する人が少なくありません。
その根拠として、彼らは「エビデンス(科学的根拠)がないから」と言います。

それでは、現在のがん治療のエビデンスは信頼に足るものなのでしょうか。

一般に、医者がエビデンスと言うときは「ランダム化比較試験」(プラセボ、すなわち偽薬を対照として効果を検証する試験)の結果を指します。

しかし、がんの場合、プラセボは倫理上投与できません(プラセボにあたった患者様が亡くなってしまうため)。 そこで、既存の治療に新薬を併用する群としない群に分け、「クロスオーバー試験」で評価しているのです。

原理的に、クロスオーバー試験の結果ではエビデンスとはいえません。 専門医は、自分たちが金科玉条にしているガイドラインにエビデンスがないのに、ANK免疫細胞療法にエビデンスがないと批判するのはあたらないでしょう。

ANK療法とNK療法との違い

ステージⅢ、ⅣにはANK免疫細胞療法と標準治療を組み合わせる

なぜ標準治療とANK免疫細胞療法を組み合わせるべきか、簡単に説明しましょう。 ステージⅡでは通常、ANK免疫細胞療法と分子標的薬の組み合わせで完治を目指すことができるので、ここではステージⅢとⅣに限定します。

がん標準治療の柱となっている三大療法(手術、抗がん剤、放射線)は、がんをやっつけるのに効果があります。 ステージⅢやⅣは手術適応外のケースが少なくありませんが、それでも仮に手術後、抗がん剤と放射線治療を行なって目に見えるがんをすべて殺したとしましょう。

しかし、その後の転移・再発を防ぐのは非常に困難です。 それは、いずれの治療も免疫にダメージを与えてしまうからです。 特に、抗がん剤(殺細胞剤)が免疫力を低下させることは、よく知られているとおりです。 それは、NK細胞を含む免疫細胞も殺してしまうからにほかなりません。

ステージⅢやⅣだと、がん細胞が5億個以下のレベルで血液やリンパ液の中を循環しています。 そして、その中にある「がん幹細胞」(がんの種のような性質を持つ細胞)には抗がん剤が効かないのです。 抗がん剤でNK細胞が殺されてしまった後の体は、いったんがん幹細胞が増殖を開始すると、あっという間に転移を許すのです。

一方、ANK免疫細胞療法は、がん免疫の主役であるNK細胞を活性化させるものです。 これを治療に加えれば、標準治療でダメージを受けるがん免疫の立て直しに有効です。

なぜANK免疫細胞療法を加えると進行がんの完治が望めるのか

標準治療だけで進行がんを完治させるのは困難ですが、そこにANK免疫細胞療法をうまく 組み合わせると、がんの完治を期待できる工程表に一変します。

その理由も説明しておきましょう。

がん治療には、がんのかたまりを手術で取ったり、放射線で叩(たた)いたりする「局所療法」と、全身に散らばったがん細胞を対象とする「全身療法」があります。

手術と放射線は局所療法ですから、体のあちこちに飛び火しているがんは治せません。 最近注目されている粒子線治療(陽子線、重粒子線)も同様です。 進行がんになると、通常は「手術できない」「粒子線の対象外」と言われてしまいます。

したがって、進行がんには、効果的な全身療法が必要です。

さて、標準治療だけで全身療法を考えると、主に使える手段は何になるでしょう。

抗がん剤(殺細胞剤)だけです。

その殺細胞剤は、分裂して増殖しようとしている細胞のDNA(遺伝子)を切って、殺すというしくみです。 さまざまな副作用は、正常な細胞も分裂中に殺されるために生じるものです。

一方、分裂していない細胞は、がん細胞であっても抗がん剤治療を生き延びます。

近年になって、がんの種にあたる「がん幹細胞」の研究が進んでいますが、この細胞は特に分裂が遅いので、抗がん剤で死にません。 目には見えなくても、いずれ再発のもとになる可能性が大です。

標準治療には、がん幹細胞を皆殺しにする全身療法がないのです。 それを補うのが、ANK免疫細胞療法という免疫治療です。 NK細胞は、もともと全身をパトロールしてがん細胞を殺しているので、がん幹細胞を含むすべてのがん細胞を見分けることができ、その始末はお手のものです。

ですから、手術で目に見える腫瘍を取った後、ANK免疫細胞療法で全身に散ったがん細胞を退治できるので、進行がんでも完治させることが可能となるのです。

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