ウェルネスコラム「がんにはがんの免疫がある」

ウェルネスコラム

書籍連載

医師の罪と罰2 使命放棄 医者の怠情・無知
がんにはがんの免疫がある

そもそも免疫力の高い人はがんにならない

放置療法の医師は、転移しないがんもどきがあるといいます。

おでんでもあるまいし、と思います。そういう摩訶不思議(まかふしぎ)な理論を唱えることができるのは、がんがなぜ発症するか知らないからではないか。私ならそう疑ってしまいます。

医者の罪と罰

医者の罪と罰

がんという病気は、免疫不全病なのです。

がん細胞の発生と変異には、偶然に左右される遺伝子の損傷がかかわっています。

ですから、彼がいう「がんもどき」という状態にとどまり続ける細胞など、理屈として考えられません。

先述したように、がんには進行の遅いがんと速いがんがありますが、そうした進行の速さの差は、がん細胞の種類や発生段階の違いによるものです。

生まれてすぐに転移する本物のがんと、転移しないがんもどきの別があるわけではありません。

そして、それ以上にがんの発症や進行に関係しているものがあります。

免疫です。

これが、大いに発がんやその進行に影響しています。

がん細胞は、活性酸素やストレスの影響で、毎日、体内で生まれています。

それでも通常がんにならないのは、体内で発生したがん細胞を、免疫がどんどんしらみつぶしに殺しているからです。

これは、オーストラリアのバーネット博士が提唱し、ノーベル賞を受賞した「免疫監視機構」説で、今日では定説になっています。

そういうメカニズムがしっかり働いているかぎり、相手が本物のがんであろうと、がんもどきであろうと無関係です。

免疫力が高い人は、がん細胞ができようががんもどきができようが、がんにならないのです。

では、がんになるのはなぜか。

がん患者の免疫力は、健常人と比べて明らかに低下しています。

がんが発症し、進行する前提条件として、免疫力の低下があるのです。

がんという病気の〝発症〟に関して、いちばんの問題は「免疫力」なのです。

がんに対する免疫力が高いとはどういうことか

私は、「がんと診断されたら、すぐ免疫療法医にも相談してください」といっています。

がんは免疫の病気だからです。

体を守る免疫システムの担い手として、私たちの体内には、さまざまな免疫細胞がいます。

免疫細胞というのは、わかりやすくいうと、血液中にいるとき「リンパ球」と呼ばれる細胞たちです。

血管の中にいるリンパ球は、全身に存在する免疫細胞の一部なのです。

ウイルスに感染した細胞を壊すキラーT細胞(CTL)、感染した細菌やウイルスに対して抗体をつくるB細胞、T細胞やB細胞を誘導する樹状細胞、その種類は多彩です。

そして、がんに対する免疫は、外から侵入してきた細菌などを迎え撃つ感染症免疫とは、別の細胞が受け持っています。

それを「腫瘍免疫」といいます。

ひらたくいえば「がん免疫」です。

さまざまな免疫細胞の中に、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)と呼ばれる細胞があります。

これが、がん免疫の主役です。

キラーT細胞(CTL)も獲得免疫としてがんを攻撃しますが、補助部隊としてで、主役はNK細胞です。

がん細胞は、外から入ってくる異物ではなく、もともとは自分の細胞だったものです。

遺伝子に損傷を受けて突然変異を起こし、異常に増殖するようになった細胞が、何億個にも増えてかたまり(腫瘍)をつくるのが固形がんです。

その発端となるがん細胞の発生は、全然珍しいことではなく、毎日数千個という頻度で発生していると考えられています。

しかし、体内に数百億ものNK細胞がいて、がん細胞が腫瘍をつくる前に、見つけしだい攻撃して殺しています。

NK細胞がパトロールをしてくれているおかげで、私たちはめったにがんになることはないのです。

がんに対する免疫力が高いというのは、このNK細胞が活発に活動しているということです。

がんの完治を目指すときカギを握るNK活性

NK細胞による腫瘍免疫の強さの度合いを、「NK活性」といいます。

NK活性が高ければ、がん細胞ができても、すぐにNK細胞がやっつけてくれます。

だから、がんという病気にはならないのです。

がんは、体内のNK活性が低下し、がん細胞を殺す働きが鈍っているために発症します。

そこで、がんを完治させようとするなら、NK活性を高め、回復させることが不可欠なのです。

この程度のことは、今どきの高校生にでも理解できます。

がん専門医がそんなことも知らないとしたら、医師失格というべきでしょう。

21世紀の幕開けとともに一般診療を開始したANK免疫細胞療法や、ADCC活性(NK細胞の攻撃力を高める作用)を持つ分子標的薬は、NK細胞の活性化を考えた治療法です。

しかし、標準治療では、ほとんどNK細胞という言葉を聞きません。

最近になって、免疫チェックポイント阻害薬という薬が一部、保険適用になり、標準治療の医師たちも、ようやく免疫を語るようになってきています。

しかし、多くの医師が語る免疫の話は非常におそまつで、付け焼刃なものを感じます。

それは、「NK細胞」という言葉がそこから欠落しているからです。

がんの本質にかかわるNK細胞抜きで免疫を語ることは、怠惰、もしくは無知だといえます。

がん医療というパズルは、NK細胞というピースを付け加えたとき、初めて完治を目指すものに生まれ変わるのです。

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