ウェルネスコラム「国の政策も自由診療の活用に向かっている」

ウェルネスコラム

書籍連載

【第4章】最新の治療法への強い探究心こそが、がんを克服するカギ
国の政策も自由診療の活用に向かっている

国の政策も自由診療の活用に向かっている

今から10年ほど前の2006年(平成18年)に「がん対策基本法」が制定されました。

保険診療+先端医療  完治をめざす「がん治療設計」

保険診療+先端医療
完治をめざす「がん治療設計」

この法律では、「がん患者の置かれている状況に応じ、本人の意向を十分尊重してがんの治療方法等が選択されるようがん医療を提供する体制の整備がなされること」(同法第2条3項)が国に求められています。

つまり、がん患者さんには「治療選択の自由」があるのです。

しかし、現在の状況では、がんと診断された人は、ほぼ自動的に画一的な標準治療へと誘導されるようになっています。

その大きな原因の一つは、現在の医療制度のしくみとその意味が、国民によく周知されていないことにあるのではないでしょうか。

我が国には、優れた国民皆保険制度がありますが、その下で、平等にアクセスできる保険診療に親しむ人が多い一方、保険が利かない自由診療の存在は、国民に非常になじみの薄いものになっています。

確固とした自由診療に「未承認」という修飾語を無造作に付けて報道されるケースもあまりに多く目に余ります。その挙句、国民のあいだに「保険診療こそ国が認めている信頼できる医療」「自由診療は医師が勝手に行なっている未承認の医療」といった誤解と偏見がまかり通っています。

これでは、いくら優れたがん治療法があっても、患者さんやご家族がその選択肢に目を向けるチャンスは閉ざされているも同然とは言えないでしょうか。

新薬の治療も国に承認されるまで未承認治療です。今行なわれているがんワクチンも未承認治療です。

ほかのどんな治療と比べても、標準治療を受けることが最善だと考えられる病気は多く、それを問題にするつもりは毛頭ありません。脳卒中や心筋梗塞などは標準治療の救命率が高く、自由診療のクリニックをわざわざ探す意味はありません。

しかし、がんについてだけは事情が異なります。既に述べてきたように、進行がんを標準治療だけで完治させることはできません。「だから自由診療も活用しよう」という非常にシンプルなことを私は申し上げているのです。

最近では、自由診療に当たる分子標的薬の保険適用外処方も、国が推奨するようになってきました。新しいがん治療を保険に組み込んでいく余裕がない中で、国は従来のがん医療の軌道修正を図ろうとしているようです。

この際、国は、保険診療というしくみには財政的な限界もあるということを、国民に広く知らしめてもいいのではないでしょうか。

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