ウェルネスコラム「標準治療でがん細胞を減らし、全身療法で一掃する(1)」

ウェルネスコラム

書籍連載

【第3章】がん完治の確率を飛躍的に高める、保険診療+自由診療の「治療設計」
標準治療でがん細胞を減らし、全身療法で一掃する(1)

ANK免疫細胞療法を組み込んだ効率的ながん治療設計は、標準治療によってがん細胞の数を大きく減らし、ANK免疫細胞療法で残存するがん細胞にとどめを刺すという流れを基本とします。

ANK免疫細胞療法を希望する場合、まずリンパ球を採取してNK細胞の培養を進めておき、手術や化学療法でがんに最大限の攻撃を加えた後で、すかさずANK免疫細胞療法を実施して残存がんを殲滅(せんめつ)するという形が理想です。

ANK免疫細胞療法実施医療機関などで、患者様の体内から採取されたリンパ球は、専用培養センターに送られてNK細胞を選択的に増殖させます。NK細胞(ANK細胞)は、治療開始まで凍結保存できます。それを、投与するタイミングに合わせて解凍、活性化して点滴するので、早い段階でリンパ球を採取しておけば、かなり幅広い柔軟な治療設計が可能となるのです。

ただし、通常、手術後の病理検査までは、がんの性質ははっきりとはわかりません。手術前はまだ確定診断が出ていないタイミングでもありますから、そこは医師と相談のしどころになります。手術前から検査結果の推移などにより悪性度の高さがうかがえることもあり、ANK免疫細胞療法が必要かどうかの判断は簡単ではありません。念のためにリンパ球を採ってから手術を受けた結果、再発の危険性が低いまとまりのよいがんだったとわかり、ANK免疫細胞療法の必要性が低かったと判断されるケースもあり得ます。

だからこそ、患者様自身が納得できる治療につなげる意味でも、早めに相談するほうが望ましいのだとも言えます。

一方、標準治療を受けている最中にANK免疫細胞療法の存在を知ったが、すでに殺細胞剤を使っているといった患者様も、もちろんたくさんいらっしゃいます。現実には治療がかなり進んでから相談に来る人が多く、理想のパターンを取れる人はまだ一部です。

自由診療を検討するタイミングは人によって様々ですから、ANK免疫細胞療法では、理想的なパターンに当てはまらない場合でも、その時点から、なるべく早い適切なタイミングでリンパ球を採取し、ANK免疫細胞療法を標準治療と組み合わせていく最善の方法を考えます。

リンパ球採取からANK細胞の点滴ができるようになるまでには、原則2~3週間ほどかかります。治療設計は、それを前提に検討します。

手術前にリンパ球を採取して術後の投与に備える

手術前にリンパ球を採取するのは、ANK免疫細胞療法の理想のパターンです。

手術で採り出された腫瘍組織は、顕微鏡などで詳しく調べる病理検査に持ち込まれ、その結果が初めて、がん細胞の悪性度を正確に判定する「確定診断」となります。

確定診断で、幸いにまとまりのよいおとなしいタイプのがんとわかった場合は、「悪性度が低いので経過観察」となります。

一方、悪性度が高かった場合は、転移が確認できなくても、がん細胞が飛び散っている可能性を考慮して、全身療法を実施します。保険診療なら、通常、術後化学療法(殺細胞剤の投与)が行なわれます。

このとき、自由診療も視野に入れると、ANK免疫細胞療法や分子標的薬という全身療法の選択肢もあります。事前にANK細胞の培養を始めていれば、殺細胞剤の代わりにANK免疫細胞療法で再発防止という選択が可能です。再発防止のための術後療法は、全身のどこにがん細胞が潜んでいても最後まで追い詰めていくANK免疫細胞療法が最も得意とするところです。

手術後の確定診断が出たら、標準治療の医師に、化学療法を行なうかどうかなどの治療方針をよく聞き、その上でANK免疫細胞療法の医師にも相談してください。

手術後は、主に次のような治療の進め方があります。

  1. ①化学療法を受けずにANK免疫細胞療法を行なう
  2. ②化学療法を受けながら、その休薬期間にANK細胞の投与を始める(合間治療)
  3. ③化学療法を受け、その効果が弱まったら、ANK免疫細胞療法に切り換える

手術前にリンパ球を採取して、手術後にANK免疫細胞療法を実施の図

手術できないがんの場合は、標準治療+ANK免疫細胞療法+分子標的薬

同じように「がんと診断されたら、すぐANK免疫細胞療法」と相談に来られた患者様でも、別のパターンをたどることがあります。手術不能のがんだった場合です。

がん治療では、そもそも手術が行なえるかどうかという分かれ目があります。手術ができるのは、がんが発生部位にとどまっている限局性のものだった場合です(これには転移が見つかっていない場合も含まれます)。

事前に転移が見つかっている場合などは、治療設計が変わってきます。

転移のある進行がんに対して手術などの局所療法を行なうと、全身に散っているがんが暴れやすくなります。つまり、原発巣が取れても、転移巣の進行が爆発的に速まるのです。

そこで、まず全身療法に徹するか、手術で目に見える腫瘍を取った後、速やかに全身療法でフォローするかになります。

ANK免疫細胞療法の特徴として、あらかじめ転移がわかっていても、転移巣が小さければ、まず手術で大きな原発巣を切除してしまい、小さい転移巣をANK免疫細胞療法で叩くという方法も検討できます。また、周辺への浸潤が激しいがんでも、取れる範囲だけ取って、後はANK免疫細胞療法で小さくしていくという治療設計も可能です。そうしたところもANK免疫細胞療法ならではの強みなのですが、標準治療の手術のガイドラインに合わないので、現実には難しいのが実情です。

がんとわかったとき、すでに全身のあちこちに転移が見られるとか、手術で取りきれない難しい部位に浸潤している場合も、できれば標準治療が始まる前に、リンパ球を採取しておくと有利です。

手術不能例での標準治療の選択肢は、通常、殺細胞剤や放射線治療になります。

しかし、自由診療も視野に入れれば、保険適用外の分子標的薬も使える可能性があるほか、ANK細胞の培養が間に合えば、当初からANK免疫細胞療法が全身療法の選択肢に入ります。

そして、次のような手順での治療が考えられます。

  1. ①まずANK免疫細胞療法を行ない、その後に標準治療を行なう
  2. ②標準治療を受けながら、ANK免疫細胞療法や分子標的薬を併用する
  3. ③標準治療を受け、その後にANK免疫細胞療法に切り替える

②の場合、殺細胞剤はNK細胞も殺してしまうので、分子標的薬やANK免疫細胞療法を併用する場合には、時期をずらして実施します(次項でそのパターンを解説します)。

免疫重視の分子標的薬とANK免疫細胞療法は同時併用が可能で、患者様のがん細胞のタイプに合っている分子標的薬は、特に積極的に併用を検討します。また、殺細胞剤ほど多くはありませんが、標準治療で投与されるホルモン療法剤も、免疫細胞を傷めないのでANK免疫細胞療法との同時併用ができます。

手術不能例では、こうした治療で転移巣やリンパ節への転移が消えたり、正常組織に食い込んでいた腫瘍が縮小するなどすれば、局所療法が可能な状態になります。そうしたら、速やかに手術や重粒子線治療で大きな腫瘍を治療し、逆転を狙うのです。

なお、分子標的薬は、細胞を殺さずにがんの増殖を抑え、免疫細胞にもダメージを与えません。中でも、NK細胞のがん攻撃力を高めるADCC活性を持つ抗体医薬品は、ANK免疫細胞療法との相乗効果が期待できる薬です。

手術不能のがんに対する理想的な治療設計の図

欧米では標準治療となっている分子標的薬ですが、我が国ではごく一部のがんでしか保険適用になっていないため、自由診療では保険適用外での処方を検討します。がん治療設計では、手術不能のケースだけでなく、様々なパターンで分子標的薬の処方を検討します。

殺細胞剤の薬剤耐性が出たらANK免疫細胞療法に切り替える

ANK免疫細胞療法では、手術前のように標準治療を始める前のリンパ球採取が理想ですが、手術を終えてからでも、もちろんリンパ球を採取し、治療設計を考えることはできます。

そして、標準治療で殺細胞剤による化学療法が予定されているなら、可能な限り、その前にリンパ球を採取することが望ましいと言えるでしょう。免疫がダメージを受けていないぶん、よい状態のNK細胞が培養できるからです。

では、ANK免疫細胞療法と化学療法は、どのように組み合わせることになるのでしょうか。

とりあえず予定が決まっているなら、スケジュール通りに化学療法を始めます。がんに勢いがある場合は、ANK細胞の培養完了を待っている余裕もありません。そして、ANK免疫細胞療法の点滴をいつ始めるのがよいか、2つのパターンで検討します。

一つは、化学療法をできるところまでやり、なるべくがん細胞を減らしてからANK免疫細胞療法に引き継ぐというパターンです。殺細胞剤は、いずれ薬剤耐性が生じて効きが悪くなるときが来ます。それまで薬でなるべくがんを小さくし、薬剤耐性が出たらすぐにANK免疫細胞療法に切り換えるというのが、典型的な治療設計です。

もう一つは、「合間治療」です。

殺細胞剤による化学療法は、薬を投与する期間(投薬期間)と休む期間(休薬期間)を交互に数回繰り返します。その1回の投薬サイクルを「クール」と言って、1クールの長さや投薬の回数は薬によって異なります。

投与するANK細胞の数が少なく、本来の週2回連続投与でもないため、ANK免疫細胞療法としての治療強度は大幅に減殺されます。しかし、ANK免疫細胞療法医らの臨床経験上、こうすると殺細胞剤の切れ味がよくなったり、副作用が緩和されたりする印象が得られているのです。

投与するANK細胞の数が少なく、本来の週2回連続投与でもないため、ANK免疫細胞療法としての治療強度は大幅に減殺されます。しかし、ANK免疫細胞療法医らの臨床経験上、こうすると殺細胞剤の切れ味がよくなったり、副作用が緩和されたりする印象が得られているのです。

その意味では、あくまで合間治療は補助療法的な位置づけであり、殺細胞剤の治療効果を高めたいときに検討します。そうして少しでもがん細胞を効率よく減らし、いざ薬剤耐性が現れたら、すぐに本格的なANK免疫細胞療法に切り換えて、がんの殲滅をめざすのです。

手術+ANK免疫細胞療法の治療設計の図

化学療法+ANK免疫細胞療法の治療設計の図

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