ウェルネスコラム「がんの完治を目指す「治療設計」とは」

ウェルネスコラム

書籍連載

【第3章】がん完治の確率を飛躍的に高める、保険診療+自由診療の「治療設計」
がんの完治を目指す「治療設計」とは

がん治療は「お金」と「時間」の勝負でもある

保険診療を最大限活用していただくのは、がんとの闘いが、決して一筋縄では行かないからです。がんがいつ消えてくれるか、ANK免疫細胞療法が1クールで済むかどうかなどは、なかなかはっきりと予想できるものではありません。

保険診療+先端医療  完治をめざす「がん治療設計」

保険診療+先端医療
完治をめざす「がん治療設計」

できるだけ有利に闘いを続けることを想定して、貴重な治療費はなるべく効率よく使っていく必要があるのです。

しかし、中にはANK免疫細胞療法だけで治療することを希望する患者様が増えてきました。それについては、可能な場合もありますが、決してお勧めはできません。

ANK免疫細胞療法は、本来、単独で進行がんを完治させる治療法として開発されました。

開業前の臨床試験では、がんが消えるまで複数クール連続して実施し、それにより有効性が確認されました。しかし現在でも微細ながん細胞の存否を確認し、完治を診断できる技術はありません。

ANK免疫細胞療法で「1クール」というのは、患者様自身のリンパ球を大量に採取し、そこから選択的に培養したANK細胞を12回点滴することを指しています。

つまり、ANK免疫細胞療法だけでがんを寛解まで持っていこうとすると、患者様の状態によって4クールも5クールも、場合によってはもっと多くリンパ球採取、培養、点滴を繰り返す必要があります。

しかし、ANK免疫細胞療法には、どうしても1クール400万円を超える費用がかかるのです。さらに、有効性が期待されるなら分子標的薬も併用します。

それでも標準治療で実際にかかる費用よりは安いのですが、患者様に全額負担していただくので、これを何クールも続ければ、非常に高額な自己負担になります。

さらに、時間の問題もあります。

ANK細胞の培養には、リンパ球の採取から2~3週間前後の期間を要します。そして、点滴を始めてから効果がはっきりと現れるまでにも、しばらく時間がかかります。

ANK免疫細胞療法とは、がんが免疫システムに仕掛けている異常に強い「免疫抑制」を打ち破る闘いです。つまり、がんと免疫との勢力争いであり、免疫が本来の勢力を回復するまで、激しいせめぎ合いが続くわけです。

NK細胞とがん細胞の戦闘は「1対1」なので、体内のがん細胞の数が多ければ多いほど、ANK細胞は目に見える効果を発揮しにくいと言えます。がんの勢いが強く、どんどん腫瘍が大きくなっているケースなどでは、しばらくANK細胞のほうが押され気味になることもあります。

その結果として戦いが不利にならないように、がんの勢いを止めたり、小さくしたりすることも必要です。例えば、手術で塊を取れば、がん細胞の数をごっそり減らすことができます。副作用を伴う殺細胞剤も、分裂が速くて勢いのあるがん細胞に対して、大きな戦果を上げる薬です。

そこで、治療の費用対効果や最終的な勝利の確率を上げるために、患者様には標準治療をやめずに続けていただくことを、ANK免疫細胞療法医は基本的に勧めているのです。

ANK免疫細胞療法の有効性は間違いなくとも、がんは簡単な相手ではありません。日本人の3人に1人の命を奪っている難敵です。その難敵を、現在持っている一つの武器だけで征圧することは、思うほど簡単ではないのです。

標準治療をやり尽くす前に自由診療も組み合わせる

ANK免疫細胞療法の医師は、患者様の状態や標準治療での治療方針を聞いて、そのどこにANK免疫細胞療法や分子標的薬などを入れて組み合わせるか検討します。

受診前の患者様からたくさんの質問を受けているリンパ球バンクによると、「いつ自由診療の相談に行けばいいか」、あるいは「標準治療が効かなくなったときにANK免疫細胞療法を受ければいいのか」と聞いてくる患者様やご家族が少なくないそうです。

しかし、進行がんとの闘いでは、治療設計が鍵を握ります。有利な治療設計ができればそれだけ助かる可能性は高くなり、治療設計が大きな制約を受けるケースほど、闘いは不利になります。

できるだけ早く検討するほど、様々な治療設計が描けて、助かる可能性が高まります。だからこそ、「がんと診断されたら、すぐにANK免疫細胞療法」、がん征圧には治療設計が命なのです。

ANK免疫細胞療法は、患者様自身の免疫細胞を使う性質上、ご本人の体力や免疫力がなるべく低下していないうちに始めるのが理想です。

実情としては、ANK免疫細胞療法は、それほど知られていないこともあり、相当深刻な状態になってからANK免疫細胞療法の医療機関に駆け込んでくる患者様も少なくありません。

しかし、免疫力が底に近くなり、体力も低下した患者様には、ANK免疫細胞療法のような強力な免疫治療は実施できないことも多く、やれたとしても、ANK免疫細胞療法本来の切れ味を期待するのは難しくなります。

手術、放射線、殺細胞剤という標準治療の武器は、いずれも免疫(すなわちNK細胞)にダメージを及ぼしてしまう側面を持っています。進行がんの患者様は、標準治療を受ければ受けるほど、がんに対する免疫力は低下していくのです。

保険診療と自由診療の使い分け例

免疫細胞は白血球の一部ですが、種類によって様々な働きをしています。すべてががん細胞の敵ではなく、逆に免疫抑制系の働きをするT細胞なども含まれています。なぜ免疫抑制系の細胞がいるのか不思議に思う人もいるでしょう。

実は、細胞を攻撃する免疫のキャパシティーは想像を絶するほど高く、間違って暴走すると自分の体を溶かしてしまうほどの力を秘めています。細菌やウイルスが異常に増殖し、感染症にかかると熱が出ますが、ふだんは多少病原菌がいても、免疫は反応しません。菌がいるだけで免疫応答していたら、一生発熱していなければならなくなるからです。

そのように、健康な人でも免疫にはある程度ブレーキがかかっているのであり、それを利用して異常に強い免疫抑制をかけてくるのが、がんのずる賢いところなのです。

抗がん剤治療を受けた後には、「免疫力が落ちるので人混みは避けてください」などと医師から言われます。そして、免疫力の回復の目安として白血球数を測り、「数が戻ってきたから大丈夫です」などと言われます。しかしその白血球の中身が問題です。標準治療を続けるほど、白血球の中に占める免疫抑制系のT細胞が増えていくのです。

ただし、がんとの勝負で、標準治療という強力なカードを捨てることは命取りです。標準治療は続けてメリットを活かし、そのデメリットとして伴う免疫力の低下を、ほかの方法で補うのが現実的です。

治療設計を考える際にまず大事なことは、標準治療をそのまま続けることです。例えば、手術をキャンセルしてスケジュールを遅らせたりすると、それだけがんに大きくなるチャンスを与えることになります。

そして、次に大事なことは、標準治療だけでは必ず低下する免疫力を、効率よく回復させ、免疫抑制を跳ね返す手立てを考えることです。標準治療をやり尽くして、免疫力が相当弱った段階からほかの方法を探しても、手遅れになることが少なくありません。

保険診療+自由診療の理想的な治療設計

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