コラム「決まったレールの上を走っていく標準治療」

コラム

書籍連載

【第2章】主治医の知識と経験の不足が、がん患者の寿命を縮める
決まったレールの上を走っていく標準治療

積極的な治療を難しくする「ガイドライン」という壁

一口にがんといっても、その種類は千差万別です。同じ部位であってもがんの性質そのものが多種多様で、それに合わせて治療も変えていかなければ、がん細胞を征圧することはできません。

保険診療+先端医療  完治をめざす「がん治療設計」

保険診療+先端医療
完治をめざす「がん治療設計」

保険診療として行なわれる標準治療では、がんの種類や進行度合い、性質などによって、選択される治療法や手順は変わります。

例えば、早期がんの小さいものは、胃がんでも食道がんでも内視鏡手術が可能です。しかし、胃がんの場合、Ⅲ期ぐらいまではたいてい手術で切除するのに対して、食道の進行がんでは、危険な手術を避けて、「ケモラジ」と呼ばれる治療法(殺細胞剤と放射線を組み合わせた治療)が比較的多く採られます。

一般に、転移のわかっているがんは、殺細胞剤による化学療法などを行なって、がんを縮小させることをめざします。その治療がうまくいって転移巣が消えれば、大きな原発巣を手術で切除できる可能性も出てきます。

しかし、このような治療のバリエーションが豊富にあっても、希望する治療法を選択できるという意味ではありません。なぜならば、がん治療には「治療ガイドライン」があるからです。ガイドラインとは、学会でエビデンスが認められている治療の指針です。

がんは命に関わる病気ですから、ガイドラインに沿った診断・治療を行なうことが重視されます。ガイドラインに従って治療していれば、医師として責任を果たしていると言える一方で、逸脱していれば診断・治療に過誤があったと見なされる可能性が高くなります。

もし、ガイドラインから逸脱した治療の結果が芳しくなければ、「ガイドライン通りに治療していれば助かったかもしれないのに、医師がそうしなかったために亡くなった」いう遺族の主張が成立しうるわけです。

ガイドラインで定められていることは、患者様が必要な医療を過不足なく受けているかを確認するものであり、医師は決まりを守ることで身を守ることになるのです。

しかし、裏を返せばガイドラインに定められたもの以上の治療を施すことは、医師にとって大きなリスクを伴うことを意味します。ガイドラインは、保険診療の医師にとって簡単に超えることができない一線です。

保険診療のがん治療が、決められたレールの上を走ることになるのは、しかたがないことだとも言えるでしょう。

保険診療の範囲でセカンドオピニオンを受けても結果は同じ

いくらがん治療の方針がガイドラインで定められているとはいえ、初めにかかった医師の診断や治療方針に対して疑問を持つ人もいることでしょう。がんは命に関わる病気ですから、医師から診断や治療方針の説明を聞いても本当にそれが信頼できるものなのかと不安を抱く人がいるのは当然です。

そのような場合、初めに診療を受けた病院とは異なる医療機関で、ほかの医師に意見を求めるのが「セカンドオピニオン」です。

以前は「俺の治療法に従えないのか」といった感じの高圧的な医師もいましたが、現在では、セカンドオピニオンを受けることはむしろ推奨されています。自分の命に関わることで「第二の意見」を聞くことは患者様の権利ですから、担当の医師や病院に気兼ねする必要はありません。

セカンドオピニオンを受けたいときは、診療を受けている担当医に希望を伝え、診療情報提供書や検査結果、治療記録などを準備してもらいます。なお、セカンドオピニオンは、どこの病院でも通常、保険が利かない自費診療となります。

セカンドオピニオンを受けたいという意思表示は、転院や担当医の交替を求めることとは違います。あくまで患者様自身が納得のいく治療法を選べるように、参考としてほかの医師の意見を聞くことです。

最終的にどんな治療を選ぶかは、患者様自身にしかできないことです。もしも別の治療法が提案されたら、どちらの選択肢が自分にとって納得できるか、自分でよく考えればよいのです。

ただし、このセカンドオピニオンには限界があります。

標準治療についてのセカンドオピニオンを、ほかの保険診療の病院に求めた場合、その医師の意見も、当然ながら保険診療の範囲内のものになります。

つまり、患者様が進行がんだった場合、異なる治療方針を提案されたとしても「延命」のための治療であることには変わりがないわけです。

延命でもいいから少しでも長く生きたい、あるいは、なるべく苦痛の少ない治療を受けたいといった場合には、同じ保険診療の範囲内でセカンドオピニオンを受けることにも意味があるかもしれません。

しかし、最終的に元気になりたい、完治したいと希望している患者様にとっては、保険診療内のセカンドオピニオンでは物足りない意見にとどまってしまうでしょう。

進行がんの完治をめざすなら、標準治療のメニューにはない有効な全身療法などを取り入れる必要があります。それには、自由診療で提供されている様々な先端医療も検討することが必須です。

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