ウェルネスコラム「【医者の嘘】おわりに」

ウェルネスコラム

書籍連載

『医者の嘘 医者は自分の都合でウソをつく』
【医者の嘘】おわりに

ここでは本書の締めくくりとして、いい医者の選び方について考えてみたいと思います。そのヒントは、本書の中でも数多く紹介してきましたが、それらを含めてもう一度整理し、医者選びの参考にしてほしいと思います。

いい医者を見分けるのは簡単ではありません。最も簡単なのは、評判を聞くことです。インターネットの病院ランキングなどは恣意的に作られたものがほとんどですから、まったくあてになりませんが、口コミというのは信用に値します。

評判を聞く相手がいない場合には、その土地で長く開業している医者を選ぶのもひとつの方法です。

いまの時代、開業医が生き残っていくのは至難の業です。昔は開業して待っていれば患者様が来ましたが、いまはそういう時代ではありません。ひとつの土地で、ある程度の期間、開業を続けている医者は、それだけ患者様の支持を得ていることになります。何か良さがなければ患者様は集まりません。これはどんな商売でも同じです。

評判の良い医者や長く開業している医者が見つかったら、一度診察を受けて、その様子をじっくり観察してください。

患者の目を見て話すのは最低限のマナー

まず、いい医者であれば、診療の際に患者様の目を見て話しているはずです。これは患者様に対する最低限のマナーであるといってもいいでしょう。信じられない話ですが、患者様の顔も見ずに、パソコンの画面だけを見ながら診断を下す医者が多すぎます。そんな医者は、大事な患者様の情報を見逃す可能性があります。

もちろん、患者側にもマナーは大切だと思います。しばらく前からモンスターペイシェントなるものが話題になっています。医者や病院のスタッフに自己中心的な要求をしたり、暴言・暴力を繰り返したりする患者のことです。

私が聞いたところでは、ある大学病院の医者が診察中に患者に殴られたそうです。まさかと思いますが、こんなことがあるのです。

病院のサービス向上と称して、患者を「様」づけで呼ぶ病院が増えています。それ以降、モンスターペイシェントが増えた気がします。「様」づけを否定するつもりはありませんが、自分がへりくだり、相手を持ち上げればいいという問題ではない気がします。

私は、医者と患者の関係がまったく対等であるとは思いません。治療に関しては、基本的に医者はプロで患者はアマチュアです。試合をするとすれば、勝負になりません。知識量からも経験量からも、医者と患者では比較にならないのです。そういう意味で対等ではありません。

ですから、そういう立場をわきまえて患者に接しているかどうかも、いい医者の条件だと考えます。医療用語には難しいものがあります。病気や薬について、いかにわかりやすく患者に説明しているか、説明をしようと努力しているかを観察してください。

患者にわかりやすく説明をしようとすれば、どの程度理解しているのか、その表情を読み取りながら説明をする必要があります。おのずと患者の目を見て話すことになります。

聴診器を使わない医者が増えている!?

診断を行う際、最新機器で検査をして、その数値だけで判断する医者も増えていますが、これもいい医者とはいえません。医者はまず、目の前にいる患者をじっくり観察し、自分の手で診察し、様々な情報を読み取らなければならないのです。

循環器の医者であれば、聴診器による診察が基本です。最近は、それをしない医者が増えていますが、そのような医者は患者様の状態を知ろうとしていないといえます。

消化器の医者であれば、腹診が基本です。お腹(なか)を手で触って患者様の痛みなどを確認しなければなりません。

整形外科の医者であれば、患者様の手足や関節を実際に触れて診察しなければなりません。

神経内科の医者であれば、ハンマーなどを使って神経障害がどこにあるかを確認していく作業が大事です。

このように医者が自分の手で行うフィジカルな診察を理学的所見といいますが、それが満足にできないような医者は、いい医者とはいえません。

人間の体はアナログであって、デジタルではありません。ですから、検査機器のようなデジタル機器では、すべてを正しく診断することなどできないのです。

診断の過程で血液検査や尿検査をすることが多くありますが、その検査結果はすべて数値で出ます。あらかじめ基準値が決まっていて、数値がそれを外れると異常、外れていなければ正常と判断することになります。

とすれば、基準値内であれば、身体的には異常がないということになります。

しかし、人間の体にはホメオスタシスという機能があります。これは、恒常性とも訳され、生物が様々な環境にさらされても体内の状態を一定に保ち、正常な状態を維持する現象のことをいいます。

言い換えれば火事場の馬鹿力のような機能を備えているわけです。

たとえば、自分の体の中で膵臓の機能が低下しているときには、それを補おうとして、一生懸命働きます。そうすると、機能が低下していても異常値を示さないことはよくあります。

原因不明の症状は医者が作っている

慢性膵炎の患者様にもこのようなことがよくあります。血液検査をしても、尿検査をしても正常、CTでも正常という判断になりますが、本人は腹痛とか下痢とかの症状に悩んでいるわけです。

そのようなとき、デジタル診断しか行わない医者は「あなたはどこも異常がありません。きっとストレスなどのメンタルな理由でしょう。心療内科を受診してみてください」という診断を下します。

これでは心療内科の患者様を増やすだけです。心療内科に行っても解決はしません。

患者様はその後も原因不明の腹痛や下痢に悩まされ続けることになります。

この場合、もし、最初の段階でお腹に触れて診察をしていれば、どこかに明らかな圧痛点を発見できたはずです。圧痛点というのは、押すと痛みを感じる部分です。圧痛点があるということは、そこに何らかの炎症が起きていることを意味します。腹痛や下痢は決して「メンタルな理由」ではないのです。

このように医療機器が発達することにより、それを過信する医者が増え、診断を誤ってしまうケースは増えています。

みなさんの体や命を守ることができるのはみなさん自身です。患者様自身が医者の嘘を見抜く力をつけなくてはなりません。そのために本書が少しでもお役に立てることを願っています。

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