書籍連載
【第6章】薬・サプリメントの嘘
血液サラサラの薬の嘘
医者は効果のない薬を「お守り」と称して処方する
血液サラサラの薬を飲んでいる国民は大勢います。ドイツのバイエル社が発売しているバイアスピリンもそのひとつです。バイアスピリンは、「バイエル社のアスピリン」という意味で、そもそもは消炎鎮痛薬ですが、血液サラサラの薬としても利用されているのです。
この薬は、単価が安いにもかかわらず、全世界でなんと毎年6000億円も売れているブロックバスター(ベストセラーの薬のこと)です。
なぜ売れているのかといえば、作用がマイルドで副作用が少ないからです。それで心臓病や脳梗塞の再発予防に使われています。
しかし、バイアスピリンには、心臓病や脳梗塞を予防するというエビデンス(科学的根拠)はありません。
以前、製薬メーカーがインターネット会議をした際に、バイアスピリンがテーマになったことがあります。循環器内科の医者も登場して、消化器内科医が「バイアスピリンには心臓病や脳梗塞の再発予防をするエビデンスがどのくらいあるのですか?」と質問しました。
すると、循環器内科医は「ありません」とはっきり答えました。多くの医者がそのやりとりを聞いていたはずです。
お守りの薬が取り返しのつかない副作用を引き起こす
しかし、医者は、脳卒中や心筋梗塞を予防する薬として処方しています。なぜ、処方するのでしょうか?
専門医に聞くと「お守り」だといいます。しかし、そのお守りのバイアスピリンを長期投与していると、消化管出血になることがあります。胃の萎縮も進行します。
他にも胃潰瘍や十二指腸潰瘍になりやすくなります。これらは他の消炎鎮痛薬も同じです。鎮痛剤なので、潰瘍ができても痛みがときには、発生しません。ですから、下血や貧血症状などで自覚症状が現れたときには、大きな潰瘍を発見することがあります。
お守り程度の作用しかない薬で、このような副作用が起こることは許されるのでしょうか。