書籍連載
【第3章】生活習慣病・老人病の嘘
心筋梗塞治療の嘘
心筋梗塞はステント治療では完治しない
粥状動脈硬化症(じゅくじょうどうみゃくこうかしょう)という病気があります。これは、動脈の壁に粥(かゆ)状の塊(かたまり)ができて、血液の通り道が狭くなってしまうものです。典型的な動脈硬化症です。
この粥状動脈硬化症になると、血管内にプラーク(アテローム)という垢(あか)のようなものが付着します。コレステロールと血小板からできた塊です。
プラークはどこにでも発生しますが、冠動脈に発生すると狭心症の発作が起こり、頸(けい)動脈にできると、脳に飛んで脳梗塞を起こします。
狭心症の発作からさらに動脈硬化が進んだり、プラークがはがれて飛んで血流が完全に遮断されたりすると、心筋に血液が届かなくなり、心筋梗塞となります。
米国では、このプラークを治療するために血管内治療を開発しました。大きく分けて2種類あります。
医者が陰でささやくフルメタルジャケットの患者とは
ひとつは、ステント治療です。これは網の目状の筒を血管内に入れ、狭くなった血管を広げて血液の流れを回復させます。
しかし、血管を無理やり広げているだけですから、根本的な解決にはなりません。再発するのが稀(まれ)ではないのです。そのたびに、ステントを入れて、血管の中がステントだらけになってしまう患者様もいます。そのような患者様のことを医者は陰で 〝フルメタルジャケット〞といっています。
動脈硬化は冠動脈や頸動脈だけに起こるわけではありません。心臓の動脈に動脈硬化が起こっている人は、全身の動脈にも起こっている可能性が高いのです。冠動脈だけにステントを入れても、動脈硬化の解決になっていないのは、誰が考えても明らかです。
最近では薬剤溶出型のステントもあります。これは、ステントに薬剤が塗られており、血管内で徐々に溶け出して、血管が再び狭くなるのを防ぐものです。しかし、これを使っても再狭窄(きょうさく)する例はあります。
2つ目の方法はプラークを削り取る治療法です。しかし、動脈硬化がある血管内を削るのですから、ひとつ間違えば血管を突き破ってしまう危険な手技です。
要するに両者とも理想的な血管内治療ではないということです。