コラム「免疫力が湧き出る「源泉」は骨髄」

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【第4章】免疫力を向上させて、がんにならない体をつくる
免疫力が湧き出る「源泉」は骨髄

免疫力は骨髄でつくられる

ここで話を戻しますが、がんに対する免疫力の主役は、リンパ球の一種であるNK細胞です。このNK細胞の活性(NK活性)が高い人はがんになりにくいということは前述しました。したがって、がん予防とは何かを突き詰めれば、NK活性を高めるためにはどうしたらいいかということに行き着くわけです。

一生がんにならない体をつくる

一生がんにならない体をつくる

もう一度、そこから問題をひもといていきたいと思います。

免疫力はどこでつくられるのか、つまりNK細胞などの免疫細胞はどこでつくられるか、それを考えると、当然、答えは骨の中にある骨髄という器官になります。

骨は、単に体を支える硬い棒ではなく、その中腔を脊髄という神経組織がとおり、ゼリー状の造血組織である骨髄も存在します。血液中の白血球、赤血球、血小板は、すべてここでつくられて全身に供給されるのです。

そのうちの白血球が、NK細胞を含む免疫細胞に当たります。免疫細胞にもさまざまな種類がありますが、リンパ球、単球、顆粒球に大きく分けられ、がん細胞を攻撃するNK細胞はリンパ球の一種です。

免疫細胞をつくる造血機能を骨髄が担っているわけですから、骨が元気であることと、造血機能は無関係であるはずがありません。

実際、骨が丈夫な若い人の骨髄はきれいな赤い色をしていますが、骨の老化とともに骨髄は濁った黄色になり、造血機能も低下していくのです。免疫細胞をつくる骨髄の老化と、加齢に伴う免疫力の低下には、関係がありそうです。

ということは、骨髄が元気になれば免疫力も上がるということが想像されます。これは現時点では「仮説」ですが、免疫力を考える場合には、粘膜が丈夫になることより、骨が元気になることが関わっている可能性があるのではないでしょうか。

骨粗しょう症の人たちの痛みが軽減

そもそも私がメディカルサプリメントとしてコラーゲン食品を開発したきっかけは、骨の老化から来る痛みの軽減効果を目の当たりにしたからでした。

10年ほど前のことですが、知人が大量のコラーゲン原末を持ち込んできて、「先生、これを使ってみてよ」と言うのです。私は当時、コラーゲンは美容成分にすぎないと考えていたので、「何を言ってるんだ」と、もう少しで笑い飛ばすところでした。

「コラーゲンなんて、美容にしか使わないだろう?」と言うと、彼は「いや、そうじゃないんです」と、病院で治らなかった重症の坐骨(ざこつ)神経痛の人が、このコラーゲンで救われたという話をしてくれたのです。

その話を聞いてがぜん興味が湧いた私は、これは研究してみる価値があると思いました。たまたま当時、当院で骨粗しょう症の治験を行っていて、骨の痛みを訴える患者様が大勢いらしていました。そこで、興味のある方にそのコラーゲンを差し上げて、1カ月ほど摂取していただいたのです。

すると、ほとんどの方が「痛みが軽くなった」とおっしゃるので、衝撃を受けました。そこで製造業者に詳しく聞いてみると、素材への強いこだわりが感じられました。サプリメント全般はともかく、このコラーゲンは確かによいのだろう。そう考え、本格的に研究してみることにしました。

坐骨神経痛にコラーゲンがどう働くか、医学的に明確な説明はできません。しかし、実際に改善例が見られるなら、臨床医として、それは素晴らしいことだと思っています。

これも後付けの仮説になりますが、坐骨神経痛の一因として、骨の中腔が狭くなる脊柱管狭窄(きょうさく)症という病気があります。これも加齢に伴って増加する病気です。

脊柱管狭窄症では、脊髄の通っている脊柱内が狭くなり、神経を圧迫して神経痛を招いたりします。原因は骨粗しょう症と同じように骨の代謝の異常です。

例えば骨粗しょう症の人の背骨をX線で撮影すると、脊椎に「骨棘(こっきょく)」というトゲ状の変形が見られることがあります。骨棘は外側に向かった骨の変形ですが、脊柱管狭窄症では、脊柱内に向かう骨の変形があり、それが神経を圧迫しているのではないでしょうか。

そして、コラーゲンを摂取することで骨の代謝がある程度改善されると、結果的にその圧迫が取れ、痛みが消えるのではないかと私は解釈しています。

コラーゲンを摂ると骨密度が上がる

このように、最初はコラーゲンの何がいいのか分からないまま、痛みが取れるというところに注目したのです。痛みの苦痛を取り除くのは、医療において非常に大事なことです。その効果がまずありきで、ともかくコラーゲンは有用だと思い、それから痛みが取れる理由を考えました。

そして、もしかしたら骨密度が上がっているのかもしれないと考えたわけです。ちょうど骨粗しょう症の治験用に、世界標準の骨密度測定装置がありました。その測定装置で、コラーゲンを摂取している患者様たちの骨密度を定期的に測っていきました。

さらに、成分の配合比率も変えてみました。毎回すべて同じ配合で続けるのではなく、コラーゲン、骨の成分として重要なカルシウム、カルシウムの吸収に必要なビタミンDなどの、組み合わせを変えたり配合比率を変えたりして、さまざまなグループをつくって骨密度を測定していきました。

そうして試していくと、ある配合のときに半年間で3%以上骨密度が上昇するという結果が得られました。一般に骨粗しょう症薬の効果が「1年で3%の骨密度上昇」とされていますから、この結果は驚くべきものでした。

コラーゲンだけを増やしても、骨密度はそれほど上がりませんでした。やはりカルシウムが必要なのです。逆に、カルシウムの量をいくら増やしても骨密度は上がりません。やはりコラーゲンが主体なのです。こうして優位に骨密度が上がる配合を見つけて、それをもとに製品化を進めたのです。

骨粗しょう症薬では弾力のある骨は再生できない

骨の組成をよくご存じの方は、意外と少ないようです。多くの方が、骨はカルシウムからできていると思っておられます。しかし、骨の成分として最も重要なものは、実はコラーゲンなのです。

骨の構成成分のおよそ3分の1はコラーゲンです。そして、コラーゲンを土台として、カルシウムやマグネシウムが結合し、弾力のある骨を形成しています。

骨の老化予防を意識して、カルシウムを摂取している女性は多いと思います。しかし、ビルでいえば鉄筋に当たるコラーゲンが不足していると、どうしても骨密度が低下して骨がスカスカになる骨粗しょう症が進行してしまいます。

さらに言えば、骨密度を上げる薬は何種類もありますが、どれもカルシウムレベルを上げる作用が主で、コラーゲンレベルを上げるものではありません。つまり、骨粗しょう症薬もカルシウムのみを増やす設計になっており、コラーゲンを土台とした弾力性のある骨を再生するものではないのが実情です。

例えば、ビスフォスフォネート製剤という種類の骨粗しょう症薬があります。骨にも細胞が存在し、その一種に破骨細胞というものがあります。この細胞は、骨の新陳代謝を促しながら、体内のカルシウム濃度を調整しているのですが、ビスフォスフォネートは、その働きを抑える薬です。破骨細胞の活動を抑えることで、骨からカルシウムが出ていくのを防ごうというわけです。

骨の成分の中で最も重要なのはカルシウムよりもコラーゲン

そのため、骨粗しょう症薬を服用して見かけ上の骨密度が高まったとしても、骨本来の弾力性がないため、ポキンと骨折するリスクは高くなるのです。

よくカルシウムだけを一生懸命飲んでいる高齢の女性がいらっしゃいますが、私の研究結果では、それで骨密度を高めるのは難しいと思います。もちろん、効かない主な理由は、コラーゲンを補給していないことです。

また、前述したように、コラーゲンは体内に吸収される前に、いったんペプチドやアミノ酸まで分解されますが、そのなかに、体内でのコラーゲンの合成を促すものも存在します。例えば、コラーゲン研究の第一人者である藤本大三郎博士は、そのような働きをもつアミノ酸として、コラーゲンに大量に含まれているプロリンを挙げておられます。

ちなみに、体内でのコラーゲンの合成にはビタミンCも必要です。コラーゲン合成酵素の補酵素として働くからです。ビタミンCを過剰に摂取する必要はありませんが、一般にビタミンC不足が指摘されていますから、ある程度補給することは考えたほうがいいかもしれません。私も、コラーゲンサプリメントを摂取している方には、1日1gぐらいはビタミンCを摂取することをお勧めしています。

がん予防は骨髄の元気にかかっている

以上をまとめると、私はコラーゲンの免疫賦活作用は、骨の若返りからくるのではないかとにらんでいます。

コラーゲンは、全身の組織を丈夫にします。なかでも重要なのは、骨を丈夫にし免疫細胞をつくる骨髄を元気にすることです。良質なコラーゲンを摂取することで骨が元気になれば、がんを予防できる可能性が高まるわけです。

これは、あくまでも「仮説」ですが、バーネットが打ち立てた免疫監視機構説(NK細胞が体内をパトロールし、がん細胞を退治している)のように、医学の理論はそもそも常に仮説であるとも言えます。

仮説を立てて、それを診断、治療に応用し、検証していく。そして、それが患者様の苦痛を取り除くのに有効であり、もっと有用な仮説の登場で否定されないうちは有用だということです。

エビデンスは一般に「科学的な証明」を指します。これは、まさに仮説を立て、その確からしさを確認したという意味です。がん治療では特にエビデンスのある治療が標準とされているのですが、これからはその有用性も重視し、エビデンスの意味を再考していくべきではないでしょうか。例えば、それが命を救うエビデンスなのか延命のエビデンスなのかによっても、その有用性は違うはずです。

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