ウェルネスコラム「がんから体を守る意外な物質」

ウェルネスコラム

書籍連載

【第4章】免疫力を向上させて、がんにならない体をつくる
がんから体を守る意外な物質

胃粘膜の萎縮を遅らせる物質を発見

ようやく本題にたどり着きました。実は、私がかねて注目しているメディカルサプリメントには、どうやらがん予防効果がありそうだと考えられるのです。 もちろん、がん予防によいとされる食品や素材にはさまざまなものがあります。抗酸化ビタミンや、ミネラル、食物繊維や乳酸菌のように、医学的に理にかなっているものも少なくありません。ここでは、私の臨床経験から効果を実感したがん予防素材を紹介し、そうした「根拠あるがん予防食品」の列に加えてもらおうと思います。

一生がんにならない体をつくる

一生がんにならない体をつくる

私が推奨するメディカルサプリメントの1つは「コラーゲン」です。その効果は、胃炎の臨床でも間違いなく結果が出ています。

それは実験ではなく、臨床での経験知です。私は日々、内視鏡で大勢の患者様を観察しており、定期的に胃の検査をしている方が相当数いらっしゃいます。そのなかにはコラーゲンを継続して摂取している人も、まったく摂取していない人もいらっしゃいます。そこで、単純な経過の比較はできるわけです。

すると驚いたことに、コラーゲンを摂取している人は、胃粘膜の萎縮の進行が極めて遅く、しかも胃がんがまったく生じていません。最近、胃がんになる患者様は、ことごとくコラーゲンを摂取していない人から出ているのです。

胃粘膜の萎縮を防ぐコラーゲンの効果

前述のように、胃粘膜の萎縮は加齢とともに進行するのが普通です。60歳代の胃粘膜の萎縮度はO-1以上になるのが当たり前で、O-3も珍しくありません。70歳を過ぎれば、ほとんどの人はO-3になります。

ところが、メディカルサプリメントとしてコラーゲンを常に摂取している人は、驚くほど萎縮の度合いが小さいことに気がつきました。具体的には、60歳、あるいは70歳を過ぎてもCの段階にとどまっているケースが多いのです。

これは、明らかにコラーゲンが胃粘膜の萎縮の進行を抑えているということを示していると言えると思うのです。

なかには、80歳代でコラーゲンを日々大量に(1日5g以上)摂取している方もいらっしゃいます。その方は、なんと萎縮度がC-2にとどまっています。この進行度合いは、普通だと30歳代から40歳代に多く見られる段階です。つまり、胃が若いのです。

これらは、あくまでも実験の結果ではありません。メディカルサプリメントとしてコラーゲンを摂取し続けている人たちを、継続的に観察して得られた所見です。その結果をどう見ても、コラーゲンを摂り続けている人の胃は粘膜が萎縮しにくい、萎縮が見られても進行が遅いということは間違いないのです。

では、例えばC-3にまで進んでいた萎縮がC-2に戻るかというと、あまりそうした検討をしていませんので、まだ分からないとしか言えません。

しかし、広範囲に広がっていた萎縮がコラーゲンの補給によって元に戻るという可能性も、否定すべきではないと考えています。例えば、若い人でも胃粘膜の萎縮が相当進行している人がけっこういます。そういう人は、コラーゲンの摂取による体質改善が大いに期待できます。

免疫力とコラーゲン合成能力の関係

前章では、粘膜に起こっている慢性の炎症が、がんの生まれる素地になることを述べました。加齢とともに進む粘膜の老化には、慢性の炎症が伴います。そのために、がんが発症しやすくなるということです。

では、加齢とともにがんが増えるのは、粘膜の炎症だけが理由でしょうか。十分免疫力が高ければ、炎症のある粘膜でがんが発生しても、NK細胞が退治してくれるのではないでしょうか。

どうやら、粘膜だけでなく免疫システムでも、ほかの器官と同じように老化が進むと考えたほうが自然なようです。では、コラーゲンやプラセンタは、免疫システムにどのように関わっているのでしょうか。

ここで一つ思い浮かぶことは、コラーゲンの体内での生成が、加齢に伴って減少してくるという事実です。

私たちは、コラーゲンを体内で合成しているのですが、20歳を過ぎると、毎年1〜2%、その合成力が低下していきます。仮に1%ずつ低下していくとしても、60歳になれば20歳のときに比べて40%も、コラーゲンをつくる力が低下することになります。つまり、60歳代になれば、若い頃と比べて半分ぐらいに減ってしまうのです。

加齢とともにNK活性が低下してくることと、加齢とともにコラーゲンの生成が減少してくることとは、パラレルな関係にあるわけです(下図参照)。

つまり、免疫力と、体内でコラーゲンをつくる力との間には、なんらかのつながりがあると言えそうです。粘膜の若さ以外に、コラーゲンはどんな器官の若さと関わっているのでしょうか。

体内のコラーゲン含有量、NK細胞の活性年齢による変化の図

粘膜を修復し炎症を鎮めるたんぱく質の作用

私は、コラーゲンは慢性胃炎の治療においても役に立つ、そして胃がんの予防につながると考えています。

実際に、こういうケースがありました。萎縮性胃炎の患者様のなかには、前がん状態に相当する腸上皮化生が見られる人もいらっしゃいます。そのような場合、通常は、胃炎の治療薬を処方して、最低半年ごとに内視鏡検査でフォローしていきます。

ところが、ある患者様が、「どうしても薬を飲みたくない。コラーゲンで治したい」とおっしゃいました。そこで、薬ではなく、コラーゲンのメディカルサプリメントを摂取していただきました。すると、その人の腸上皮化生は、半年では治りませんでしたが、1〜2年観察を続けるうちに治ってしまったのです。

ほかに薬は出していませんので、コラーゲンだけで胃粘膜が若返り、前がん状態がよくなったと考えることができます。

私は、コラーゲンのこのような胃粘膜修復効果は、その抗炎症作用から来ていると見ています。なぜコラーゲンに炎症を鎮める作用があるのかというと、コラーゲンが豊富であれば、組織の修復がスムーズにいくためでしょう。

コラーゲンはたんぱく質の一種で、女性ならご存じと思いますが、従来は美容成分として知られてきました。皮膚の土台のような役目を果たし、張りや弾力を与えるのがコラーゲンです。粘膜も組織の表皮で、構造的には皮膚と近いものです。傷ついた細胞が分裂しながら変異、増殖を繰り返すと、がんに近づく悪い方向へ行くのと反対に、コラーゲンは細胞を修復して、若返る方向に向けていくのではないでしょうか。そうであれば、当然がん細胞の発生も予防することができるわけです。

肝炎の治療薬、胎盤のエキスはがん予防にも効果的

もう一つ、メディカルサプリメントとしてがん予防に有用と考えているのが「プラセンタ」です。

プラセンタというのは、赤ちゃんを育てる胎盤のことです。出産後は体外に排出されるのですが、アミノ酸などの栄養分が豊富で、有用な生理活性物質もたくさん含まれています。そこで、そのエキスが美容や健康目的で利用されています。

現在、プラセンタを圧倒的に多く利用しているのは女性で、美肌効果などの美容目的がほとんどだと思います。そのような場合は保険適用外になりますが、実はプラセンタは、1950年代に医薬品として承認され、以前から医療用に使われています。

医薬品として認められている効能効果から、まず確実に言えるのは肝炎に対する効果です。肝機能障害で保険適用になっているので、肝炎を治療し、肝臓がんの発症を抑える効果があるのではないかと考えられます。そう考える理由の一つは、実際に70歳代の慢性C型肝炎の女性にプラセンタを処方して有効だったためです。

その患者様は、通院して強力ミノファーゲンという肝臓病治療薬を注射していたのですが、数年前に肝臓がんのマーカーであるAFPの値が急激に上昇しました。CTやエコーなどの画像診断で、がんではないと確認しましたが、そのまま放置するとがんを発症する可能性が否定できませんでした。

そこで、強力ミノファーゲンに代わるものとして思い立ったのが、プラセンタの注射剤ラエンネックでした。患者様に肝機能障害を改善するプラセンタを試しに使ってみようと話し、週に2回、注射をしました。すると、300ぐらいに上がっていたAFPの値が、2カ月ほどで50以下に下がったのです(AFPの標準値は20以下)。

この患者様には、現在もプラセンタを継続してもらっていて、AFPは50前後で推移しています。このような症例から、プラセンタががん予防に役立つ可能性を考えたのです。

そこで私は、先に効果を確認していたコラーゲンとプラセンタを組み合わせたメディカルサプリメントを開発しました。というのも、プラセンタにはコラーゲンの合成を促進する作用もあるからです。

コラーゲンは、私たちの体内で合成されており、その生成能力が年齢とともに衰えることが、老化の大きな原因と考えられています。

ただし、食品として摂取するコラーゲンは、口から摂取すると体内で分解され、アミノ酸やペプチド(アミノ酸が複数つながった物質)として吸収されます。そのため、以前は、サプリメントとして摂取する意味がないのではないかと言う専門家もいました。

しかし現在では、アミノ酸まで分解される途中のペプチドに、さまざまな生理機能があることが分かっています。このあたりはまだ研究途上ですが、そのペプチドの一部に、体内でのコラーゲンの合成を促進する作用があるのだろうと考えられています。

コラーゲンの合成を促す成分としては、ほかにもビタミンCなどが知られています。コラーゲンの合成を助ける補酵素として働くためで、私もコラーゲンのサプリメントを摂取するときには1gぐらい摂ってくださいとアドバイスしています。

プラセンタにも、そのようなコラーゲンの合成促進作用があるのです。

しかし、医療用のプラセンタが注射剤であることから、口から摂取するサプリメントでも効果があるのか、疑問に思う人もいるかもしれません。

歴史的に見ると、プラセンタの利用は食用から始まっています。現在、文献として確認できるのは、16世紀に中国の医師李時珍という人がまとめた薬学書『本草綱目』で、そのなかに紫河車(しかしゃ)という名前でプラセンタが載っています。もっと歴史をさかのぼれば、古代エジプトのクレオパトラや唐の楊貴妃、秦の始皇帝などが美容、不老の目的で摂取していたという話ですが、真偽は分かりません。

動物が産後に胎盤を食べることはよく知られていて、以前は出産のにおいを消して敵から身を守るためだろうと考えられていました。しかし現在では、プラセンタに含まれる豊富な栄養で体力を回復し、乳汁を分泌しやすくするためだという説が有力になっています。注射剤メルスモンも乳汁分泌の促進で保険適用になっていますから、確かにそうであろうと思われます。

赤ちゃんを育てる胎盤には免疫を活性させる作用がある

胎盤=プラセンタには、そもそも胎児を成長させるのが役目ですから、大量の成長促進因子や再生因子が存在します。また、生まれたての赤ちゃんは、半年ぐらいカゼもひきませんが、それは胎盤から受け取った免疫力のたまものです。つまり、胎盤には免疫賦活作用があるのです。

出産後、体外に排出された胎盤を成人が摂取しても、成長促進や再生促進、免疫賦活作用などの効果が期待できるのです。

成長促進作用については、実際に、プラセンタのメディカルサプリメントを摂取した女性で、30歳にして身長が1cm伸びたという人がいます。

また、再生促進作用というのは、損傷した組織の治癒を促す作用です。例えば、やけどをしたときなどにプラセンタを用いると、早く治って痕が残りにくいのです。

プラセンタの成長促進因子は成長ホルモンとは別のものですが、夜間私たちが眠っている間に分泌される成長ホルモンにも、その日に体が受けたダメージを修復する作用があります。それと同じような作用だと考えればよいでしょう。

そうしたことから、がんに進行していく可能性のある体内のさまざまな部位の炎症が、プラセンタの作用によって修復されることも期待されます。

発がんの根本には、みな慢性的な炎症があることは前述したとおりです。その慢性的な炎症を抑える作用をコラーゲンとプラセンタがともにもっているわけです。この作用は、炎症性の病気全般に応用できるのではないかと思います。

そのことから、コラーゲンにもプラセンタにも制がん効果が期待されると言って過言ではないと私は考えているのです。

コラーゲンもプラセンタも、これまでは主に美容によい成分としてしか捉えられていませんでした。しかし、なぜ美容によいのかを冷静に分析すれば、これは医療にこそ生かせる素材だということが分かります。私は、この2つのサプリメントについて、美容から医療へと活用を広げる流れをつくっていきたいと考えています。

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