ウェルネスコラム「日本人の死因、第1位は「がん」」

ウェルネスコラム

書籍連載

【第2章】予防をしなければ、2人に1人の確率でがん患者
日本人の死因、第1位は「がん」

男女とも平均寿命が80歳を超えた日本

厚生労働省の調査によると、平成25(2013)年の日本人の平均寿命が、男性80.21歳、女性86.61歳になったというのです。日本の女性の長寿はかねてより知られていますが、これで2年連続の世界一となりました。男性の順位も世界第4位に浮上したと推測されています。

一生がんにならない体をつくる

一生がんにならない体をつくる

男80.21歳、女86.61歳は共に過去最高で、特に男性の平均寿命は初めて80歳を超えました。6年前の東日本大震災で大きな打撃を受けた国民の寿命が、むしろ過去最高にのびたというのですから、やや意外でもあったとともに、よい意味での日本人のしぶとさを感じる話題でした。

そうなると、調査結果をまとめた厚労省が、寿命がのびた理由をどう見ているかも気になるところです。新聞の記事には、厚労省は「がんなどの死亡率が低下したことが要因とみている」とありました。

その評価が妥当かどうかはさておき、ここでまず「がんの死亡率」が持ち出されてくるのは、わが国の死因第1位ががんであると広く認識されているからでしょう。実際にがんによる死亡が減っているのなら、それは大いにけっこうなことです。

男性の3人に1人、女性の4人に1人が、がんで死亡する

実際には、高齢化の影響もあって、がん死亡率は上がり続けています。国立がん研究センターがん対策情報センターが発表している統計では、人口の年齢構成比を考慮した年齢調整がん死亡率はほんの少し下がっていますが、これは統計のトリックというべきです。実態は、がん死亡数は毎年3000人以上増えています。がんの脅威が遠ざかっているかのように勘違いしてはいけないと思います。

現場の医師としての実感でも、がんの治療を受けた患者さんが元気になる確率は、何十年も前から大して変わっていないと思います。

がんをめぐるわが国の現状をおさらいしておきましょう。

最も新しい厚生労働省の人口動態統計(平成26年)によると、平成24年の国民全体の死亡数は125万6359人で、前年より3293人増加しています。

死亡数の増加そのものは、現在進行中の高齢化によるものですから、今後も当分は同じ傾向が続くと思われます。老人が増えれば高齢のために亡くなる人も増えるのが道理で、死亡数の増加自体はやむを得ないことです。

ここでの問題は、そのうち"がん死"がどのくらいの割合を占めているかです。そして、その数字には男性と女性でも大きな違いがあります。

まず男女合わせた死亡総数を見ると、平成24年にがんで亡くなった人は36万963人で、全死因に対して28.7%を占めます。

次に男性だけを見ると、がん死亡数は21万5110人。全死因に対して32.8%に当たります。そして、女性のがん死亡数は14万5853人。全死因に対して24.3%となっています。

日本人の3人に1人ががんで亡くなると言われてきましたが、最近の状況をより正確に言えば、「男性の3人に1人、女性の4人に1人ががんで亡くなっている」のが現状だと言うべきでしょう。

がんによる死亡者は増え続けている

現在の年間がん死亡数は、昭和60(1985)年の約2倍になっています。高齢化が大きな理由だとは言っても、それは気休めです。やはりがんは「死亡率が低下した」という理由で油断できる病気ではありません。

ちなみに、昭和60年には、国民のすべての理由での死亡数は75万2283人でした。これに対して平成24年の死亡数(125万6359人)は約1.7倍になっています。数字の遊びではありませんが、これを単純に比較しても、がんによる死亡が顕著に減っているとは言えないでしょう。

主な死因別に見た死亡率の年次推移

やはり、がんを減らすことは、最も重要な国民的課題だと考えるべきなのです。

現在、男性の3人に1人、女性の4人に1人ががんで亡くなっているので、仮の話として、「男性のがん死亡率を現在の女性並みに抑える」という目標を立ててアプローチすることも有効でしょう。そうして男性のがんが減る間には、おのずと女性のがんも減り、わが国は「健康長寿大国」に大きく近づけるはずです。

男性と女性では、死亡率が高いがんの部位も違います。
男性では、①肺がん、②胃がん、③大腸がん、④肝臓がん、⑤膵臓(すいぞう)がん、⑥前立腺がん、⑦食道がん、⑧白血病の順です。

一方、女性は少し違っていて、①大腸がん、②肺がん、③胃がん、④膵臓がん、⑤乳がん、⑥肝臓がん、⑦子宮がん、⑧白血病、⑨食道がんの順になります。

女性よりがん死亡率が高い男性は、生活習慣全般の真剣な見直しが必要です。肺がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、食道がんのすべてに関わってくる喫煙、そしてアルコールの過飲などを厳に戒めるべきではないでしょうか。

男女別の部位別に見たがんによる死亡の内訳

女性の大腸がんの死亡率が高い理由は"恥ずかしさ"

男性の前立腺がん、女性の乳がんと子宮がんは、性別による特徴があるので比較できません。それを除いたときに一見して目立つのは、女性の大腸がんの死亡率が高いことです。

これは、消化器専門医の私には見過ごせないことです。ですが、その理由も、内視鏡医だからこそピンと来ます。それは、とても単純なことで、女性の場合、恥ずかしさを理由に大腸がんの検査を受けず、発見されたときには進行がんになってしまっているケースが多いのです。詳しくは後述しますが、がんには早期がんと進行がんがあり、早期がんを放置すると、いずれ進行がんに発展します。そうなると、比較にならないほど治療が困難になっていくのです。

しかも、大腸がんは定期的な内視鏡検査で早期発見できれば、5年生存率という現在の治療効果判定基準でも、治療成績が非常によいがんなのです。一般論ですが、女性は大腸がん検診をもっと積極的に受ける必要があるでしょう。

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