ウェルネスコラム「がんを発症させる、間違いだらけの健康診断」

ウェルネスコラム

書籍連載

【第1章】現代人の生活は、がん発症の危険因子で溢れている
がんを発症させる、間違いだらけの健康診断

胃バリウム検査の放射線は体に蓄積されていく

健康維持のために行っていることが、発がんの原因になることもあります。特に、発がんリスクの点から考えれば、定期検診でごく当たり前に行われているバリウム検査などは、見過ごせない悪習です。

一生がんにならない体をつくる

一生がんにならない体をつくる

バリウム検査は、胃の異常を見つける名目で行われますが、そのしくみ上、内視鏡に比べて早期がんの見落としが少なくありません。がんの発見精度が高く、苦痛の少ない内視鏡検査が発達している現在、バリウム検査を続けている意味はほとんどありません。

皆さんも、多量の放射線被ばくが発がんの原因になるということはご存じだと思います。最近は、放射線被ばくと言うと、もっぱら福島第一原子力発電所の話題になりますが、日常的な放射線被ばくのなかでは、医療被ばくが一番恐ろしいのです。

医療被ばくと言っても、がん治療のための被ばくは仕方ありません。しかし、どんなに放射線による治療が必要であるとはいえ、照射できる放射線の量には制限があります。体重によって異なりますが、被ばく線量で言えば、通常は60Gry(グレイ)までに定められています。

その限界まで受けても大丈夫というわけではありませんが、それ以上浴びると、新たに別の発がんを促すリスクが極めて高くなるという意味あいです。

ところが、がん治療でさえも上限を定めている放射線が、健康人に対してむやみに検査として使われているのが現状です。CTやPETも放射線検査ですが、それを理解して受けている人はどれほどいるでしょうか。

被ばくした放射線は、何十年も蓄積されますから、毎年バリウム検査を受ければ、どんどん被ばく線量がたまっていき、がんのリスクが高くなっていきます。

放射線検査による発がん率が世界一の日本

以前、世界的に権威のある医学専門誌『ランセット』で、イギリスのオックスフォード大学のグループの調査結果が発表されました。その調査によると、「75歳までにがんになる日本人のうち、3.2%のがんは放射線検査によって誘発されるものだと推定される」ということでした。これは、調査対象となった15カ国で最も高い割合です。この不名誉な数字を減らすためには、ムダな放射線検査をできるだけ減らさなければなりません。

皆さんは、なにげなく受けている胃バリウム検査に、どれほどの被ばく線量があるかご存じでしょうか。実は、検査方法によっても大きく変わり、大きなフィルムで撮影する直接撮影法では15~25mSv(ミリシーベルト)、健診車の中で小さなフィルムで撮影する間接撮影法だと20~30mSvです。胸部エックス線が0.1mSv程度ですから、バリウム検査はそれに比べて150~300倍もの被ばく量になります。ちなみに、CTの被ばく線量は10~20mSvです。

そうした違いを知らない患者さんのなかには、胸のレントゲンを1枚撮りましょうと言うと、「大丈夫ですか、先生」などと不安がる人もいらっしゃいます。しかし、そういう人に限って毎年バリウム検診を受けたり、何かあるとCTを受けたりしているのです。

検査方法によって被ばく線量に差があるとはいえ、むやみに検査を受けるのは発がんの元になることを知っておくべきでしょう。特に、発がんリスクを高めてまで、バリウム検査という方法で胃がんを見つけなければいけないのかどうかは疑問です。バリウム検診は、世界中どこを探しても日本でしか採用されていません。私自身は、基本的にバリウム検診は意味がないと考えています。

発がんを防ぎたいなら、放射線検査を受けることに対してもっと神経質になり、余計な被ばくは避けるべきです。

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