ウェルネスコラム「発がんリスクを高める薬の常用」

ウェルネスコラム

書籍連載

【第1章】現代人の生活は、がん発症の危険因子で溢れている
発がんリスクを高める薬の常用

関節リウマチや膠原病の治療薬「免疫抑制剤」に要注意

医療ががんをつくると言いきっては乱暴ですが、医療行為も方法によっては、発がんリスクを高める可能性があります。関節リウマチや膠原(こうげん)病の治療薬である「免疫抑制剤」という薬を例に挙げてみましょう。これらの病気は、自己免疫疾患と呼ばれ、自分の組織を免疫が攻撃して、炎症を起こしてしまう病気です。そこで、その炎症を鎮めるために自分の免疫の活動を抑えるのが免疫抑制剤です。

一生がんにならない体をつくる

一生がんにならない体をつくる

がんは免疫を抑え込んで増殖します。症状を鎮めるために必要な薬ではありますが、免疫抑制剤を長期にわたって飲み続けると、がん化のリスクは高まります。免疫抑制剤は、がんにならない体づくりのためには、残念ながらマイナス要素なのです。

現在のがん治療や難病の医療には、さまざまな矛盾が存在しています。

「ステロイド」や「解熱鎮痛剤」も免疫力を低下させる

一般の人が、免疫抑制剤だとは思わずに使っている薬もあります。例えば「ステロイド薬(副腎皮質ホルモン剤)」や「解熱鎮痛剤」などです。

ステロイドは、重篤な炎症を鋭い切れ味で抑える頼りになる薬ですが、これも免疫抑制剤の一種です。よく、気管支ぜんそくやアトピー性皮膚炎など、やはり自己免疫疾患に分類されるアレルギー性の病気の治療に使われています。アレルギーとは、いわば免疫が暴走している状態です。アレルギーを抑えるということは、免疫そのものの働きを抑えることを意味します。

広く使われている鎮痛剤の「ロキソニン」なども免疫を抑制する薬です。解熱鎮痛剤は痛みや熱を抑える薬ですが、熱が出るということは、サイトカインという免疫刺激物質が体内で働き、免疫が働いている証拠です。その熱を下げるということは、要するに免疫の働きを抑制するということになります。

解熱鎮痛剤は、頭痛や生理痛をはじめ、痛みを伴うさまざまな症状に、けっこう気軽に使われていますが、常用は危険です。確かに痛みはすぐに取れるかもしれませんが、常用することで、がんと闘っている免疫が低下し、発がんのリスクを高める可能性があるということをもっと意識するべきでしょう。

免疫抑制剤やステロイド薬は、年単位での長期連用、場合によっては一生飲み続けなければいけない薬です。薬のよい作用だけを伝えて、副作用や服用によって引き起こされるリスクをきちんと伝えない医師も少なくありません。

体調を改善するために飲んでいた薬が原因でがんになっては元も子もありません。薬を服用する際にはデメリットについても把握しておく必要があるでしょう。

骨粗しょう症の治療薬の常用は発がんリスクを高める

もう一つ、長期にわたって服用することになる薬に、骨粗しょう症の治療薬があります。よく知られている副作用として、あごの骨が腐ったりする顎骨骨髄炎(がくこつこつずいえん)というものがありますが、もっと怖いのは免疫を抑えることによる発がん性です。そのため、骨粗しょう症の治療薬は10年以上飲んではいけないことになっています。仮に50歳代の後半から薬を飲み始めた場合、70歳になる前にやめなければならなくなります。加齢によってさらに骨密度の低下が進む年齢になったら、服用をやめなければならないということです。

骨粗しょう症の治療薬は、骨の形成のプロセスを邪魔します。骨の形成は、「骨芽細胞(こつがさいぼう)」と「破骨細胞(はこつさいぼう)」という細胞の働きのバランスの上に立っています。骨芽細胞というのは骨をつくるほうの細胞で、破骨細胞というのは新陳代謝のために骨を破壊する細胞です。

若いときは、骨芽細胞が盛んに増殖しているので骨がどんどん成長します。そして、年齢を重ねるにつれて骨芽細胞が減って、破骨細胞が増えていきます。特に女性の場合は、閉経から2~3年で女性ホルモンが低下し、骨芽細胞がよりいっそう減少してしまいます。

破骨細胞は増殖が盛んなので、がん細胞と性質が似ています。そのため、破骨細胞を攻撃する骨粗しょう症の治療薬は抗がん剤に近い性質をもち、長期間飲み続けると発がん作用があると言われています。そのため、10年以上飲んではいけないことになっているのです。

本来、骨粗しょう症を改善するためには、骨芽細胞の増殖を促すべきですが、これまでの骨粗しょう症の治療薬は、破骨細胞を攻撃するだけのものでした。しかし、最近では、骨芽細胞の増殖を促すタイプの薬も出始めています。

薬の副作用で起きた胃潰瘍が、がんのきっかけに......

身近な薬が胃に炎症を起こすことは、決して珍しくありません。

特に、胃粘膜の萎縮が進む高齢者は、薬による胃潰瘍が起こりやすいことがよく知られています。例えば、ロキソニンや、やはりポピュラーな解熱鎮痛剤であるアスピリンによる胃潰瘍が挙げられます。

アスピリンもロキソニンも痛みを止めてしまうので、胃潰瘍になっても痛みは感じません。しかし、自覚症状のない胃潰瘍の場合、黒い便(血液の交じった便)が出たり、貧血になるなど、消化器の出血に関わる症状が現れることで発覚することが多々あります。

そこで何を飲んでいたのか聞くと、ロキソニンやアスピリンの名前が出てきます。これらは痛み止めのため、炎症が起こっても痛みに気づくことができないのです。

こうした薬による胃潰瘍が、がんに進展することも、もちろん考えられます。

わが国は、世界的に類を見ないほど薬を使いすぎています。そして、薬で体を壊している人が大勢います。

病気を治すつもりで、あるいは症状を鎮めて元気になるつもりで使っている薬に、がんの危険が潜んでいるのです。最近は、ていねいに説明をしてくれる医師も増えてきましたが、薬を服用する際には自分でも吟味することが大切です。

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