ウェルネスコラム「食生活の乱れが、がんを誘発する」

ウェルネスコラム

書籍連載

【第1章】現代人の生活は、がん発症の危険因子で溢れている
食生活の乱れが、がんを誘発する

極端なダイエットは老化を早める

毎日の生活に欠かせない食生活の乱れが、がんを誘発している可能性がある――。その理由は、いくつか考えられます。
その1つが、過剰なダイエットです。ダイエットというものは、本来、健康に支障をきたすほど極端に肥満の人や、食事療法を指導されている人がするべきものです。ダイエットの必要がないにもかかわらず、意図的に栄養を摂らないと、体にさまざまな支障が出てきます。

一生がんにならない体をつくる

一生がんにならない体をつくる

私のクリニックには、いかにもダイエットをしていそうな若い女性が、胃の痛みを訴えて来院することがよくあります。すると案の定、若くても胃粘膜の萎縮がかなり進行しているのです。もはや胃の老化と言っても過言ではないレベルに達していることも珍しくありません。

お腹がすいても、ところてんのような、栄養のないものばかり摂っていては、体によいはずがありません。若い人でさえも、食事の摂り方によって、胃の老化をいたずらに早めてしまうわけですから、中高年の方の場合は、なおのこと老化を加速させてしまいます。過剰なダイエットは自ら老化を早めて、がんになるリスクを高めているのと同じです。しかも、胃が老化しているということは、全身の老化も同時に進んでいるということです。

トウガラシの過剰摂取が胃の炎症を引き起こす

胃の粘膜を痛めつけ、胃の老化を早める食生活は、極端なダイエットだけではありません。刺激物の過剰摂取も、現代人が無頓着になっている悪い食習慣です。

胃にダメージを与える刺激物として、特筆すべきなのはトウガラシです。トウガラシといえば、胃を刺激して食欲を増進させる、いわゆる健胃作用が知られています。よいイメージで捉えられているので、多くの人はちゅうちょなく食事に取り入れていると思いますが、問題はその摂取量です。

ほんの少量であれば、本来の健胃作用が望めるでしょう。しかし、最近の激辛ブームも相まって、過剰に摂取している人が少なくありません。例えば、そばやうどんなどを食べるときに、表面が真っ赤になるぐらいトウガラシをかけるような食べ方です。本人は慣れていて、それほどからいと思っていなくても、胃腸は悲鳴を上げています。

なぜあえて刺激物のなかでもトウガラシを挙げたかというと、胃痛を訴えて来院する人の胃を内視鏡で見ると、胃の中が真っ赤になっている人が少なくないためです。胃袋がトウガラシと同じような色になっている人に食生活を聞くと、激辛好きという人が少なくありません。

中華料理店でマーボー豆腐にからさのランクがあれば「一番からい物を」と注文し、パスタを食べるときは、真っ赤になるくらいペッパーソースをかける......。これらの赤い色もトウガラシです。

一時トウガラシの成分を活用した「カプサイシンダイエット」というものがはやりました。脂肪の燃焼を促すなどと説明されていましたが、その真偽はともかく、仮に脂肪が燃えるなら胃の老化を早めてもいいのでしょうか。

"ワサビ性胃炎"で駆け込んでくる人はいない

念のため、香辛料の種類によって、胃への影響は違うということも説明しておきます。経験的にですが、同じ香辛料でもワサビでは、トウガラシのように胃の炎症を起こすことはありません。胃に異常を感じて来院される患者さんには、内視鏡で胃の中を見てから、問診でどのような食事をしたのか必ず聞きます。すると、ワサビの摂りすぎという話は聞いたことがありません。

そのほかのポピュラーな香辛料には、マスタードもありますが、マスタードが原因で駆け込んでくる人もいません。いくら激辛好きといっても、いずれも食べ物の表面を覆うほどつけて食べることはなく、軽くつけるくらいでしょう。

それに対してトウガラシは食べやすいのか、摂取量が多くなりがちです。トウガラシの摂りすぎが原因で胃が痛くなり、診察に来る人は大勢います。

そのほかにも最近では、その手軽さから、レトルト・冷凍食品、ファストフード、コンビニ弁当・おにぎり、スナック菓子などが当たり前のように生活に取り入れられるようになっていますが、これらの加工食品には、例外なく添加物(防腐剤)が入っています。添加物には、体に蓄積されると発がん性を示すものがたくさんあります。

偏った食事を続けると、胃だけでなく、あらゆるがんを引き起こすことにつながります。まさに、自らがんを呼び込むような悪い習慣です。

現代人の健康管理は快食・快眠・快便だけでは不十分

健康的な生活習慣については、昔から「快食・快眠・快便」が目安とされてきました。しかし、現代人にとっては、そのような牧歌的な健康管理では不十分です。

過剰な栄養摂取がメタボリック症候群の原因になっている現在、快食であればよいとは一概には言えません。また、現代人のライフスタイルは複雑多様です。誰もが日の出とともに働き、日の入りとともに休むというような生活ではないでしょう。むしろ、多くの人が、夜型の不規則な生活リズムに加え、さまざまな精神的ストレスを抱えています。神経が高ぶっていることが多く、快眠を確保することさえ簡単ではありません。

そうしたなか、最近は「マイナスの健康法」がよく話題にされます。マイナスの健康法とは、体内に入った化学物質などを排出する体内の大掃除を指すこともありますが、要するに「体に悪い習慣をやめること」と考えればよいでしょう。

現代人の生活のなかには、生活習慣病やがんに直結する悪い習慣が溢れています。マイナスの健康法が注目されるのも、そうしたリスクが身の回りにいかに多いかを示しています。

がんの予防は、現在の自分の生活習慣を見直すことから始まります。そして、気がついた悪習を一つでもやめることで大きく前進できるのです。

「たかが一つ」ではありません。がんは、悪い条件がいくつも重なって発症します。悪い生活習慣を一つ減らせば、それだけがんを遠ざけることになるのです。

逆に言えば、どんなに体によい習慣を取り入れても、がんを招くリスクに囲まれていたら、よい習慣のメリットは打ち消されてしまいます。リスクを一つでも多く減らしたうえで、体によい生活習慣を取り入れていけば鬼に金棒になるのです。

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