コラム

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はじめに

がんに対して、「早期発見・早期治療」が有効だということは、誰もが認めるところだと思います。日本人では1番目に発症数が多いのが胃がん、2番目が大腸がん、3番目が肺がんと続きます。とくに胃がんと大腸がんは早期に発見して適切な治療を行なえば、高い確率で完治が望めるがんです。その点、がんのなかでも比較的「たちのよいがん」といえるかもしれません。まさに「早期発見・早期治療」のシンボルのようながんです。

がんと診断されたらANK免疫細胞療法

がんと診断されたら
ANK免疫細胞療法

私は、医師として41年、とくに内視鏡の専門医としてキャリアを積んできました。日本橋で開業して17年になりますが、開業以来、胃と大腸の無痛内視鏡検診でがんの早期発見早期治療に注力してきました。しかし、なかにはいきなり進行がんで発見される場合もまれではありません。いくら医師が早期発見に力を注いでも、定期的に検診を受けてくれない人が多いままでは、進行がんの発生を防ぐことは絵に描いた餅です。

この10年間我が国のがんの死亡率は高止まりしたままです。欧米では、がんの死亡率が減少傾向にあるのにどうして我が国は改善しないのか、私は切歯扼腕していました。

8年前、知人からANK免疫細胞療法のことを聞き、これこそがん治療の切り札に違いないと直感しました。がんを殺す免疫細胞はNK細胞であることは知っていました。自己のNK細胞を特異的に培養。増殖・活性化して体内に投与する。抗がん剤と異なり副作用もなく、自己の免疫力でがんを叩く理想的な治療であると思いました。

私がANK免疫細胞療法の導入を決意したのは、ANKセミナーである方の体験談を聞いたのがきっかけです。その方は、ドナウ川の支流のイン川でボートが転覆し、川に投げ出されてしまいました。チェルノブイリの死の灰が大量に含まれた水を飲み込み、その結果悪性リンパ腫に罹ったのです(同時に投げ出された多くの人が、がんになったそうです)が、京都大学のANK免疫細胞療法で治ったというのです。後から分かったのですが、リンパ球バンクはその患者が作った会社なのです。

導入してから苦難の歴史が始まりました。ANK免疫細胞療法を受けたいと来院する患者は、末期がんばかりだったからです。抗がん剤(殺細胞剤)の耐性ができ、セカンドラインからサードラインまで受けたり、放射線を限度いっぱい受けてもがんが拡がってしまう。さらに他の免疫細胞療法をいくつも受けてから最後の頼みの綱とばかりに来るのです。

いくらANK免疫細胞療法が理想的ながん治療といっても、免疫力がゼロに近くなっているのでは助けることはできません。ANK免疫細胞療法の治療には"旬"があるのです。がんと診断されたら、どのタイミングでANK免疫細胞療法を受ければいいのかを、早く知ってもらえたら完治できるのにと常に願っていました。

ANK免疫細胞療法に関する書籍は過去数冊出版されていて、理論的背景は十分説明し尽くされています。それでも私が出版するのは、未だに、他の免疫細胞療法をいくつも受けてからとか、標準治療をやりつくしてから来るという患者が後を絶たないからです。論より証拠です。臨床医の視点から著効例を紹介した本があれば、医師や患者のANK免疫細胞療法に対する見方が変わるかもしれません。

最近がんに罹った医師が、ANK免疫細胞療法を求めて来ることが増えています。彼らは一様に、色々調べたがANK免疫細胞療法が免疫細胞療法として最強だといいます。それでも標準治療をやりつくした結果来院するのです。手術の前にリンパ球を採取して、術後すぐANK免疫細胞療法を受けていればと、実にもったいないと思います。これは私たちANK免疫細胞療法に携わる医師が、説明責任を果たしていないからでもあると思います。

この8年間で累積症例数は約400例となり、ANK契約医療機関の全症例数(約2000)の20%を占めるまでになりました。2012年から分子標的薬を積極的に併用して、転移性進行がんでの著効例も十数例認められるようになりました。

ANK免疫細胞療法について患者が主治医に相談すると、決まってエビデンスがないからという答えが返って来ます。400例といえば立派なエビデンスになるかもしれません。しかし、最初の数年は末期がんがほとんどでした。その後も、がんの部位が多岐にわたるため消化管関連で数十例の著効例(学会報告可能な症例数)は望むべくもありません。2012年から分子標的薬を併用するようになって、私の専門である内視鏡で観察した消化管がんの著効例が、数例出てきました。内視鏡画像は、消化管の内部に内視鏡を挿入して肉眼で直接観察(電子画像)して記録します。しかもサンプルを採取して病理組織検査でがんの性格な存在診断が可能です。

PET、CT、MRIは、いずれもがんを直接見ているのではありません。コンピューターが形成した画像でとらえているだけです。PETは、がんの質的診断ができるといっても消化管は苦手です。以前某大学のPETセンターから、PETでは異常がないが、念のため胃の内視鏡をしてほしいと依頼が来ました。結果はなんとこぶし大の大きさほどもある進行胃がんでした。ANK免疫細胞療法でがんが死滅しても、CTやMRIの画像上腫瘍影は消えることはなく、手術して摘出した標本で初めてがんが壊死していると判明することはまれではありません。

がんマーカーは、一般的にがん治療の指標となりますが、ANK免疫細胞療法で治療中にマーカーが上昇することがあります。患者は元気なのにどうして上昇するのか。その上昇は必ずしもがんの悪化を意味するだけでなく、がんの死がいが血液中に漏れて上昇する場合もあるのです。進行がんの半数近くはマーカーが変動しません。

これらの理由から、内視鏡画像なら数例の著効例でも、がん治療に携わっている医師、がんと診断された患者さんにANK免疫細胞療法の効果の一端をメッセージとして発信できるのではないかと考えました。

標準治療に携わる医師のなかには、自分たちの治療が行き詰ると、「緩和ケアに行きなさい」と言い放ち、患者を死に追いやることがあります。そういわれた患者が私のクリニックを必死に探して来院します。他の免疫細胞療法を受けて回り道をさせられ、私のクリニックに来院した時はかなり体力を低下させていることがあります。私は医師としてそのような現状を看過するわけにはいきません。がんと診断されたら、ANK免疫細胞療法を考慮したがん治療の設計を行ない、がんを完治に導く。症例不足の批判を覚悟で出版を決意しました。

私は標準治療を否定する立場ではありません。むしろ標準治療に携わる医師と連携して、我が国のがん生存率を世界一にしたいと念願するだけです。

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