ウェルネスコラム「手術とANK免疫細胞療法の併用」

ウェルネスコラム

書籍連載

【第3章】自己免疫でがんを消す ANK免疫細胞療法
手術とANK免疫細胞療法の併用

早期がんなら根治できる場合が多い

がんの外科手術療法は、目に見えるがんを切除する治療法です。1つの方法は、体表からメスを入れる開腹・開胸術などによる手術です。現在では、体に負担の少ない方法として、内視鏡による手術も普及しています。これにも、腹腔鏡下切除術(体表に開けた小さな穴から内視鏡を入れてお腹のなかを間接的に見ながら行なう術式)と、消化管に内視鏡を入れて行なう内視鏡下切除術があります。後者は、私が専門としている領域です。

がんと診断されたらANK免疫細胞療法

がんと診断されたら
ANK免疫細胞療法

手術の術式の選択は、がんの大きさや部位などにもよるものなので、内視鏡のほうがいいなどとは一概にいえません。ただし、私が扱っている消化器についていうならば、食道、胃、大腸などのがんは、内視鏡で早期発見・早期手術できたほうが望ましい。それはまちがいありません。がんが大きくなってからお腹を開かなければならないのでは損です。まして、浸潤がん(転移が疑われる進行性のがん)になってしまってからでは、がんとの闘いはたいへん困難な、そして重い負担を強いられるものとなります。

早期の手術は、標準治療最大の武器ともいえるでしょう。切除した病巣にがんがとどまっていて、ほかの部位に飛び散っていなければ、手術だけでもじゅうぶん根治が期待できます。腫瘍組織のなかに少しだけいるがん幹細胞(がんの種)ごと、すべてのがん細胞を取りきれていれば、その後の転移・再発の可能性が低くなるからです。しかし、がん幹細胞が飛び散っていると、いずれ再発・転移してきます。

私が検診を強く勧める大きな理由は、この「運命の分かれ目」で、皆さんに損をしてほしくないからなのです。

手術でサンプルを得る意味

固形がんの場合、がんの塊を一度に取り除くことができる手術は、最も効率のよいがん治療法です。ですから、ANK免疫細胞療法で治したいからといって、本来なら可能な手術まで選択肢から外すのは、賢明な選択とはいえません。これは、標準治療のほかの治療法でももちろん同じです。がんとの闘いは、そもそも好きな方法を選り好みできるような「甘いもの」ではないと私は思います。

手術には、ほかにもメリットがあります。一般にいわれるのが、切除した腫瘍組織のサンプルを顕微鏡で分析すれば、正確な病理診断が下せることです。実は、体の外から画像を見るだけでは、腫瘍の性質はわからないのです。手術でサンプルが採れると、その腫瘍が良性だったのか悪性だったのか、悪性のものなら転移しやすい性質かどうか、などがわかります。これは、その後の治療を進めるうえで、重要な情報になります。

また、ANK免疫細胞療法を行なう場合には、手術で得たサンプルから、また別のメリットが得られます。手術の直後、生きたがん細胞の提供を受けることができれば、それを標的にCTL(がんを攻撃するキラーT細胞)を培養することも可能だからです。

前述のとおり、CTLは、がんに対する免疫でNK細胞に加勢する細胞です。NK細胞は、がん細胞を正常細胞と見分けて攻撃しますが、CTLは、ある細胞が、自分が攻撃対象としている特定の物質を表面に発現しているタイプだった場合に、その標的物質を認識して攻撃します。つまり、特定の(1種類の)がんなら攻撃できるキラー細胞です。

ANK免疫細胞療法では、生きたがん細胞が入手できればCTLも無料併用しています。CTLは、体外に採取した患者様自身のT細胞に、患者様のがん細胞を混ぜて作成します。ただし、CTLの投与は補助的なものと考えており、必ずANK免疫細胞療法と併用します。CTLだけの投与は行なっていません。

大きな腫瘍を切除し、ANK免疫細胞療法でとどめを刺す

標準治療とANK免疫細胞療法の組み合わせとして、最もおすすめなのが、手術後にANK免疫細胞療法を行なう方法です。ある意味、「これができれば理想的」という、非常に理にかなった組み合わせ方の1つでもあります。その手順は、おおむね次のようになります。

  1. 1. がんと診断され、手術を行なう方針が決まったら、早めにANK免疫細胞療法実施機関で医師の面談を受けてください。相談の結果、ANK免疫細胞療法を受けることにしたら、リンパ球を採取し、NK細胞の培養を始めます。
  2. 2. ANK免疫細胞療法の点滴を受けられるのは、通常リンパ球の採取から3週間前後たってNK細胞の培養ができてからになります。その間に手術を行ない、腫瘍を摘出します。可能なら、がん細胞のサンプル(1cm角の大きさ)をもらって、専用保存液に入れて京都に送り、CTLを培養してもらいます。
  3. 3. ANK免疫細胞療法で、体内に残ったがん細胞を叩きながら、免疫力を回復して一連の治療を終えます。この場合、術後の抗がん剤投与は不要になります。

以上が、手術後にANK免疫細胞療法を行なう場合の基本的な流れです。「体内に残ったがん細胞」は、散らばった可能性の高い、目に見えない転移がんなどのことです。通常、腫瘍の取り残しはタブーになっていて、あえて一部のがんを取り残すような手術は行なわれません。取り残したがんは急激に勢いを増すことを、経験的に医師たちは知っているからです。そのような手術は、患者様の利益にならないと考えるのが一般的なのです。

しかし、術後にANK免疫細胞療法を予定している場合には、少しニュアンスが変わります。体内に残った少量のがんを叩くことなら、ANK免疫細胞療法の守備範囲に入ってくるケースがあるからです。したがって、危険な部位に浸潤しているがんなど、あえて一部のがんを取り残すことも理屈としては可能になるわけです。現実的には、取り残しを前提にした手術は、医師がやってくれない可能性のほうが高いと思いますが、遠隔転移があっても原発巣を切除した後、ANK免疫細胞療法で残ったがんを叩くという治療は、検討に値する方針だと思います。

手術不能のがんでは

取り残し手術は、原則として行なわれないことを述べましたが、「手術不能のがん」はほかにもあります。最も多いのは転移がんで、体のあちこちにがんが散らばっている場合は、普通は手術をしません。姿が見えるようになったがんをいくら切除しても、新たながんが後から次々とできてくるからです。手術をやみくもに繰り返しても、患者様の得るメリットよりデメリットのほうが多いと、医師は考えるのです。その例外は大腸がんの肝転移ぐらいで、手術を繰り返すうちに、「一部の患者様」で、新たながんができなくなる場合もあることがわかっています。

「お腹を開けたけれども、手のつけようがないので閉じた」というケースも、手術を始めてから転移の広がりがわかった場合が多いです。そのほかには、へたに触ると危険な部位の近くに腫瘍ができていたり、切除できない重要な器官にできていたりする場合なども、手術不適応とされることがあります。

そのようなケースだと、標準治療で考えられるのは、まず抗がん剤(殺細胞剤)治療、それから放射線の照射などになります。しかし、そこにANK免疫細胞療法も加えれば、対処方法がとても幅広くなります。ANK免疫細胞療法単独で立ち向かえるケースも、抗がん剤と組み合わせる場合もあるでしょう。

そのようなケースだと、標準治療で考えられるのは、まず抗がん剤(殺細胞剤)治療、それから放射線の照射などになります。しかし、そこにANK免疫細胞療法も加えれば、対処方法がとても幅広くなります。ANK免疫細胞療法単独で立ち向かえるケースも、抗がん剤と組み合わせる場合もあるでしょう。

手術とANK免疫細胞療法の併用パターン1 手術後にANK免疫細胞療法を実施の流れの図

手術が難しいがんをANK免疫細胞療法で縮小して手術

がんの状態によっては、治療設計を工夫し、それがうまく奏効すれば、手術不能のがんを手術に持ち込める可能性もあります。そのようなケースの一例を挙げれば、おおむね次のような流れになります。

  1. 1. 手術不適応のがんと診断され、化学療法を始める前にリンパ球を採取し、NK細胞の増殖・活性化を始めます。
  2. 2. 血中HER2が9以上あればハーセプチンを週1回点滴投与してがんの増殖を止めます。
  3. 3. 増殖・活性化が完了したらすぐにANK免疫細胞療法に切り替えます。
  4. 4. 増殖・活性化3週後よりANK免疫細胞療法+ハーセプチンを続けて、手術可能な状態になったら、手術に踏み切って腫瘍を摘出します。

このような場合、手術を終えたら、さらにANK免疫細胞療法を続けて残存・分散がんを叩くという治療設計になることが多いでしょう。周辺組織に手がつけられないほど浸潤していて手術できないというケースでは、先にANK免疫細胞療法を行なって、その後に手術という、普通とは逆の順番もありえるということです。さらに、そのような場合の手術でも、腫瘍の取り残しが必ずしもタブーではないといえます。

ANK免疫細胞療法を標準治療と組み合わせることで、そのように治療の可能性が広がることを知っておいていただきたいと思います。

私の症例でも、実際に手術不能のがんを手術可能な状態まで改善した例があります。1つが卵巣がん、そしてもう1つが食道がんです。

手術とANK免疫細胞療法の併用パターン2 手術不能のがんをANK免疫細胞療法で手術可能するの流れの図

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