コラム「血管が若がえれば健康寿命はのびる おわりに」

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血管が若がえれば健康寿命はのびる おわりに

おわりに

日本橋に「新日本橋石井クリニック」を開院してから17年が過ぎました。

万病の元となる血管の老化を食い止める研究を始めてからは8年です。

ひとりの開業医としてできることには限りがあるかもしれません。しかし微力であっても正しく情報発信すれば、日本の医療と、この国に暮らす人々を救うことができるとわたしは確信しています。

がんと診断されたらANK免疫細胞療法

血管が若がえれば
健康寿命はのびる

これからの医療に求められるのは、病気を治す技術だけでなく、病気にならない・させない技術、つまり予防医学です。

そのことを更に実感させる、画期的な事例が北の大地から報告されました。

北海道夕張市です。

ご存知のように自治体としての夕張市は2007年に財政破綻しました。市民サービスは大幅に縮小されることになり、それは医療機関にも及んだのです。171床の市立総合病院が経営破綻によって閉鎖され、その役割は19床しかない診療所「夕張希望の杜」が引き継ぐことになりました。

この診療所は救急指定を受けていません。これは、もし夕張市内で深夜に突然倒れてしまったとしても、隣接した街の救急指定病院まで搬送しなければ十分な治療が受けられないということを意味します。地域医療では、救急患者の受け入れ体制を充実させることがひじょうに重要視されます。しかし24時間365日救急患者を受け入れられるようにするためには、膨大な設備とスタッフが必要です。夕張市はそのコストを負担することができませんでした。

夕張市は高齢化率が4割以上と全国でも突出した超高齢地域でもあります。そこで「夕張希望の杜」は病気の予防と、生活を支える医療に重点をおくことを決めたのです。具体的には予防接種や定期健診などによる病気の早期発見に力を入れ、同時に、高齢者や慢性疾患の患者さんへのケア、健康維持への啓蒙活動などを徹底しました。夕張市民の方々もひとりひとりが必死になって、病気にならないよう努められたことと思います。

それから5年後、驚くべき結果が出ました。

これまでの常識で考えれば、財政破綻によって医療サービスの質が低下したのですから、市民の健康状態は悪化しているのではないかと懸念するところです。

ところが、夕張市では、がん、心疾患、肺炎などでの死亡率が以前よりも大きく低下し、全体の死亡率も下がり続けていることが分かったのです。

また高齢者医療費もひとりあたりの金額で約10万円安くなりました。

市立総合病院がなくなるまでは、日本の他の地域と同じように上昇し続けていたカーブが2007年から下降するようになったのです。

わたしはこの話に感銘を受けました。夕張市は、高齢化が進行し、これまでのような医療サービスが受けられなくなる日本の未来像ではないでしょうか。

予防医学は、わたしたちを健康にし、なおかつ医療費を抑制することもできる理想の医療なのです。

夕張市の事例は、そのことを見事に実証してみせたのだといえるでしょう。

誰もが手軽に、毎日の生活のなかで血管の老化を食い止めることのできる高品質なコラーゲンの研究と普及を通じて、わたしもまた、この理想を実現したいと考えています。

本コラムを読まれた方の健康寿命が一日でも長くあることを願ってやみません。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

2013年2月

新日本橋石井クリニック 院長 医学博士 石井光

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