コラム「血管とコラーゲンの深い関わり」

コラム

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【第3章】健康を維持する強い血管のつくり方
血管とコラーゲンの深い関わり

コラーゲンで血管が健康になる

血管の老化を食い止め、若々しく健康な状態を保つことは豊かな、本当の意味での「健康長寿」を実現することにつながります。
この章では、コラーゲンを始めとする血管そのものを健康にするための方法と、そのメカニズムについて解説します。

がんと診断されたらANK免疫細胞療法

血管が若がえれば
健康寿命はのびる

2012年2月、クリニックにSさん(43歳)という会社員の男性が来院されました。Sさんは会社の健康診断で血便が出て再検査となって以来、毎年内視鏡検査を受けにこられていた患者様です。

Sさんはその前年の暮れ、年賀状を書いているときに異変を感じ、脳外科で脳卒中と診断されて2週間ほど入院しました。入院直前には文字が書きづらい、ふらつく、ろれつがまわらないなどの自覚症状があったといいます。数年前には半身がしびれ、数分で治るという経験もしていたそうです。

脳外科では通常の服用薬による脳卒中治療、更に食事制限を行いましたが、脳卒中の原因である動脈硬化についてはあまり改善していないようでした。頸動脈エコーを撮ってみると、頸動脈内中膜厚が1.24ミリメートル、プラークの厚さは3.71ミリメートル。明らかな動脈硬化が確認できました。

そこでわたしはコラーゲンを飲むよう勧めてみたのです。

すると、わずか3カ月後のエコーで驚くような成果が出ました。

*頸動脈内中膜厚の変化  1.24ミリメートル  →  0.62ミリメートル

*プラーク厚の変化  3.71ミリメートル  →  2.71ミリメートル

頸動脈内中膜厚が0.62ミリメートルに半減、プラークの厚さも1ミリメートル薄くなっていました。

Sさんの体内では、老化コラーゲンが新鮮なコラーゲンに入れ替わり、不健康な血管が修復されたのでしょう。そして同時に、成長していたプラークも徐々に血液中に溶け出していると考えられます。

わたしが指導したコラーゲン摂取方法はひじょうに簡単です。

毎朝、空腹時に5グラムの粉末をビタミンCを豊富に含んだジュースと一緒に飲む。たったこれだけのことで、なぜ血管の組織を修復できるのかと、不思議に思われる方も多いかもしれません。

その理由を説明するため、まずは体内におけるコラーゲン合成の仕組みについてもう一度しっかり解説しておきましょう。

体内でどのようにコラーゲンができるのか

分子レベルで見ると人体は水、たんぱく質、脂質などからできています。

たんぱく質は複数のアミノ酸が結び付いてできる化合物で、あらゆる生物の身体に欠かせない物質です。たんぱく質とひと口にいっても、その種類は多様です。構成するアミノ酸の種類、結び付き方によって性質のまったく違う別の種類のたんぱく質になるからです。人体を構成するたんぱく質の種類は約10万種類に及びます。その約30%を占めているのがコラーゲンです。

コラーゲンというたんぱく質は、繊維状の分子から構成されておりひじょうに強靱です。この性質から、体内では細胞と細胞を結合し、身体をしっかり構成するために使われます。骨の主成分といえばカルシウムが思い浮かぶかもしれませんが、前章でお話ししたように骨の約3分の1、軟骨の約半分もコラーゲンです。また骨と骨をつなぎ合わせる靱帯、骨と筋肉をつなぐ腱にも多くのコラーゲンが含まれています。骨以外にコラーゲンが多く含まれている組織が皮膚、そして血管です。

わたしたちの身体には、食品からコラーゲンを合成する仕組みが備わっています。

肉や魚などにはたんぱく質が含まれていますが、これがそのまま利用されることはありません。これらは胃腸内の胃液、すい液、十二指腸液によって消化され、様々な種類のアミノ酸に分解されて、腸管から吸収されます。これらアミノ酸のなかで特に結合力の強いプロリン、ヒドロキシプロリン(水酸化プロリン)などが結び付いて、コラーゲンが合成されるのです。この合成能力が最も活発に働くのが20代前半です。

体内で生成された新鮮なコラーゲンは血液によって全身の細胞組織へと届けられ、老化したコラーゲンと入れ替わるようにして身体の一部になります。そして老化したコラーゲンは回収され、排出されます。

これが、血管を健康に保つコラーゲンの代謝機能です。

成人が一日に代謝するコラーゲン量は、欧米の複数の研究論文のデータを平均すると2グラムほどになります。

20代後半以降に起こる変化についても見ておきましょう。

25歳を過ぎたころから、体内でつくられるコラーゲン量は急激に減少します。その結果、老化したコラーゲンが長期間体内に留まるようになり、皮膚にたるみやしわが目立つようになります。他にも皮膚から栄養を得ている爪や髪にも影響が出てきます。加齢による白髪、抜け毛はコラーゲンの老化が原因なのです。

また、血管の老化は高血圧や動脈硬化、骨の老化は骨粗しょう症や関節炎を引き起こします。コラーゲンが多く含まれている眼球においては、老眼が進行しやすくなると考えられます。

体内コラーゲン量の推移図

上のグラフは、海外の論文に掲載された、女性の20代から60代の皮膚と骨のコラーゲン含有量の推移をグラフ化したものです。

このグラフから老化とは、イコール全身のコラーゲンが減少することだと理解できるでしょう。

年を重ねるとコラーゲンが減少していき、血管も老化します。その結果として、様々な病気が発生するリスクが高まってしまいます。

コラーゲンはどのくらい摂取すればよいのか

コラーゲンを合成する能力が衰えたら、その分コラーゲンを含んだ食べ物をたくさん食べれば良いと思われるかもしれません。実際、美容効果をアピールしたコラーゲンスープや鍋などを提供するレストランも増えていますし、人気も集めていると聞きます。

一見悪くないアイデアに思えるかもしれませんが、この方法で毎日必要なコラーゲンの量を確保し続けるのはかなり難しいのです。

単純計算すると、これを牛肉だけから摂ろうとすると約230グラム、マグロだけならば約300グラムを、毎日食べ続ける必要があります。これでは食べ飽きてしまいますし、そもそもお金がかかるでしょう。コラーゲンを多く含む高級な食品であるフカヒレは、なおさらです。

豚足、手羽先にもコラーゲンは大量に含まれていますが、毎日豚足を食べていたら、余分な脂肪まで取り込むことになってしまい、肥満や脂質異常症といった生活習慣病のリスクが高まります。これでは本末転倒です。

こうした理由から、わたしは、コラーゲンはサプリメントで摂るのが現実的だと考えます。

では、血管が老化した30代以降の方がコラーゲンのサプリメントを飲むと、何が起こるのでしょうか。

このメカニズムは医学的にはまだ十分に解明されているとはいえません。一部には、「コラーゲンを飲んでも胃腸内でアミノ酸に分解されてしまうのだから、飲んでも意味がない」と唱える学者さんもおられるようです。

もしかしたら読者のなかにもそう信じている方がいるかもしれません。しかし、これは間違いです。

確かに、口から摂取したコラーゲンは胃腸内で消化され、アミノ酸とアミノ酸ペプチド(複数のアミノ酸がくっついた状態のコラーゲン断片)に分解されます。細かく分解しなければ腸で吸収できないからです。しかし、コラーゲン研究の進んだ欧米では、コラーゲンを飲むことで確かに体内のコラーゲン合成が促進されたとする論文が数多く発表されているのもまた事実です。

わたし自身の臨床研究でも、明白な成果が出ています。これをどう考えたら良いのでしょうか。

日本のコラーゲン研究の第一人者である東京農工大学名誉教授・藤本大三郎先生は2つの説を提唱していらっしゃいます。

【ペプチド説】
口からコラーゲンを摂取すると、コラーゲンを消化するときにアミノ酸ペプチド(コラーゲンの断片)ができ、これがシグナル(信号)として働くことで、体内のコラーゲン合成が促進される。

【プロリン説】
コラーゲンを摂取すると、コラーゲンだけに含まれているプロリン(アミノ酸の一種)が大量に供給されるので、コラーゲン合成が促進される。

わたしも藤本大三郎先生の学説に賛成しています。わたしのクリニックでの臨床研究成果だけでなく、多数の海外の論文を読んでも、コラーゲン摂取によってコラーゲンの合成が促進されていることは明らかです。

つまり、口からコラーゲンを摂取すれば30代以降になると衰えてくるコラーゲン合成を促進できるのです。体内で合成された新鮮なコラーゲンは全身に運ばれます。血管組織にコラーゲンが供給されると、血管中膜にあった老化コラーゲンは排出され、内膜、中膜が再生します。すると、血管を詰まらせるプラークの元凶であるひげ状の露出部分が減少し、プラークは血液中に溶け出していきます。その結果、血管がしなやかになり、プラークがなくなって若返るのです。

ビタミンCが血管の病気を防ぐ理由

みなさんは「壊血病」という病気をご存知でしょうか。

口や皮膚の古傷などの血管が劣化し、次々に出血を引き起こす怖い病気です。

16~18世紀の大航海時代において、多くの船乗りがこの病で命を落としました。長いあいだ、その原因は謎だったのですが、やがて新鮮な野菜や果物、柑橘類を十分に摂ることで予防できると分かり、船乗りにレモンやライム、ザワークラウト(キャベツの漬物)は欠かせないものになりました。

そして20世紀になり、これらの食べ物のなかから壊血病を予防する因子として抽出されたのが「ビタミンC」です。

ビタミンCの不足により発症する壊血病は、コラーゲンと深い関わりがあります。

ビタミンCは、コラーゲン合成を行う酵素の補酵素なのです。

補酵素といっても何のことだか分からない方もいるかもしれません。補酵素とは、酵素の働きを助ける物質のことです。

ですからビタミンCが不足していると、コラーゲンの合成力は低下してしまいます。

大航海時代の船乗りたちを悩ませた「壊血病」の正体は、ビタミンC不足によりコラーゲン合成力が低下した結果、血管や毛細血管が破綻しやすくなり、出血が止まらなくなってしまうというものだったのです。

現代人の食生活は、大航海時代の船乗りとはずいぶん違います。ごく普通の食卓ならば、極端なビタミンC不足になることはめったにありません。ですが、ビタミンCの豊富なドリンクと一緒にコラーゲンを摂取すれば、体内でのコラーゲン合成力は更に高まるのです。

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