ウェルネスコラム「血管は若返る」

ウェルネスコラム

書籍連載

【第2章】知らないでは済まされない血管の役割
血管は若返る

再び「健康な血管」を取り戻す

長いあいだ、動脈硬化は加齢現象だといわれてきました。年をとると血管が弱るから、ある程度の進行は仕方がないというわけです。
わたしのクリニックでは、前述した頸動脈エコーによる動脈硬化の診断を行っています。高解像度(100分の1ミリメートル)の超音波装置を用いた、動脈硬化の診断に最も適した方法とされています。この検査では頸動脈内中膜厚(IMT)を計測し、頸動脈内中膜厚が1ミリメートル以上あれば年齢を問わず動脈硬化症と診断します。40 ~50代の通常値は0.7~0.8ミリメートルです。

がんと診断されたらANK免疫細胞療法

血管が若がえれば
健康寿命はのびる

そして、他の多くの医師と同じように降圧剤(血管の抵抗を減弱させて血圧を下げる)、高脂血症薬(血中の脂質を改善)、血小板凝集抑制剤(血液の流れを改善)を用いた治療を行ってきました。いずれも間接的な作用のみですから、きちんと治療しているにもかかわらず動脈硬化が進行してしまうケースも多くありました。現在の医薬品では動脈硬化を改善することは期待できないのが現実です。ですから、心筋梗塞や脳卒中の死亡率は依然として高いままなのです。

このように打つ手のない動脈硬化の予防・改善、つまり「血管の若返り」に有効なのがコラーゲンです。

コラーゲンで動脈硬化が改善

従来の動脈硬化治療を、コラーゲン仮説に基づいて説明すると、下の図のようになります。従来の治療では、血管の老化を治す手立てがないため、血管内の成長したプラークを外科手術で削り取ったり、ステント(金属のパイプ)を挿入して血液を流れやすくするといった方法を採るしかありません。そのため、ひげ状の繊維はなくならず、再び他の血管でプラークが成長してしまう場合があり、さらなる治療が必要となってしまいます。そして、治療によって血管が一層脆くなったり、薬が欠かせなくなることもあるのです。

人間は確かに老いる生き物です。時の流れを完全に止めることはできません。

しかし先の仮説が正しければ、血管の老化はコラーゲンによって食い止めることが可能なはずです。

わたしはそう考え、高血圧や高脂血症の患者様で頸動脈内中膜厚が1ミリメートル以上になっている方に計測値を伝え、「血管老化を抑制する可能性のあるコラーゲンを無償で3カ月間飲んでみませんか」と提案し、同意していただけた方に高品質なコラーゲン粉末を一日5グラムずつ摂取してもらいました。

コラーゲンから見た動脈硬化の治療の図

すると3カ月前後のうちに12名中10名の患者様の動脈硬化が改善したのです。同時に実施した血液検査ではコレステロール値の改善も認められました。

このとき血管で何が起こったのでしょう。

動脈硬化の患者様の血管は不健康な状態ですから、血管の内膜が傷つき、中膜の老化コラーゲンのひげ状の部分が露出しています。プラークの正体は、そこにまとわりついた血小板やコレステロールでした。そこに新鮮なコラーゲンが供給されると、代謝機能が働き、老化コラーゲンは自動的に排出されます。その結果、ひげ状の露出部分が減少し、まとわりついていたプラークも血液中に溶け出してしまうのです。

わたしはこの仮説のエビデンスを高めるため、更に多くの臨床データを集めました。頸動脈内中膜厚を自分で計測すると、どうしても先入観が入ってしまいます。そこで東京医科歯科大学循環器内科から派遣されている循環器専門医に依頼し、第三者として頸動脈内中膜厚を計測してもらうことにしました。コラーゲンを3カ月間内服した前後で動脈硬化の患者様57名について、調査をしたのです。

コラーゲンによる血管の若返りの図

その結果、下の表「頚動脈内中膜厚の計測」のように、57名中36名(約63%)の患者さんで0.1ミリメートル以上の改善効果が認められるという結果が得られました。これには計測にあたった循環器専門医も驚いていました。

身体の老化はすべてコラーゲン不足が原因

動脈硬化の治療・予防にコラーゲンが有効だと聞いて、驚く方が多いかもしれません。コラーゲンといえば美容に良いというのが一般的な認識でしょう。実際、わたし自身も最初はその程度の認識しかなく、特に興味もありませんでした。しかし、こうした実例を数多く目にし、臨床研究を続けるうちに、血管の老化とコラーゲンの関係はむしろ当然と考えるようになったのです。

下の図「人体のうちコラーゲンを含む部位」からもわかるように、人間の身体にとって、コラーゲンというたんぱく質は欠かすことのできない重要な構成要素です。強靱で、弾力性に富み、柔軟性も兼ね備えた結合組織として、血管だけでなく、皮膚、骨、内臓、脳とあらゆる臓器がコラーゲンによって形成されています。こうした人体の組織のほとんどは一度つくればそれで良いというものではありません。毎日の食事によって摂取されたものから合成され、古くなった組織と入れ替わりながら、維持されているのです。

頸動脈内中内膜の計測の図

しかし、このコラーゲン合成機能は20代後半以降は低下してしまいます。いい換えれば、全身の細胞に新鮮なコラーゲンが供給されにくくなるのです。身体の大きさが小さくなるわけではありませんから、当然、老化したコラーゲンが体内に長く留まるようになります。その結果、肌にはハリ・ツヤが失われ、しわやしみができやすくなるのです。目に見えない部分でも、これはまったく同じはずです。先ほど解説したように血管内ではコラーゲンが老化してプラークができやすくなりますし、関節も弾力がなくなって痛みが生じます。これらはすべてコラーゲンが原因です。

つまり、いわゆる「老化」という現象は、コラーゲン不足で大半を説明することができるのです。

人体のうちコラーゲンを含む部位の図

わたしは、老化とはコラーゲンの老化だと考えています。

体内コラーゲンの老化は、コラーゲンの効果的な摂取によって予防することが可能です。これは多くの病気の原因となる「血管の老化」をその原因から治療し、なおかつ予防することでもあるのです。

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