ウェルネスコラム「血管とは何か?」

ウェルネスコラム

書籍連載

【第2章】 知らないでは済まされない血管の役割
血管とは何か?

血管の詰まりが死を招く

日本人の死因の大半を占める血管の病気。そのメカニズムについて解説しましょう。
心疾患も脳血管疾患も、その発症の原因は動脈硬化です。
動脈硬化は、老化した血管の内壁に垢のようなものがこびりついて、少しずつ血流が滞る症状です。

がんと診断されたらANK免疫細胞療法

血管が若がえれば
健康寿命はのびる

血管の流れを妨げる小さな詰まりが生じると、肩こりや肌荒れ、手足の冷えなどの症状が現れます。


高血圧や耳鳴り、手足のしびれ、目の充血、息切れなどが気になるようになってきたら、血管の詰まりが悪化していると考えてよいでしょう。


そして、血液がほとんど流れない状態まで血管を詰まらせると、全身に酸素・栄養素を届けることができなくなります。これが心臓や脳の近くで起これば、心筋梗塞、脳卒中などの死に至る疾患を招いてしまうのです。


血管の詰まりへの医療対策

下水管に例えて考えてみましょう。


メンテナンスせず長期間使用している下水管は内側がボロボロになり、ゴミがつくようになります。少々であれば、放っておいても支障はないかもしれません。しかし、劣化したまま放置しておくと、新たなゴミが次々とついて下水の流れは少しずつ悪くなっていきます。やがて下水が逆流したり、下水管が破裂してしまうでしょう。


そのときになって「しまった!」と気付くのです。


昔は日本でも下水が溢れる事故がよくありましたが、現在は地下に溜池や浄化設備などのインフラがつくられ、定期的なメンテナンスもしっかり行われるようになり、事故は滅多に起こらなくなりました。


では、血管の詰まりへの医療的な対策はどうなっているのでしょうか。


血管内のゴミは「プラーク」(アテローム)と呼ばれます。簡単にいえば垢です。歯ブラシのCMなどでおなじみの、歯につく「歯垢」のプラークと語源は同じです。血管内のプラークはお粥のような状態でべっとり張りついて徐々に大きくなることが知られています。これを「アテローム性粥状動脈硬化症」といいます。動脈内にできたプラークが何かの拍子に剥がれ落ちたとしましょう。それが脳に到達して血流が遮断されると脳卒中、冠動脈のプラークが剥がれたら心筋梗塞が起こります。


血管のプラーク対策のひとつが、抗凝固剤という薬です。「凝固」というのは血が固まることですから、「抗凝固」はその逆。血液を固める成分である血小板の働きを弱めることで、血液をサラサラにして、流れやすくするものです。ところが、この薬剤によって血液をサラサラにすると、出血時に自然に起こる凝固作用も弱まってしまい、怪我をしたときに血が止まらなくなるのです。そのため、この薬を服用している方は、内視鏡による生体検査(がんを疑うときに組織の採取をして行う検査)ができません。検査ができないのでは治療方針も決まりません。もちろん、それだけでなく日常生活でも様々な支障が出ますので、抗凝固剤は慎重に、必要最小限の範囲で使うべきものなのです。


また外科手術では、カテーテルという管を使い、詰まった血管内にバルーン(風船)を入れて膨らませたり、そこにステント(網目状になった金属の筒)を入れるという方法も採られます。いわば詰まった下水管を拡張する土木工事のようなものです。ところがステントを入れっぱなしにすると、その部分で血液が固まりやすくなり、抗凝固剤を一生飲むことになるのです。


土木工事のイメージでいえば、高速回転するダイヤモンドカッターを使ってプラークを削り取るという手術もあります。もともとボロボロで破綻しかけている血管内での手術ですから、ちょっと乱暴な話に聞こえるかもしれません。プラークを破裂させないよう、血管を傷つけないよう、高度で慎重な技術を要する手術ではありますが、うまくいけば血管内は確かにキレイになります。ただし、未熟な医師では血管そのものが破裂する危険性があります。


しかし、これらの治療は基本的に動脈硬化が起こってから行われる対症療法にすぎません。いわば、下水道が逆流し始めてから慌てて工事をしているのです。しかも、その対処後は薬の服用が欠かせなくなり、再発のリスクも去りません。わたしは、これらの治療は「病気になってからの治療」にすぎず、しかもリスクが多いわりにメリットが少なく、根本的な解決にもなっていないと考えています。


しかし、これらの治療は基本的に動脈硬化が起こってから行われる対症療法にすぎません。いわば、下水道が逆流し始めてから慌てて工事をしているのです。しかも、その対処後は薬の服用が欠かせなくなり、再発のリスクも去りません。わたしは、これらの治療は「病気になってからの治療」にすぎず、しかもリスクが多いわりにメリットが少なく、根本的な解決にもなっていないと考えています。

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